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BT02 ストーリー

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 BT02 ストーリー

光と闇の戦いの果てに

──力の世界・モノリウムとの戦いが終結し、幾ばくかの時が流れた。
人間界・セプトピアは使者の襲来もなく、平穏な日々を過ごしていた。
しかしそんな時でも、世界各地に支局を構えるALCAは絶えず運営を続けている。

百万人に一人の確率で現れるとされている、定理者の能力に目覚めた若者たち。
各地で彼らを見つけては、世界統一自衛法第六条に従って強制召集。
いつ襲ってくるか分からない異世界の使者に備えて実戦トレーニングを課し、
戦力を増強していた。

ALCAナイエン支局では、揺音玉姫とクロエ・マクスウェルに加えて、
新たに明日葉学を迎え入れていた。

異世界の門がいつ開くかは、ALCAといえども予測はつかない。
時には十数年もの間門が開かないままの時もある。
定理者の能力に目覚め、ALCAに所属したとしても、実際に使者と戦うこともないまま
成人を過ぎて定理者の能力が減退し、現役を退くケースもなくはない。

セプトピアの人類にとっては、異世界の使者と戦わずに済むのであれば、
それにこしたことはない。だが、そんな人類の淡い願いが叶うことはなかった――

その頃、神々が住む信仰の世界・テトラヘヴンでは、
長きに渡る百年戦争が幕を閉じようとしていた。

争っていたのは、
人々の信仰を集めることによって希望と奇跡を起こす力を得る『善なる神』と、
人々の畏れを集めることによって絶望と破壊を起こす力を持つ『悪しき神』。

百年戦争の発端は、テトラヘヴンの支配権を欲さんとする、
堕天使ルシフェルによるクーデターだった。

善なる神の統率者である大神・ゼウスは、大いなる怒りに満ちていた。
元は天使でありながらも反旗を翻したルシフェルに対し、
その怒りをもって、テトラヘヴンの天空に亀裂が入るほどの強大な神の天雷を呼び寄せ、
悪しき神々たちを堕天の地へと叩き落とした。
堕天の地は、ひとたび堕ちればゼウス自身ですら手の届かぬ、
二度と天の光を浴びることができない永久地獄。
そこに幽閉された魔神たちは、このままここで朽ちていくのかと感じ始めていた。

しかし運命は魔神たちを見捨てはしなかった。
堕天の地にて、偶然にも門カードを発見。
永久地獄から逃れる術を手に入れたのだ。

かくして堕天の地から逃れることを望む魔神たちは、
門カードによってセプトピアに通じる門を開いた。
セプトピアに新たな安住の地を求めて──。

一方、魔神たちがセプトピアに亡命しつつあることを知った、
大神ゼウスは、即座に対策を取るべく評議会を開いた。

テトラヘヴンの内紛によって異世界にまで被害が及んだとあれば、
神々にとっての大いなる恥である。
幸い、善なる神々の側にも使用せず封印していた門カードがあるため、
セプトピアへ向かうことはできる。
しかしひとたび門を通ってセプトピアに向かえば、
セプトピアのロジックに支配されてしまい、神々の奇跡の力を行使することはできない。
かといって、奇跡の力のためにセプトピアの人間を一方的にトランスジャックすることも、
『善なる神』の道義に反する行為だ。

ゼウス率いる評議会が頭を悩ませていると、一人の女神が名乗りを上げた。
知恵と戦略を司る女神、アテナだ。

アテナは、自らがセプトピアへと赴き、
ALCAに所属している若き定理者たちに力を貸すことによって、
魔神の追跡、およびセプトピアの治安維持に努めようというのだ。
勇敢なるアテナの志に賛同した者たちは、他にも存在していた。
愛と美の女神・ヴィーナス。戦の女神・ヴァルキリー。そして月の女神・アルテミスだ。

ゼウスは彼女たちの確かな決意を賞賛したが、
評議会の中では戦力面で不安視する声も上がった。
そこへさらに憤りと罰の女神・ネメシスが名乗りを挙げ、
これだけの女神が揃えば、魔神を撃破出来得るだろうと判断したゼウスは、
門カードの力によって門を開き、アテナたちをセプトピアへと派遣した。

――その日、ALCAの門を叩く五名の女性たちの姿があった。
セプトピアのロジックに倣い、外見が人間的な女性へと変貌。
一時的に奇跡の力を失ったアテナたちだ。
ALCAは、アテナたちの来訪と魔神追跡の提案を歓迎。
異世界間の一時同盟を締結した。

その時、ALCAには五名の若き定理者たちが存在していた。
揺音玉姫、クロエ・マクスウェル、明日葉学と支局長ヴェロニカ、
そしてオルガ・ブレイクチャイルドだ。

盟約とトランスに際しては、それぞれの思想と相性が強く影響を与えるため、
互いに慎重に盟約者を選択する必要があった。
やがて定理者たちと女神たちは共鳴し合い、最高の盟約を経て、
来たるべき魔神たちとの戦いに備えた。

テトラヘヴンの魔神たちの想像を絶する絶望と破壊の力が、
今まさにセプトピアのナイエン区に迫らんとしていた。
若き定理者たちと、敬虔な女神たちは互いに手を取り合った。
望むべき想いは一つ。

ただ守りたい。この世界を──。

運命と論理LUCK & LOGIC』を賭けた戦いが今まさに始まる──。

BT02Believe & Betray のカード一覧

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ブースターパック第2弾「Believe & Betray」に登場する其々のメンバー達のストーリーをご覧になりたい方は、バナーを選択してください。

  • 剣 美親 & アテナ

     剣 美親 & アテナ

     剣 美親 & アテナ

    禁断の定理者、再誕

    その日、運命の出会いが待っていることを剣美親はまだ知らなかった。
    美親は、家族想いの妹・しおりと共に、
    父・剣廉太郎の誕生日プレゼントを買うために街へと繰り出した。

    かつての禁断のオーバートランスの代償として、
    彼の身体を形成するロジックカードの一つが欠落。
    定理者の力を失っていた美親は、村人Aとして家族と共に慎ましい生活を送っていた。
    自分の運命を受け入れ、家族を守るために生きる道を進んでいたのだ。
    失った自分のロジックカードさえ見つかれば、
    再び定理者として戦いたいという想いを封印して……。

    そんな時、使者襲来の警報が流れる。
    魔神ベリアルが民間人にトランスジャックし、暴れていたのだ。

    正義感が強かった美親は、しおりや周囲の民間人を逃がすために、
    一人でベリアルに立ち向かった。しかし生身の人間だった美親が敵う相手ではない。
    今の美親には、ベリアルの注意を引き付けながら逃げることが精一杯だった。

    そんな美親の手を取り、逃走を手助けする謎の女性が現れた。
    しかもその女性はなぜか美親の名前を知っていた。

    『私はアテナ。貴方に会いに来ました』

    美親の盟約者として悪しき神々からセプトピアを守りたい。
    アテナはそう告げると、美親に一枚のロジックカードを差し出した。
    それは美親がかつて失った、定理者の力を秘めたロジックカード。
    美親と共に世界を守りたい一心でアテナが探し出したのだ。
    美親は戸惑いを隠せなかった。
    発見が絶望視されていたロジックカードがまさか見つかるなんて……。

    そこへ駆けつけるしおりと廉太郎。
    美親の無事を喜びつつ、美親が再び定理者に戻れることを知ると、
    しおりは必死に止めようとした。もう二度と美親を苦しませたくなかったからだ。

    しかし、封印していた美親の想いが溢れ出す。

    「守りたいんだ! 守れる命が、一つでもあるなら」

    美親の決意の眼差しを目の当たりにして、しおりと廉太郎は悟った──
    もはや彼を止めることはできない。止まっていた美親の時間が動き出したのだ。

    遡ること二年前。美親はジスフィアの盟約者・羅刹と共に、
    ホンコン支局所属の定理者として街の治安に当たり、
    禁断のオーバートランスを実行した。
    その理由は──死にかけていたジスフィアの使者を守るためだった。
    そんな美親の過去を知ったアテナは確信していた。
    たとえ異世界の敵だとしても命を決して見捨てない。
    自分の犠牲すら厭わない。
    そんなロジックを持つ美親の盟約者になりたい、と。

    『貴方と守りたい。この世界を』
    「……アテナ。俺と盟約してほしい」

    こうして禁断の定理者は再び戦場へと降り立った──。

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  • 揺音 玉姫 & ヴィーナス

     揺音 玉姫 & ヴィーナス

     揺音 玉姫 & ヴィーナス

    私たちの純愛

    ALCAのハウスサロン。
    玉姫は自室にこもり、ライフワークの一つだった書道で心の洗濯をしていた。
    硯で丹念に墨をすって墨液を作り、筆先に想いを込めて半紙に綺麗な文字を綴る。

    そんな時、ノックもせずに部屋に入ってくる女性がいた──
    テトラヘヴンの女神・ヴィーナスだ。
    まだ出会って間もない間柄にもかかわらず、
    ヴィーナスは友達のように玉姫の心のテリトリーに入ってくる。
    どんな相手に対してもあふれる愛を注ぐのがヴィーナスの性格だった。

    ヴィーナスは玉姫が半紙に書いた文字を見つめると、

    『この文字は何?』

    と興味本位で訊ねる。
    半紙に書かれていたのは『麒麟』『小玲』『神曲乙姫』など、
    ヴィーナスにとって見慣れない文字たちだった。

    玉姫はそれらの文字を愛おしいそうに見つめ、告げた。

    「……今まで出会った、私の大切な仲間たちです」

    そう、玉姫が今までに盟約した使者たちの名前だった。

    互いのロジックを共有した仲間たちとの想い出が色褪せないように──
    玉姫は定期的に書道の時間を作っては、仲間たちに想いを寄せていたのだ。

    もし異世界と通じる電話があれば、今すぐにでもみんなの声が聞きたい……。
    玉姫はそう願ってやまなかった。

    そんな玉姫の想いを知ったヴィーナスはいきなり玉姫を力いっぱい抱きしめると、
    玉姫の耳元で囁いた。

    『……私、あなたのことを愛してる』
    「えええっ!? い、いきなり何言い出すんですか!?」

    ヴィーナスは玉姫に対して、恋を通り越して、愛してしまったのだ。
    ヴィーナスにとっての揺るぎないロジックは『愛』。
    遠く離れてもなお、かつての盟約者たちに想いを寄せ続ける愛情が
    玉姫にあることを感じたのだ。

    『あなたに書いてほしい……私の名前を』

    それはまさにヴィーナスの盟約のプロポーズだった。突然のことに動揺する玉姫。
    するとヴィーナスもまた、これまでに出会ったテトラヘヴンの神々との想い出を
    次々と語り出した。
    出会った相手との些細な想い出も忘れないのは、ヴィーナスも同じだったのだ。
    しかし遥かな時を過ごした女神ヴィーナスの想い出を全て聞いていたら、
    どれだけ時間があっても足りないだろう。
    それでも玉姫は、愛情いっぱいに想い出を語るヴィーナスを
    止めることなんてできなかった。

    翌朝。玉姫の部屋には『ヴィーナス』と書かれた半紙が追加されていた──。

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  • 七星 縁 & ケツァルコアトル

     七星 縁 & ケツァルコアトル

     七星 縁 & ケツァルコアトル

    マネージャーの私にできること

    七星縁は悩んでいた。
    もともとサッカー部のマネージャーだった頃に定理者の能力に目覚め、
    見習い定理者としてALCAに配属された縁。
    しかし盟約者を見つけることができず、炊事洗濯掃除など
    先輩定理者たちのサポートに徹する日々を送っていた。
    ついつい一歩引いてしまいがちな縁の性格が災いし、
    何度トランステストをしても成果を上げられずにいた。

    「……私、やっぱりマネージャー気質なのかなぁ」

    そんなある日、ALCAで事件が起きる。
    ある戦いで捕虜にしていたテトラヘヴンの蛇神ケツァルコアトルが看守の隙をついて脱獄。
    看守にトランスジャックし、ALCAのハウスサロンを占拠したのだ。

    たまたま夕食のシチューを作っていた縁は、ケツァルコアトルの人質に取られてしまう。
    ALCAの定理者たちは、縁にケツァルコアトルの注意を引き付けるよう指示しつつ、
    ケツァルコアトルを殲滅する作戦を計画。

    一方、縁は時間を引き延ばすために、ケツァルコアトルとの対話に臨んだ。
    自分がもともとサッカー部のマネージャーだったことを語るが、
    蛇神ケツァルコアトルには全く話が通じない。

    「すごく強い、尊敬できる人たちのお世話をしてました!」
    『偉大なる者の世話役か……さしづめ、神に仕える巫女のようなものだな』

    ケツァルコアトルは、畏れによって人が神を崇めることこそが
    神と人の正しいあり方だと考えていた。
    しかしセプトピアの人間は神を畏れないどころか、
    神である自分に対して刃を向けてきた。
    故に暴れていたのだが、
    巫女の精神を持つ(と思った)縁だけは、
    話が通じる人間だと判断し始めていた。

    縁の時間稼ぎが功を奏し、
    いよいよALCAによるケツァルコアトル殲滅作戦が決行された。
    ところがその作戦の中で縁が思いがけない行動に出た──
    なんとケツァルコアトルをかばおうとしたのだ。

    縁はケツァルコアトルとの対話を経て、神を畏れる姿勢を見せれば、
    傷つけあわずに手と手を取り合うことができることを知ったのだ。

    ケツァルコアトルは命がけで自分を守ろうとした縁を目の当たりにして、悟った。
    それはまさに、命を捧げて神に身を捧げる巫女そのものだ、と。
    ケツァルコアトルは自らトランスジャックを解除し、ALCAに降伏。
    そして後日、ケツァルコアトルはある決意のもと、
    病室で安静にしていた縁のもとを訪れ、告げた。

    『俺の巫女になれ』

    突然の申し入れに戸惑う縁。

    マネージャーが選手の世話をするように、巫女として神に付き従う──。
    そんな新たな盟約のあり方があることを、縁が身を以て証明した瞬間だった──。

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  • ヴェロニカ・アナンコ & ネメシス

     ヴェロニカ・アナンコ & ネメシス

     ヴェロニカ・アナンコ & ネメシス

    暴力と悪戯心の危険な香り

    テトラヘヴンの女神たちは、皆が友好的とは限らなかった。
    ALCAに協力を志願しておきながら、
    定理者との顔合わせをボイコットした女神が一名、存在していた。

    冷徹な精神を持つALCAナイエン支局長ヴェロニカが一抹の疑念を感じつつ
    局長室に戻ってくると、局長席に無断で陣取る小柄な女神がいた──
    顔合わせをボイコットした、憤りと罰の女神・ネメシスだ。

    「……お前は他の女神とは違うようだ。目的はなんだ?」
    『……そういうアンタこそ、他の定理者とは違う』

    ネメシスは、セプトピアの治安維持には興味がないと言い切った。
    博学で知的好奇心が旺盛だったネメシスは、
    異世界セプトピアの未知の文明に関心を抱き、他の女神たちに便乗していた。
    そしてALCAにいる若き定理者たちは皆、
    幼稚なロジックを持つ者たちばかりだと彼女は判断し、
    顔合わせにも意義を見出さなかったのだ。

    唯一、ネメシスが読めなかったのが局長ヴェロニカだ。

    『アンタの目的は何?』
    「……あらゆる使者の抹殺。――だと言ったら?」
    『ふーん……じゃあ今ここでアタシのこと殺しちゃう?』

    答えられずにいるヴェロニカを尻目に、
    ネメシスは悪戯な笑みを浮かべると、局長室を去っていく。

    後日。
    ヴェロニカは人知れずALCA直属の病院へと向かった。
    ベッドには逆理病に冒され、昏睡状態の男性患者がいた。
    ALCA局内では見せたことがない思いつめた眼差しで、
    いつまでも患者を見つめるヴェロニカ。

    その時、病室に現れる──ネメシス。

    『アンタの目的は復讐』

    ネメシスは自分で勝手に調べたヴェロニカの過去について、語り出す。
    ベッドの患者はかつてハコダテ支局に在籍していた頃のヴェロニカの上司であり、
    兄のような存在だった男。
    しかしモノリウムのある使者によって、人格を破壊されていたのだ。
    この事件をきっかけに、ヴェロニカにとって全ての使者が憎しみの対象になった。
    彼女はセプトピアにやってくる全ての使者が、放逐すべき害、だと考えていたのだ。

    そのヴェロニカの思いは、憤りと罰の女神だったネメシスにとって、
    最も共鳴するロジックでもあった。
    悪に対する憤りと、正当なる復讐による罰。これこそは、ネメシスのロジックである。
    それに彼女も、悪しきテトラヘヴンの神々は、摘んでおくべき禍根の芽だと考えていた。

    『アンタの望み、私が叶えてあげてもいいわよ?』

    ただし盟約に当たって、ネメシスは一つだけ条件を提示した。
    セプトピアのあらゆる文明を堪能できるよう、ネメシスの水先案内人になることだ。
    異世界の文化に対する私見や歴史に対する考察など、
    博学な言葉を並べ立ててその条件の正当性を訴えてはいるが――
    平たく言えば

    『私を遊びに連れてって』

    というわけである。
    思いもよらないネメシスの提案に呆れるヴェロニカ。

    「……幼稚なロジックを持っているのはどっちだ」

    ヴェロニカの言葉がグサリと刺さり、ネメシスは戸惑うように顔を赤らめた。

    『な、何よ! 二十歳のアンタとは知恵も経験も段違いなのよ!』

    全ての使者の殲滅のため、あえて使者の力を借りようとするヴェロニカと、
    その復讐のロジックに共鳴したネメシス。
    彼女たちのロジックは、その後、予想もしなかった結末を迎える事になる――

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  • クロエ・マクスウェル & ヴァルキリー

     クロエ・マクスウェル & ヴァルキリー

     クロエ・マクスウェル & ヴァルキリー

    ただ、まっすぐに、あなただけを

    ALCAでは、定理者とテトラヘヴンの使者の初めての顔合わせが行われた。
    その席で開口一番、クロエが思いがけないことを告げた。

    「私はヴァルで決まり! 私の盟約者になって!」

    一同、動揺が隠せない。
    まだお互いのロジックも分からないうちに盟約相手を決めることなど、
    普通ならありえないからだ。

    クロエがヴァルキリーを指名したのには理由があった。
    ヴァルキリーが剣の道に一途な戦の女神であり、
    最もアグレッシブな力を持つ使者だったからだ。
    好戦的なクロエにとってみれば、相性抜群の相手だと信じて疑わない。

    ヴァルキリーとしては、
    自分を指名してくれたクロエと盟約することに異を唱えるつもりはなかったものの、
    すぐに答えを出せずにいた。
    お互いのロジックが共鳴しなければ合体時に最大限の力を発揮することができず、
    今後予想される激しい戦いを勝ち抜いていけないからだ。

    そしてクロエとヴァルキリーは特例として、
    盟約前に同じ部屋で共同生活を送る試験期間が設けられた。
    ところがこの二人、過ごせば過ごすほど、そりが合わない。
    質実剛健な性格のヴァルキリーに対して、クロエは天真爛漫で自由奔放。
    トレーニングでは常にクロエのペースにヴァルキリーが振り回され、
    私生活ではクロエのマシンガントークの聞き役に回される日々。
    クロエが根は悪い女の子ではないことをヴァルキリーは理解していたが、
    あまりにも性格が正反対すぎたため、トランステストでも失敗続きだった。

    ALCAは二人の盟約を諦めかけていたが、
    クロエは最後まで相性バッチリだと信じて疑わない。

    そんなある夜。
    ヴァルキリーはクロエが一人でトレーニングしている姿を目撃した。
    乱れた息で慣れない竹刀を握りしめ、
    手の平に血豆ができるまで一心不乱に素振りを続ける。
    やがてクロエは体力の限界に達した。
    倒れかかるクロエを支えるヴァルキリー。

    「……待っててね。必ずヴァルに追いつくから。二人で最高のアタッカーになろう」

    ボロボロの身体にもかかわらず明るい笑顔を見せるクロエ。

    『なぜだ……その自信はどこから出てくるんだ……?』

    クロエが相性抜群だと信じていた理由──
    たとえ初めはそりが合わない相手だとしても、お互いの想いをぶつけ合えば、
    必ずロジックが共鳴し合うと思っていたからだ。

    ヴァルキリーを振り回し、マシンガントークを続けていたのも、
    ヴァルキリーに自分のロジックを知ってもらいたかったクロエなりの想いだった。

    ヴァルキリーは言葉を失い、そして悟った──
    合体がうまくいかなかった本当の理由を。
    正反対な性格を言い訳にして、壁を作っていたのは自分だ、と。

    クロエはそんな壁を壊すためにひたむきに努力し、
    初対面から決めていたヴァルキリーとの盟約を成立させるため、ただただ一途だった。
    そんなクロエの姿は、剣の道に一途だったヴァルキリーのロジックに響いた。

    たとえ1%でも、分かり合えるロジックさえあれば結ばれることもある。
    それがクロエとヴァルキリーだった。

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  • オルガ・ブレイクチャイルド & ルシフェル

     オルガ・ブレイクチャイルド & ルシフェル

     オルガ・ブレイクチャイルド & ルシフェル

    Fallen Genius

    オルガ・ブレイクチャイルドは定理者として
    人並み外れた潜在能力を持つと分析され、
    ALCA入局当初は大型新人として期待が寄せられていた。

    が、その期待は時とともに諦めへと変わっていた。

    オルガは自尊心が高すぎたあまり、
    使者は自分の栄光のための道具に過ぎないと考え、
    使者とロジックを共鳴し合うという精神が欠如していたのだ。

    その結果、後続の定理者たちが次々と盟約する中、
    自分だけ一度も合体経験がないという独身状態が続いていた。
    次第に焦りを感じ始めたオルガは、
    ALCAの捕虜にされていた使者に手当たり次第交渉するが、
    どの使者もオルガと盟約したがらなかった。

    そんなある日、ALCAに意外な訪問者が現れた。

    強力なロジックを有し、
    セプトピアに害をもたらしかねない
    危険な使者だと目されていた、堕天使ルシフェルだ。

    ルシフェルはALCAとの友好関係を提案。
    定理者との盟約を志願した。

    これを願ってもない好機と捉えたオルガは、
    ルシフェルの盟約者として自ら立候補した。

    ところが、真意が読めないルシフェルを危険視したALCAは
    この申し出を却下し、ルシフェルを追い返してしまう。

    ようやく盟約できると思っていたオルガはぶつけようのない憤りに支配された。

    「なぜ……俺だけがっ……」

    しかし、オルガの運命を一変させる事件が発生した。

    ALCAの捕虜だった使者の一人が脱獄し、オルガにトランスジャックしたのだ。
    美親たちは速やかに暴れる使者を殲滅し、オルガを救出。

    しかしオルガはトランスジャックの代償によって、
    なんと定理者の力を持つロジックカードを失ってしまう。

    さらに使者の脱獄はオルガの手引きによるものだという疑いをかけられ、
    オルガはALCAに居場所を失ってしまう事態に。

    不運な己の運命を呪い、自暴自棄になるオルガ。

    そんな時、オルガのもとに現れたのが──ルシフェルだ。

    ルシフェルは失くしたオルガのロジックカードを差し出すと、
    オルガが無実であることを信じると言った。
    そして、共に人と神が共存する楽園を創造しようと提案した。
    さらに、彼の意志に賛同する大勢のセプトピアの人々がいることを伝えた。

    ルシフェルの意志に賛同する人々は、
    定理者オルガを新たなリーダーとして迎え入れた。
    彼らの称賛の声は、オルガの心の奥底にあった
    自尊心と承認欲求を満たすのに十分だった。

    それは女神ネメシスが指摘した、人間の最も弱くてもろいロジックだ。

    全てはルシフェルの謀略だった。
    定理者オルガをALCA内部で孤立させ、自分の味方に引き入れるためだ。

    オルガはルシフェルの声に誘われ、ルシフェルとの盟約を決意。

    「オルガ・ブレイクチャイルドは、ルシフェルにこのロジックを捧げることを誓う」
    『ルシフェルはオルガ・ブレイクチャイルドにこのロジックを捧げることを誓おう』

    一人の天才が出会いに恵まれなかったのは、
    ルシフェルと出会う運命にあったから。
    ――なのかどうかは、それこそ神々すらも知る由はなかった。

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  • 明日葉 学 & アルテミス

     明日葉 学 & アルテミス

     明日葉 学 & アルテミス

    心渇く少女の夜明け

    ALCAナイエン支局所属の定理者・明日葉学は問題児だった。
    哀しき出生の過去を抱えていた彼女は誰にも心を開かず、
    どの盟約者とも長続きしなかったのだ。

    先輩定理者だった玉姫とクロエは、盟約者不在だった学のために、
    幾度となく新たな使者を紹介し、お見合いさせようとしていたのだが、

    「……誰でもいい」

    と投げやりな態度の学。そんな学に玉姫もクロエも頭を抱えていた。

    そんなある日の夜。
    学は夜な夜なALCAを抜け出し、ガイエン区のとあるコインロッカーへと向かった。
    外界の音を遮断するようにヘッドフォンで音楽を聴きながら、
    いつ来るかも分からない人の到来を待つ。

    その時、長身の美麗な女性が学に声をかけた。
    テトラヘヴンの使者、アルテミスだ。
    テトラヘヴンの百年戦争終結後、セプトピアに亡命し暴れる魔神たちに対処するために
    ALCAへの協力者としてやってきたアルテミスは、
    問題児・学の哀しき過去について聞かされていた。
    学は産まれてすぐコインロッカーに捨てられ、親の顔を知らなかったのだ……。

    しかしアルテミスは多くを語らず、学のそばに寄り添う。

    『……ここはあまり治安がよくありません』
    「……無駄だよ……連れ戻そうとしても」
    『いいえ。一緒に待ちましょう。綺麗な月でも眺めながら』

    肌寒い夜を凌ぐように身を寄せ合い、ただただ待ち続ける学とアルテミス。
    やがて睡魔に耐えられず眠る学。アルテミスはあどけない学の寝顔を見つめ、
    学の孤独を感じ、いたたまれない気持ちになった。

    ──翌朝。学が目覚めると、アルテミスが学の肩に寄りかかって眠っていた。
    ずっと起きていたかったアルテミスだが、月の女神である彼女は、
    月が沈むと眠くなってしまうのだった。
    学は眠る彼女をむげにもできず、ただジッと身を固めて──やがて感じた。
    親を知らなかった学にとってこれほど長い時間、人肌に触れ続けた記憶がなかった。
    アルテミスの体温が冷えた学を優しく温め、癒やす。

    ふと自然に学の目から一筋の涙がこぼれ、アルテミスの頬に落ちた。
    その拍子に静かに目を覚ますアルテミス。
    学は泣いていたことを悟られないよう、二の腕で目頭を拭い、いつもの無表情に戻る。
    結局その日も待ち人は現れず、学とアルテミスはALCAへの帰路についた。

    後日、学は再び玉姫とクロエから新たな使者とのお見合いを勧められた。
    いつものように誰でもいいと告げるかと思いきや、学が告げた一言は……。

    「……やだ」

    学が珍しく自分の意志を口にしたことに驚く玉姫とクロエ。

    『では、わたくしと盟約するというのはどうでしょう?』

    と唐突に告げるアルテミス。
    学はしばし黙りこんだ後、気恥ずかしそうに小さく呟いた。

    「……別に。どっちでもいいけど」

    そっけないその言葉が、学にとって最大のイエスであることを誰もが知っていた。

    学が自らの意志で盟約者を選んだのは、これが初めてのことだった──。

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