キャラクター&ストーリー

トリトミー

  • ソルト・ヒューマノイド236

    ソルト・ヒューマノイド236

    トリトミーからやってきた、戦闘用アンドロイド。
    大型のレーザーソードを武器に、
    命令に従い、冷静沈着に戦闘任務を遂行する。
    セプトピアに来たのもあくまで任務のためだったが、
    縁との出会いは彼女にどんな変化をもたらすのだろうか。

     七星縁 & ソルト

    戦闘アンドロイド・ソルトの或る朝の風景

    新たにセプトピアに開かれた門。

    それは、未曾有の超科学技術を有した異世界、トリトミーに通じる門だった。

    トリトミーからやってきた使者たちの目的は、調査や研究、あるいは単なる観光と様々だったが、中には魔法の様な超科学技術を乱暴に駆使し、勝手気ままに振る舞う者達もいた。

    ALCAは早速その対処のため、友好的な使者と盟約を結んだ定理者たちを招集。

    その中には、トリトミーの戦闘アンドロイド・ソルト236と
    新たに盟約した七星縁の姿もあった――

    ALCAナイエン支局の、定理者が生活するハウスサロン。

    ここの掃除洗濯といった家事一切を仕切っているのが、定理者・七星縁である。
    もともと、盟約者を得るまでの、せめてものお手伝いと始めたことだったが、
    盟約者を得た今も、縁は望んで引き受けている。

    今日も縁は、自ら料理した食事をテーブルに並べ、チームの皆にふるまう。

    「しっかりした食事管理も、定理者の努めなんですよ」

    チームのメンバーたちが舌鼓をうつ中、ひとり、箸をつけずにいる者がいた。

    異世界トリトミーから来た、縁の新たな盟約者の一人。

    元は戦闘アンドロイドの、ソルトだ。

    未曾有の超科学技術を有した異世界、トリトミーに通じる門が開き、多くの使者が現れた。

    彼らの目的は、調査や研究、あるいは単なる観光と様々だ。

    だが中には、魔法の様な超科学技術を乱暴に駆使し、勝手気ままに振る舞う者達もいる。

    ALCAは早速その対処のため、友好的な使者に協力を依頼した。

    依頼に応じたトリトミーの使者たちの中には、セプトピア防衛の任務を与えられた戦闘アンドロイド・ソルト236の姿があった。

    そのソルトと盟約を結んだのが、ナイエン支局の定理者・七星縁である。

    セプトピアのロジックに適応した今は、ソルトも一見、普通の女性に見える。

    ただあまりに無表情なので、はたから見ると何を考えているのか、ちょっとわかりにくい。

    「ソルトさん、ご飯、お口に合いませんでしたか?」
    『そうではありません、縁』

    人間同様の身体になったソルトに、特に苦手な食事はない。しかし。

    『縁、前にも意見具申しましたが。
    このニザカナ、という栄養補給方法には問題があります』

    「えっ? 美味しくありませんでした? 自信、あったんだけどな・・・」

    『いえ。セプトピアのロジックに適応した現在の私が有する味覚、と呼ばれるセンサー。
    この感覚器から入力される情報には価値を認めます』

    「うんうん、この味付けは、母から教えてもらった秘伝の味付けなんですよ?」

    『私の問題提起はそこではありません』

    「じゃあどこです?」

    『今回の補給にあたっては、この様に』

    ソルトの右手が素早く動くと、皿の上の煮魚から次々と細かい骨が抜かれ、脇にのけられていく。

    『このコボネと呼ばれる部位を除去するために、約23秒の時間を浪費しています』

    「箸の使い方、上手くなったよね」

    『これより扱いの難しい武器はいくらでもあります。
    そうではなく。単位時間あたりの摂取カロリー、つまり栄養補給効率を私は問題にしています』

    「いつもソルトは食べるの早いよね。よく噛んで食べてる?」

    『消化器官にも問題はありません。それより』

    卓上の、湯気を立てている湯のみをさすと、

    『このオチャと呼ばれる飲料についても、同種の問題があります』

    「自分でお茶葉を焙じてみたんですよ、良い香りでしょう?」

    『確かに、私の嗅覚でも同様の評価を得ています。
    ――そうではなくて。
    縁、ペットボトル、と呼ばれる容器に、
    すでに抽出済みかつ速やかに接種可能な温度の同種の飲料が、用意されています。

    そちらを提供した方が、効率的な水分補給を行えるのではないでしょうか』

    『毎回、茶葉からエキスを抽出し数杯分の飲料を作成するのは、縁にも余分な負担を与えていると判断します』

    「はい、冷たいお茶も良いですよね。
    でも私は、食後にはやっぱり、熱いお茶が美味しいと思うんです!」

    ソルトは改めて縁の顔を見ると、その疑問を口にする。

    『美味しい・・・ 縁、そのパラメータはそれほど重要なものでしょうか』

    「美味しいのは、とっても大事なことだよ。だって、美味しいは、心の栄養だから」

    『ココロの、栄養・・・』

    ソルトにはまだ、セプトピアの人間が
    「ココロ」と呼ぶ、その姿形のない器官の価値が、よくわからない。

    セプトピアに適応した自分に、「ココロ」があるのかも、わからない。

    ただそれを、縁たちが大切に守ろうとしていることは、理解している。

    自分がこのセプトピアに派遣された理由。
    縁と合体し戦う理由がそれだと言うのなら。

    心臓、と呼ばれる器官が、通常より早く鼓動する。

    数値化できない体温の上昇を感じる。

    これを守るためなら、私はいつでも、彼女の光の剣となろう。

    今日も縁の笑顔を見ながら、ソルトは己の任務を再確認していた。

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  • アリオール・ラプトレス015

    アリオール・ラプトレス015

    トリトミーからやってきた、戦闘・狩猟用の鷲型ロボット。
    セプトピアに来たのは、
    自分に似た「鷲」という生き物を見たいため。
    大量生産された機体のひとつに過ぎなかった彼も、
    縁と出会ったことで独自の個性が芽生えつつある。

     縁 & アリオール

    戦士になる時

    アリオールと合体した縁は空に飛び立った。
    縁はできるだけ街のすべてを見渡したかった。
    自分の身体がいくつもあれば、玉姫のところにも、学のところにも、クロエのところへも、すぐに飛んで行って手助けしたかった。
    しかしそれは不可能だ。
    縁が選んだ場所は、高度1000メートルの上空だった。

    『攻撃地点の全座標は確認した。いつでも準備はできている』

    アリオールの無機質な声が耳元で聞こえた。
    ――上空から一気に敵を撃破する。
    それが縁の選んだ戦いだった。

    「……」

    縁は黙ったまま、街のあちこちで上がる火の手や黒煙を見つめていた。
    その険しい表情は、いつもの穏やかな縁は別人のようだ。
    (今は私が先輩たちを助ける番!)
    縁は自分に言い聞かせると、パンと両手で頬を叩いて気合を入れた。

    「やりましょうアリオール!!」

    次の瞬間、縁の全身のあちこちから機械が起動する音が響き始めた。
    両肩と腰に装備したビーム砲に充填されるエネルギー。
    機械に翼に取り付けられたミサイルもブイインと音を立てて微かに震えている。

    「全弾発射ッ!!」

    縁の絶叫とともに、一斉に放たれるビームの閃光といくつものミサイル。
    街の東に、西に、北に、南に。
    縁が放った攻撃は、それぞれの地点に着弾していく。
    (上手くいった……?)
    正直、縁もすべての敵を捉えられたか、確信はなかった。
    訓練によってすべての装備を同時に使いこなせるようになったが、
    実戦で使うのはこれが初めてだった。

    「どうでした? アリオール」
    『攻撃目標14体のうち、10体に着弾を確認』
    「よしッ!」

    と、喜んだのも束の間、縁の頭にある疑問が過ぎる。

    「……ん? でも残りの4体は?」
    『こちらに向かってきている』

    アリオールが言い終わるや否や、縁の目に映ったのは目前に迫る敵の姿だった。

    「えええッ……ちょっとぉ! 早く言ってくださいよ!」

    と、いつもの縁であれば動揺していた事態かもしれない。
    しかし今日の縁は落ち着き払っていた。

    「再攻撃用意――発射ッ!!」

    すぐさま向かってくる敵に向かって攻撃を仕掛ける。
    4つの閃光が真っ直ぐに敵に向かっていく。
    その光は初弾よりも遥かに大きい。
    縁とアリオールは、敵を即座に分析し、
    1度目よりも効果的な攻撃を2度目には繰り出せようになっていたのだ。
    巨大な光に包まれ、敵の姿が消えていくのが縁の目にもハッキリと見えた。

    「よし命中ッ!」

    だが、それも束の間。

    『新たなる敵が出現。地上2時の方向』
    「!」

    そこにいたのは、巨大なトカゲ型の使者だ。

    「アリオール、地上にいるソルトに敵の座標を送ってください」

    縁はすぐさまアリオールに指示を送ると、敵に向かって移動する。
    敵のいる場所は、幼稚園に近かった。
    (……ビームやミサイルじゃ幼稚園に被害が出るかもしれない)
    即座にそう判断した縁はソルトと合体して近接戦闘することを選択した。
    縁は現場に向かうソルトを見つける。

    「ソルト!」

    縁が声をかけると、ソルトは振り返る。

    『飛行したまま再合体可能と思われます』
    「私もそのつもりです!」

    地面スレスレの低空飛行で、縁はアリオールとの合体を解除。
    空中に投げ出された縁の身体はソルトへと向かって行く。
    ソルトは向かって来る縁の腕をつかむと合体。
    次の瞬間、縁は敵の前に立ちはだかっていた。

    「デュアルっ コレダー!!!!」

    縁が敵に向かって飛びかかると、紫電をまとった二つの拳がその身体を打ち抜く。
    敵の姿を確認してからここまで、僅か54秒。
    一切の無駄がない見事な攻撃だった。
    戦いを終え、再び空に上がった縁は、赤く染まる空をふと見つめると、
    にこりと微笑みを浮かべてつぶやいた。
    「玉姫先輩、クロエ先輩、学先輩……それから剣先輩。私、もう、一人前ですか?」

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  • エメラダ・シンフォニー076

    エメラダ・シンフォニー076

    トリトミーからやってきた、人格を持った電子楽器。
    楽器の部分が本体で、女性の形をしている部分も、
    あくまで「ボーカルを担当する楽器」に過ぎない。
    合理主義の世界にありながら、天才肌の芸術家で
    自分の音楽をひたすら追求している。

     ニーナ & エメラダ

    ピアノ・レッスン

    ALCA支局内に響くピアノの旋律。

    ニーナ・アレクサンドロヴナがサロンに持ち込んだグランドピアノの音色だ。

    休日の午前、ニーナはピアノに向かうのを日課にしている。

    真っ白な肌に銀髪のツインテールに品の良いワンピース。

    まるで西洋のアンティーク人形のような少女がピアノに向かう姿に、

    サロンを通りかかった者は誰もがうっとりと溜息を吐いた。

    『美しい曲ね』

    ニーナは手を止めて、振り向いた。

    そこに立っていたのは、彼女の盟約者エメラダ・シンフォニー076だった。

    「エメラダも、弾いてみますか?」

    ニーナはそう言ってイタズラっぽく笑った。

    『ありがとう』

    エメラダは嬉々としてピアノに向い、細長い白い指で鍵盤を弾き始めた。

    エメラダはもともとトリトミーで作られた電子楽器だ。

    セプトピアに適応した今でも、あらゆる楽器を弾きこなすことができる。

    初めて聴いた曲であっても、楽譜を見ただけで弾くことができた。

    超絶な技巧で、ミスのない完璧な旋律が室内に響き渡った。

    やがて弾き終えると、エメラダは満足げにニーナに向かって微笑んだ。

    ニーナも微笑み返し、パチパチと小さな手で拍手する。

    「素敵な演奏……」

    ニーナは大きな目を輝かせ、エメラダの演奏にすっかり魅了されていた。

    「きっと先生は、エメラダみたいに弾いてほしかったのね……。」

    『先生?』

    エメラダが訊いた。

    「ピアノの先生。

    私、気持ちが高まると、楽譜を無視して作曲してしまう癖があって…。」

    ニーナは苦笑いを浮かべる。

    それを聞いて、エメラダは不思議そうに首を傾げた。

    ニーナが言う「気持ちが高まると楽譜を無視してしまう」という感覚がよく理解できなかったのだ。

    『ねぇ、もう一度、ニーナのピアノを弾かせて』

    エメラダはその不思議な感覚が何なのか確かめたくなり、ニーナに催促した。

    「えっ……。エメラダの後に弾くなんて……」

    ニーナは顔を真っ赤にして恥ずかしがったが、エメラダが何度も催促するので、とうとう折れてピアノ前へと向かった。

    『気持ちが高まるって、どんな時になるの?』

    エメラダの質問に、ニーナは小首を傾げて考え込む。

    「たとえば、この曲。とっても美しい情景を表現したものです」

    『美しい情景?』

    「その風景の中が目の前に広がって、自分が溶け込んでいくような気がした時、

    何だか気持ちが高まっているような気がします……」

    ニーナが再びピアノを奏でだすと、エメラダが静かに聴き入った。

    楽譜通りの旋律が流れていたはずが、徐々に楽譜を離れアレンジされていく。

    しかし、決して悪いアレンジではない。エメラダは、高揚するニーナの感情がそのまま音で表現されているような気がした。

    「ほら、深い森を通り過ぎるそよ風、小鳥たちのさえずり、湖で踊る水鳥……

    そんな情景が目に浮かんできませんか?」

    トリトミーの世界にそんな風景はなく、エメラダは見たことがなかった。

    だが、ニーナが奏でる旋律はいつの間にかエメラダにそんな世界を想像させていた。

    それはエメラダが初めて味わう感覚だった。

    ニーナの演奏が終わると、エメラダは力強い拍手を送った。

    『音楽とはその場かぎりで楽しむもの、そんなふうにしか考えていなかったわ……

    音楽で、世界を作り出すことができるのね……』

    エメラダの目には涙も溜まっていた。

    エメラダが他者の演奏を聞いて、こんな気持ちで涙するのは初めてのことだった。

    それを見て、ニーナは一瞬驚いた表情を浮かべたが、すぐにほほえんだ。

    「エメラダ……。

    今度は一緒に、弾いてみませんか?」

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  • シグマ・ブラスター010

    シグマ・ブラスター010

    トリトミーからやってきた、超AI搭載の重武装戦闘ロボ。
    製造年式が新しく、実戦経験はまだまだこれから。
    血気盛んな少年の様な性格で、
    手柄を立てて褒めてもらいたいと先走りがち。
    勇み足をしては、盟約者の玉姫を困らせている。

     玉姫 & シグマ

    砲機、決死の出撃

    ALCAのハウスサロン。

    和の趣きがある玉姫の部屋に、不釣り合いな10cmサイズのカラフルな玩具のロボットがあった。
    キュアと同様、ALCAに協力するために派遣されたトリトミーの使者・シグマ010だ。

    『いつになったら僕と合体してくれるんだ!』
    「お願い、もう少しだけ待ってて。今は民間人の救護で忙しくて」

    『これじゃ、玉姫と盟約した意味がない……』
    「約束する。戦う時は私と一緒。……ね?」

    玉姫は小指を差し出し、シグマの小さな手と指切りした。

    シグマの元体は超AI搭載の最新型砲撃支援モビルスーツであり、
    重装甲と圧倒的な火力で敵を制圧するために開発された。

    しかし製造年月が浅いため、ほとんど戦闘経験がなかったのだ。

    戦うために開発されたシグマは、どんな機械よりも血気盛んで勇敢。

    戦場こそが自分の居場所だと考えていたのだが、未だ出撃する機会に恵まれていなかった。

    シグマはもはや我慢の限界に達していた。

    なんとか戦果を上げてALCAに認めてもらいたかった──。

    ある日。戦地の救護任務から帰還した玉姫は、自室にシグマの姿がないことに気付く。

    なんと別の定理者が対応にあたっていた戦場に、適応体のままのシグマが勝手に出撃してしまっていたのだ。

    すでにトランスリミットを迎えており、再合体できるようになるまで待機命令が出ていた玉姫だったが、いてもたってもいられず戦地へと飛び出していく。

    戦場では激しい攻防が繰り広げられていた。

    得意の砲撃で使者を駆逐しようとするシグマだったが、
    適応体の砲台から発せられたのは玩具の弾。

    シグマの決死の想いは叶わず、弾はむなしく地面を転がっていく。

    やがて使者の攻撃に巻き込まれ、シグマは全壊の危機に瀕してしまう。

    ギリギリ駆けつけた玉姫は、壊れかけたシグマを慎重に抱き上げる。

    「無謀なことしないで! 死んだらどうするの!?」
    『無謀? 言っている意味が分からない。僕は戦うために開発されたんだ!』
    「戦う時は一緒って約束したじゃない!」
    『飾りの玩具にされ続けるのはもうこりごりだ!』
    「だからって……死んじゃったら、そこでおしまいなんだよ……?」

    その時だった。玉姫の目から一筋の涙がこぼれ、シグマの身体を濡らす。

    「……あなたは私の大切な盟約者……あなたの命はもう……あなただけのものじゃないんだから」

    そう言って、シグマを優しく抱きしめる玉姫。

    「……シグマが勇敢なことは知ってる……あなたのことすごく頼りにしてる……
    だから……お願いだから……もう二度とこんなことしないって約束して……」

    シグマは、玉姫の『ココロ』を感じ、身体に熱を感じた。

    『……分かった……もうしない……ごめん……なさい……』

    シグマの玩具の目からは一筋の涙が流れていた。
    それが玉姫の涙で濡れていたからかどうかは、誰にも分からなかった。

    「よし! じゃあ今こそ約束を果たす時ね」
    『約束……?』
    「シグマ。あなたの力を私に貸してほしいの」

    玉姫がシグマを膝の上に乗せると、二人は見つめ合い、決意した。

    「……トランス!」

    戦場に、シグマの重装甲を身に纏った合理体・玉姫が降り立った。

    二人の力によって荒れた戦場を鎮圧できたのは、もはや言うまでもないだろう──。

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  • ラルフェ・インセクト012

    ラルフェ・インセクト012

    トリトミーからやってきた、蜘蛛型の自警/交通安全用ロボ。
    一部の上流家庭でも採用されることがあり、
    性格は家庭的で努力型、
    主人に対しては絶対の忠誠で仕えるよう設定されている。
    今日も主人である「芽路子」のため、
    誠心誠意仕えている。

     芽路子 & ラルフェ

    スパイスに惹かれて……

    香ばしいスパイスの匂い

    ――それを嗅いだ瞬間、当麻芽路子のウジウジした悩みは一気に吹き飛んでいった。

    いくらカレーが好きでも行列のできる人気店に行くのは、芽路子のキャラではない。
    人混みも、キャーキャー言いながら友達と行列に並んでいる人を見るのも、芽路子は苦手だった。

    しかし昨夜テレビでこのカレー店が取り上げられたのを観た途端、
    芽路子はそんな苦手すらも度外視したくなった。

    香りの強いスパイス数種類が調合され、
    野菜も原型が無くなるほどドロドロに煮込まれたそのカレーは、
    まさしく芽路子の好みのど真ん中だった。

    『行列は一時間待ちのようです』

    そう言ったのは、芽路子の盟約者ラルフェ・インセクト012だ。
    芽路子は来なくていいと言ったのに、半ば強引についてきいた。
    盟約してからというのものラルフェは、芽路子を「主人」と慕い、
    まるでSPや執事のように絶えず彼女の周囲を警戒し、ついてまわった。
    芽路子はそんなラルフェを時折鬱陶しく感じるのだが、強くは拒めないでいた。

    2人が行列に並んで30分ほど経過した時のことだ。

    芽路子の前に並んでいた女子大生風の若い女性が「あ!ここ、ここ!」と明るい声を上げた。
    見ると、彼女の友達らしき若い女性たちが明るい笑顔で駆け寄ってくる。
    そして、なんと彼女たちは行列の中へと割り込んだのだ。その数は、5人!
    その瞬間、芽路子に怒りのスイッチが入った。

    芽路子は苦手な行列を30分も我慢し、やっと中ほどで辿り着いたというのに目の前の女たちは何の努力もせずに自分の前にいる

    ――それが許せなくてたまらなかった。

    と言っても、芽路子は彼女たちに直接怒りをぶつけるわけではない。
    芽路子にできることは、誰にも聞こえないような小さな声で彼女たちを呪うことだけであった。

    ――なんでもいい……なんでもいいから、この人たちが不幸になりますように……。

    そしてその願いは叶った。

    彼女たちが入店直前、カレーソースが底をつき、店は急遽閉店となったのだ。
    「えー」と不満の声を上げる若い女たち。
    芽路子はそれを見て、ニヤリと笑った。

    だが、同時に重大な事実に気づく……
    売り切れでは芽路子もカレーが食べられない!

    我慢して行列に並んでいた1時間は何だったのか……。
    芽路子は落胆し、ガックリと道端にひざまずいた。
    そんな芽路子に手を差し伸べたのは、ラルフェだ。

    『諦めるには早いです。まだ別の手があります!』

    ラルフェは、こんなこともあろうかとこの人気カレー店に2号店があることを調べ上げていた。
    それがあるのは、この店から数キロ離れた高層ビルの最上階。
    だが、一つ問題があった。2号店もあと数分で閉店時間を迎えるのだ。

    「……それ無理ゲーじゃない」

    芽路子は絶望感丸出しの溜息を吐いて、トボトボと帰ろうとした。
    だが、ラルフェは諦める気配がまるでない。
    芽路子は、ラルフェのしつこさにとうとう折れてトランスに合意する。
    仰々しい機械に包まれたトランスユニオンと化すと芽路子は憂鬱な溜息を吐く。
    はっきり言って芽路子はこの姿が好きではなかった。

    「……トランスまでして何をする気なの? とっとと済ませてよね」
    『すぐに終わらせます。絶対にあなたにカレーを食べさせますから……』

    それを聞いて芽路子は嫌な予感がした。
    ラルフェは使命に燃えると、時たま暴走してしまう傾向にあった。
    嫌な予感は的中し、芽路子の身体は、猛スピードで道を越え、雑居ビルを越え、一直線に高層ビルへと突き進む。
    そして気がつけば、芽路子は高層ビルの壁を蜘蛛のように這い上がっていた。
    カレー店に着く頃、高所恐怖症の芽路子が恐怖のあまり失神していたのは言うまでもない。

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  • キュア・メディスン119

    キュア・メディスン119

    トリトミーからやってきた、医療用武装メカナース。
    合理主義のトリトミー出身でメカにも関わらず、
    何故かミスを連発するドジっ子。
    しかし、失敗してもめげず常に明るく前向き。
    キュアから見て冷静で完璧な、盟約者の玉姫に憧れている。

     玉姫 & キュア

    トラブル・ガール

    玉姫は定理者になる前、パラドクスシックの専門医を志していた。
    そんな彼女のロジックに共鳴する新たな盟約者として選ばれたのが──キュア119だ。
    キュアはセプトピア各地の被害を食い止めるために、主に民間人救護の遠征部隊としてトリトミーからALCAに派遣された、トリトミーの武装メカナース。
    戦地での救命任務を目的として開発されており、あらゆる医療器具はもちろんのこと、
    有事の際に患者を護衛するための武器も完備されている。
    玉姫とキュアの盟約は自他ともに認める最高の相性──のはずだった。

    その日、戦地で苦しむパラドクスシック患者を救うために、玉姫とキュアは現場に駆けつけていた。

    「キュア! 合体よ!」
    『はい! 皆さんのお役に立つのです!』

    そう言って玉姫に近づこうとした瞬間、地面につまづいてしまうキュア。
    おもわず玉姫の胸に手をついて身体を支えた。

    「ちょっと! どこ触ってるの!?」
    『ご、ごめんなさいなのです……! 足元の地形を計算に入れてなかったのです!』

    キュアの足元は、何の変哲もない平らな地面だ……。
    玉姫はそれ以上突っ込むことはやめ、気を取り直して合体。被害者の救護活動にあたった。
    持ち前の医学知識でキュアの医療器具を的確に使いこなし、患者を助けていく。

    『やっぱり玉姫さんはすごいのです! とっても勉強になるのです!』

    人間にもかかわらず的確な治療行為を施す玉姫は、キュアにとっての憧れであり目標とする存在だった。
    玉姫に絶対的な信頼を寄せ、慕っていた。
    玉姫はそんなキュアを愛おしく思っていた。
    おっちょこちょいなところはあるものの、
    失敗しても決してめげずに前向きなのがキュアの良いところだったからだ。

    そんな時、新たな使者襲来の一報が舞い込んだ。
    玉姫とキュアは緊急対応のため、現場へと向かい、直ちに合体。暴れる使者と相対する。
    今度こそ役に立ちたいと考えたキュアは、自身の特殊装備・透視光線によって使者の弱点を見破ることを提案。
    さすがはメカナースだけあって瞬時の判断力は早い。

    「お願い! キュア!」

    ところがキュアは使者に狙いを定める前に透視光線を発し、
    誤って玉姫自身に当ててしまう。
    合体時のコスチュームだったピンク色のナース服が徐々に透け、
    玉姫の裸体が露わになっていく。
    「キュア! どこ狙ってるの!」
    『はわわ! またやってしまったのです! ご、ごめんなさいなのです……!』

    玉姫は呆れつつも、一刻を争う事態だったため、そのままの姿で戦いに身を投じるしかなかった。

    また一人、手のかかる妹が増えたかな──。

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  • シュガ-・ディーバロイド741

    シュガ-・ディーバロイド741

    トリトミーからやってきた、アイドルアンドロイド。
    スタンドマイク、スピーカーポッドを装備している。
    セプトピアには、次元を超えたアイドルとして活動を広げるためにやってきた。
    可愛いは正義で、楽しいことが大好き。
    戦闘任務も、彼女にとってはアイドル活動の一部に他ならない。

     アシュリー & シュガー

    地下室のメロディ

    『「魍魎大行進!!!」』

    艶鬼と合体したアシュリーがロジックドライブを放った。
    その瞬間、研究所の壁、床、天井に現れる無数の渦巻き――鬼道だ。
    やがてその中から魑魅魍魎、子鬼たちが現れ、
    アシュリーを取り囲んでいた敵たちを一斉に襲う。
    アシュリーは、凄まじい威力を持った艶鬼のロジックドライブに感心しつつも、
    (……地獄の幼稚園みたい……)
    と、可愛らしくも狂暴で元気な魍魎と子鬼たちの姿に、やや引き気味だ。
    ともあれ、このロジックドライブのおかげでこのフロアの使者たちは掃討できた。

    「艶鬼、そろそろ合体を解除しましょう」
    『いけずやわぁ、 もう、ちぃーとだけええですやろ?』
    「ダメです。トランスリミットに近づいてますし……」

    こうして、艶鬼との合体を解除して、アシュリーはシュガーを呼び出す。

    『作戦終了? だったら成功記念コンサートを』
    「まだです!!」

    アシュリーとルカが、使者大量襲来の元凶であったゲートカードの暴走を止めて1時間。
    通信で確認すると、研究所内を含め、
    各地での混乱は収束に向かいつつあるようだったが、まだまだ予断は許されない。
    敵がこれ以上増える恐れはないが、
    この世界にまだどんな手強い敵が残されているのかわからないのだ。

    「シュガーを呼んだのは、まだまだどんな危険が潜んでいるかわからないからですわ」

    少しガッカリなシュガー。

    『戦いかぁ……コンサートがよかったなぁ……』

    その時、艶鬼が異変に気づいた。

    『はてなぁ?』
    「え?」
    『なんか・・・妙な音が・・・聞こえへん?』

    耳を澄ますアシュリー。
    ドンドン……ドンドン……。
    研究所内のどこからか、何かを叩くような音が聞こえた。
    おもむろにシュガーが口を開いた。

    『……ドラムの練習?』
    「こんな時にそんなことをする人はいません!」

    と、つっこむアシュリー。

    『まぁ、敵やろな……』

    艶鬼に頷くと、アシュリーはシュガーと合体し、
    その音に導かれるように階段を下りていく。
    どうやら研究所の地下から響いているようだ。
    ドンドン! ドンドンドン!!
    さらに音はハッキリと聞こえる。
    地下の突き当りにドアが見えた。音はその中から聞こえているらしい。
    アシュリーたちは息を呑んで、そのドアを開けた。

    「……え?」

    中にいたのは、一般市民だった。
    ゲートカードの暴走が起きた時、逃げ遅れた人々だ。

    「助かった……このドアは中から開けられないんだ」

    ALCAの通信を傍受して、作戦の成功を知り、
    意を決して助けを呼んだのだと人々は話す。
    この地下シュルターには、耐パラドクスゾーンの対策が施されており、
    逆理病の心配はなかったが、さすがに肉体的にも精神的にも疲労困憊の様子だ。

    「もう安心です。さあ、私たちと一緒に逃げましょう」

    手を差し伸べるアシュリー。
    その時、外から爆発音が聞こえた。

    「いやあ! 怖い!!」
    「!!」

    中にいた子どもの怯えた声だ。
    研究所の家族もこのシュルターに避難しており、子どももたくさんいた。

    「大丈夫。外ではまだ戦闘が続いているところもあるけど、私たちが守るから」

    アシュリーは優しくなだめるが、全員、シェルターから出ることを怖がり、
    なかなか出ようとしない。
    すると、突然、地下室にメロディが響き渡った。
    合体しているシュガーが、装備を使って曲を流し始めたのだ。
    (え!?)
    戸惑うアシュリー。

    『ここを出る前に、みんなをちょっと元気にしてあげようよ、アシュリー』

    ハッとして見ると、子どもたちは泣くのをやめて、アシュリーを見つめている。
    (……ここは、シュガーの言う通りかもしれない)
    まずは子供を落ち着かせるよう、柔らかく童謡を歌う。
    子供たちの表情が明るくなるのを見て取ったアシュリーは、能力を全開。
    一気にコンサートモードに突入した。
    心に染み入るバラード、軽快なポップス、激しいロック……
    いつの間にか持ち歌を増やしていたアシュリーとシュガーは、
    メドレー形式で、疲れきった人々に笑顔を届けようと必死に歌い踊る。
    その思いは人々に伝わっていった。
    苦しかった日々を忘れるかのように、
    大人たちも、子どもたちも笑顔の花を咲かせていく。
    (ああ……よかった)
    人々の顔を見渡し、心から嬉しく思うアシュリー。
    だが、その中に目がハートになっている艶鬼の姿が。
    キュートに歌い踊るアシュリーにときめいてしまったらしい。
    その艶鬼の目に、イヤな予感を覚えるアシュリー。
    やがてメドレーは、ダンサブルなナンバーに突入。

    「アシュリーはん、やっぱり最高やわあ!!」

    イヤな予感は的中。
    艶鬼は周りの人々を巻き込んでアシュリーに声援を送り出す。
    (艶鬼のためにやってるんじゃないんですけど……ま、いいか)
    そんな艶鬼を苦笑いで許すアシュリー。
    地下シェルターを埋めていた不安や恐怖の空気は消え、みな明るい笑顔になっていた―

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  • メガル・ポリスロイド461

    メガル・ポリスロイド461

    トリトミーの治安を守る、警備用アンドロイド。
    セプトピアには使者の護送のためやってきた。
    ルールや法律を守ることを大切に考えており、
    マナーにもうるさいのでちょっと煙たがられることも。
    交通違反から立てこもり凶悪犯の鎮圧まで、警察業務のすべてに対応できるよう様々な装備を使いこなす。

     ジーク & メガル

    いい子じゃなくて……

    ある日、司令部に呼び出されたジークハルト。

    「ほかでもない。最近の君の活躍を評価していると伝えたくてね」

    そう言って上司は笑顔でジークハルトを迎えた。
    個性的なロジカリストや盟約者が揃うALCAの中で、
    ジークハルトの功績はまさに優等生、と言えるべきものだった。
    市民をパラドクスゾーンの被害に巻き込むことなく、
    戦闘で建造物や街の公共物を破壊することもほとんどない。
    そのスマートな解決に、ALCA上層部の評価も絶大。
    市民から感謝の声も多く寄せられていた。
    ところが、ジークハルトはそれに喜ぶことなく、淡々と受け入れている様子だった。

    「嬉しくないのか?」

    と上司。

    「嬉しくないことはないですが……」

    ジークハルトの理想は高かった。
    いくら評価をされても満足することはない。
    一人でどんな敵でも立ち向かえるようなカッコいいロジカリストにならなきゃ
    ――常に、そんな思いを秘めていた。
    やがて司令部を後にして、自由時間に街を散策するジークハルト。
    その時、目に飛び込んできたのが、盟約者のメガル・ポリスロイド461だった。

    「メガル! 何をしてるの?」
    『交通安全ヲ呼ビカケテマス』

    トリトミーの治安を守る警備用アンドロイドだったメガルは、
    セプトピアの世界に来ても自主的にパトロールやちょっとした治安維持活動をしていた。

    『ココハ事故ガ多イ場所ナノデ……』
    「そうか。確かにここは車が通る量も、歩行者の数も多いからね。」

    ジークハルトは周囲を見渡すと、ふつふつと正義の気持ちがわき立った。

    (街の人を交通事故から守らなきゃ!)
    「僕も手伝うよ」

    そう言ってジークハルトは、横断歩道を挟んで、メガルと反対側の歩道に立った。
    ジークハルトなりに鋭い眼光で、道行く人が危険な目に遭わないか監視する。
    危うく車に轢かれそうな子供を身を呈して救う
    ――いつでもそんなヒーローのような行動がとれる心の準備をしていたが、

    「信号は青になってから渡ってね」
    「車が飛び出してくるからも知れないので、よく注意してくださいね」

    優しく気が利く性格のため、人々が危険な目に遭う前に、ジークハルトは声をかけ事故を未然に防いでいく。
    なので、ヒーロー的な行動をとる場面はいつまでも訪れなかった。
    一生懸命になればなるほど、ジークハルトの行動は「ヒーロー」というよりますます「優等生」になっていく。
    お年寄りがやってくると手を引いたり、背負って横断歩道を渡るのを手伝った。

    「そんな悪いわよ」

    遠慮するお婆ちゃんに、ジークハルトは首を振って笑顔で答える。
    「横断歩道を渡っている途中に信号が変わって事故になることもあるんです。
    遠慮なさらないでください」

    そんなかいがいしいジークハルトの姿をメガルは熱い視線で見つめていた。
    やがて日も暮れた頃、ジークハルトはメガルに、

    「そろそろ帰ろうよ」

    と、呼びかける。
    ジークハルトに近づいてくるメガル。
    ところが、メガルは無言のままジークハルトを見つめている。
    その視線はなんだか熱っぽい。

    「? ど……どうしたの……?」

    もしやと思って訊ねると、メガルは優しくジークハルトの頭を撫でてきた。

    「あ! ちょっと!」
    『ジーク、トテモイイコ、トテモカワイイ……』
    「う、うん、わかったから……」

    と、言っても頭を撫でるのをやめてくれないメガル。

    (僕なりに街の人を守ろうとがんばったのに……なんでこうなるんだろ)

    けれども、ついやってしまう行動はお行儀のよい優等生。
    ジークハルトは溜息をついた。
    いつになったら、「カワイイ」じゃなくて「カッコいい」と言われるようになるんだろうか――と。

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  • ティーブ・ゴラン45

    ティーブ・ゴラン45

    トリトミーからやってきた、砲撃戦用戦闘マシン。
    細身の機体に、各種砲撃兵装を選択してマウントできるが、
    毎回フル装備で出撃しようとするため、設計思想が無駄になっている。
    機械にも関わらず、非常に喧嘩っ早い猪突猛進な性格。
    そのためか、クロエとはナチュラルに気が合う。

     クロエ & ティーブ

    最凶のふたり

    「敵は4体。いずれも強固な装甲と銃火器を装備したアンドロイド型の使者の模様。
    相当な戦闘能力が予想される。苦戦になると思われ、慎重な対応が求められる。
    さらに現場は――」

    ALCAの分析官からの通信を聞きながら現場へと向かうクロエ。
    すでに相棒のティーブとは合体済み。
    クロエは、ジェットブースターで空を滑空するのが心地よく、
    ALCAからのそんな声も話半分でしか聞いてなかった。

    「きゃっほー! あ、ヤバい。全然聞いてなかった。ティーブ聞いてた? 手強そう?」
    『細かいことをゴチャゴチャ言っていたが、まあ、オレたちの敵じゃねぇよ』
    「だよねー。よーし、現場が見えてきたッ!!」

    現場はどうやら工場らしい。
    敵がいる位置は捕捉済みだ。

    「やっちゃう?」
    『当然! 先手必勝だからな!』
    「ティーブ、わかってるー!! ってことで、ウルトラミラクルクラッシャーミサイル!!」

    ド、ド、ドーン! と、クロエから放たれたミサイルは工場を直撃!
    ド派手な爆炎が上がる中、クロエは現場へと降り立った。

    『な、なんだ!?』
    『敵襲か!?』

    奇襲に混乱する敵たち。まさに、クロエとティーブにとって理想的な状況である。

    『一気に畳みかけるぞ!!』
    「オーケイ! エクストラハイパーパワードキャノン!!」

    最強のコンビネーション。
    互いのイケイケな性格がバッチリ噛み合い、息つく間もなく攻撃を仕掛けるクロエとティーブ。
    再び凄まじい爆炎と爆音がこだまする中、あっという間に3体の敵をなぎ倒し、
    残るはリーダー格の1体。
    なんの迷いもなく、一心同体で攻めてくるクロエとティーブに、敵も動揺を隠せない。

    『ちょ、ちょっと、待て! よく考えろ。ここは――』

    敵の言い訳など聞く耳持たず――クロエはその言葉を遮った。
    「もんどーむよおおおッ!!」
    『言い訳なら地獄でやりやがれッ!!』
    「バーニングサンダーフルブレイクバーストッ!!!」

    ミサイル、ビームが一斉に発射される最強の必殺技が炸裂。
    作戦担当の予想を覆し瞬殺で勝利を決めた。
    そして戦闘終了後、司令部へと向かったクロエとティーブ。
    意気揚々と戦果を報告するクロエたちに、
    ヴェロニカは背を向け窓の外を眺めている。

    「ティーブ最高! ミサイルがバーンで当たると気持ちイイね!」
    『オレも、クロエ、お前と組めて良かったぜ!』

    互いに最高のパートナーと認め合い、気分も最高だった。

    「これからもティーブと私に任せてよ。どんな敵だってお茶の子さいさいなんだから」

    と、ヴェロニカに鼻高々と告げるクロエ。

    「……ほう。ALCAに財政破綻しろと言いたいわけか?」
    「……は?」

    視線を外したまま声を震わせるヴェロニカ。
    現場の工場は貴重な薬品を製造するプラントだったのだ。
    それを敵と一緒に破壊しまくったのだから、
    計り知れない賠償額がALCAに突きつけられると予想される。

    「通信でも、くれぐれも工場は傷つけるなと言ったはずだが……お前ら聞いていたのか!?」

    怒りを爆発させ、視線を向けるとクロエとティーブの姿はすでに消えていた。
    クロエとティーブ――
    逃げるタイミングも、あうんの呼吸である。

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  • アルヴ・レイザード000

    アルヴ・レイザード000

    トリトミーからやってきた、エリート軍人機体。
    ALCAの要請で派遣されてきたうちの一人で、
    軍人として任務をこなすことを第一に考える、真面目な性格。
    主兵装は大型のビーム弓で、自ら高速で移動しながら
    中距離からの正確な射撃で相手を制圧する戦術を得意とする。

     葵 & アルヴ

    真面目×真面目

    任務のため、葵とアルヴがやってきたその街は、他とは違う雰囲気が漂っていた。

    『この街に漂う白いモヤのようなものは一体……?』

    戸惑うアルヴに、葵は落ち着いたまま答えた。

    「……湯けむりよ」

    二人がやってきたのは、とある温泉街。
    あちこちに湯けむりが漂い、硫黄の匂いが鼻につく。
    石畳の道に売店が軒を連ね、浴衣姿の老若男女が幸せそうな笑顔で行き交っている。
    この平和な温泉街にトランスジャックの常習者が潜んでいる、らしい――。
    その通報は単なる噂話の域を出ず、いたずらか見間違いの可能性が高い。
    だが支局は渡りに船とばかりに、葵とアルヴのコンビに温泉地での「潜入調査任務」を命じた。
    ・・・そうでもしないとこのコンビ、有休も消化せず働きづめで、
    自分たちから休もうとしないのだ・・・

    『……とりあえず、あれに着替えましょう』

    葵とアルヴは、空振りに終わる可能性が高いとはいえ、
    一応カムフラージュのため浴衣に着替え、湯治客を装うことにした。
    そして足湯、打たせ湯、砂風呂、大浴場に卓球……と、温泉街をめぐり、
    怪しい者はいないかと目を光らせる葵とアルヴ。

    「……それらしき者はいないわね。やはり何かの間違いなのかしら?」
    『恐らくは。しかし万一本当なら、そう簡単に尻尾は見せないでしょう。楽観は禁物です』

    葵とアルヴは真面目そのものだ。
    温泉地にいようが、その雰囲気に流され楽しんでしまおうなどと微塵も思うことなく、
    ただ実直に任務遂行のために動いていた。
    だがある時、葵はふと自分たちを周囲の人々が不思議そうな目で見ていると気づき、
    ハッとする。

    『どうかしました?』
    「アルヴ……私たちもっと楽しんだほうがいいかも。なんだか周りから浮いているみたい」
    『確かに私たちが怪しまれては、使者にも気づかれてしまいますね……』
    「うん、た、楽しみましょう。周囲に溶け込むよう、がんばって」
    『命令、了解です。可能な限り善処、します』

    楽しんだふりをしようと試行錯誤をしてみるが、やはりどこかぎこちない。
    途方に暮れかかったその時、
    葵とアルヴの目に楽しそうに温泉街を闊歩する男女二人が目に飛び込む。

    「あの、すみません!」

    葵とアルヴは声をかけ、「一緒に遊んでくれませんか」と頼み込んだ。
    この男女に紛れていれば、自分たちも自然と楽しんでいるかのように見えると考えたのだ。
    だが、いきなりそう言われても驚き戸惑うばかりの男女。
    それを見て、葵は正直に事情を打ち明けようとした。

    「実は私たちはALCAの――」

    その途端、男の態度が一変する。

    『ちっ、勘づかれたか!』
    「?? はい???」

    偶然声をかけた男の正体はなんと使者だった。
    男はすぐさま女をトランスジャックし、
    葵とアルヴの目の前には巨大で邪悪そうなロボットが現れた。

    「アルヴ、私たちも!」
    『了解!』

    すさかさず葵とアルヴも合体。
    葵の身体は蒼色の装甲に包まれ、使者の攻撃を素早く躱しながら立ち向かっていく。

    「エクシードブラスター!!」

    叫び声ととともに、ビーム弓が敵に炸裂。見事に打ち倒したのだった。
    こうして事件も無事解決。温泉街を後にして、葵とアルヴは司令部に戻った。
    ところがそこにいたのは、浮かない顔をした上司だ。

    「命令は遂行できたと思ったのですが……」
    「・・・私は君たちに、無理やりにでも休んで欲しかったのだが・・・
    任務と言えども、温泉地にいれば自ずと楽しんで休んでくれると思ったんだが、
    まさか本当に使者がいるとは……」
    「とんでもない。偶然とはいえ、街の平和を守ることができて良かったです……」

    葵はホッとしたような笑顔を見せると、アルヴも同じように笑顔で頷いた。
    真面目すぎる二人に、上司も頼もしく思えるような呆れたようなそんな気持ちで苦笑いを浮かべるのだった。

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  • ピノ・プレート964

    ピノ・プレート964

    トリトミーから派遣された、愛玩用ロボット。
    子供の遊び相手になることが第1の任務であり、
    子供に付き従い、常に子供を守るようプログラムされている。
    いざという時のため装備している2丁のビームガンは、
    状況に応じ様々な効果の光線を発射できる。

     葵 & ピノ

    ピノのお仕事

    公園に響く子供たちの明るい声。
    都会の公園のわりには遊ぶスペースが広く、子供たちは所狭しとはしゃぎ回っている。
    それを尻目に葵は一人、ポツンと所在なさげにベンチで座っていた。
    かれこれ二時間。
    ピノが子供たちと夢中になって遊び始めてからずっとそんな感じだ。
    子供の遊び相手のために作られた愛玩ロボットだとは言え、
    たくさんの子供を見ると一緒に遊ばずにはいられない性分は困ったものだ、
    と葵はやや途方に暮れていた。

    「ねえ、ピノ。そろそろ行きましょう」

    葵は子供たちの中心にいるピノに声をかけた。

    『モウチョットダケ、イイダロウ?』

    まるで母親に逆らう子供のように答えるピノに、葵は溜息。

    「遊びたい気持ちはわかるけど、私たち任務の途中なのよ」

    この近辺で、トランスジャックを繰り返す使者がいるとの情報があり
    二人はパトロールに来たのだ。
    いつまでも同じ場所に留まっているわけにはいかない。
    けれども、ピノにはそんな事件よりも子供と遊ぶほうが大事。
    それがピノの仕事であるからだ。
    なんとか遊び続けようと知恵を絞る。

    『ナラバ、葵モイッショニ、アソンデクレタラ、シゴトニモドル!』
    「……どうしてそういう話になるんです?」
    『イイカライイカラ!』

    このままじゃ埒が明かない――と、葵は仕方なさそうに頷く。
    葵の心中も知らず、子供たちは仲間が増えて楽しそうだ。

    「こんなに人がいっぱいいるなら『ケイドロ』やろうよ!!」
    「いいねいいね!!」

    と、大盛り上がりだ。

    「……『ケイドロ』とは何でしょうか?」

    ところが、葵はその遊びを知らずキョトンである。
    名家に生まれ、幼い頃から厳しく躾けられた葵は
    同年代の子供と遊んだことがまるでなかったためだ。

    『オシエテヤロウ!』

    ピノはクスッと笑いながら葵に耳打ちする。
    セプトピアに来て間もないのに、すでにこの世界の子供の遊びに精通してるのはさすがだ。
    ピノから説明を受け、警察と泥棒に分かれてやる鬼ごっこの一種らしいと
    葵はすぐに理解すると、すぐさまゲーム開始だ。
    一斉に駆け出す子供たちとピノ。葵は警官だ。
    必死に追いかけ子供たちを捕まえていく。

    「よし捕まえましたよ! あれ???」

    葵の想像を超えてすばしっこい子供たち。
    葵が捕まえようとしてもするりと逃げていく。

    (これなら使者を相手にしているほうが楽です……)
    ようやく全員捕まえた頃には、葵はもうヘトヘトだ。

    『ヨシ! コンドハ ボクガ 警官ヲヤル!』

    ところがピノはまだまだ元気。

    「え……一回やったら仕事に戻るんじゃなかったんですか??」

    葵が異を唱えると子供たちからブーイング。
    まだまだ葵とピノと一緒に遊びたいようだ。
    子供たちの熱意の前に、葵も強く言えず、どうしようかと迷い始めた。

    その突然、公園に緊急警報が鳴り響いた。
    同時に、司令部から通信。
    どうやら近くに出現した使者がこの公園まで逃げ込んだらしい。

    「ピノ、早く子供たちを避難させなきゃ!」
    『……モウ、オソイ』

    葵たちの目の前に、その使者が現れた。
    怯えて泣き出す子供たちをピノは励ました。

    『ダイジョウブダ コンナヤツ、ボクト、アオイデ、ブッツブス!』
    「ほんと?」

    ピノの言葉に子供たちは泣き止んだ。

    『デキルヨナ、アオイ?』

    そこにはさっきまで遊びたいと駄々をこねていたピノはいない。
    大切な子供たちを守るためなら何だってやる、子供たちのヒーローそのものだった。
    葵は力強く頷いた。

    「……もちろんです。やっつけちゃいましょう」

    そして合体する二人。
    その姿を見て、子供たちから歓声が上がる。

    「がんばれお姉さーん!!!」

    その声を背に葵はいっそう思いを強くする――
    任せてください、私とピノが君たちを絶対に守るから、と。

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  • ルカ・キャンドル237

    ルカ・キャンドル237

    トリトミーの介入によって生じた混乱を収拾すべく、
    自らセプトピアにやって来た女性機体。
    タクト、ナイフ、レイピアにモードチェンジする近接装備と、
    これによってコントロールされる多数のファンネルビットを装備。
    調和のとれた、秩序ある世界を理想としており、悪人もまずは説得から試みる優しい性格。

     アシュリー & ルカ

    炸裂トライコンセントレート!!

    その日、アシュリーはよく鼻歌を歌っていた。
    それにスキップしてしまいたいほど軽やかな足取り。
    定理者に目覚めてからこれほど楽しい気分になったのは初めてではないだろうか――
    と、アシュリーは思っていた。

    その理由はすべて、アシュリーの少し後ろを歩くルカの存在だ。
    金髪でしとやかなその姿――
    まるで名作文学の世界から抜け出してきたかのような、ルカの適応体。
    しかして元の世界での姿は、同型機の多いトリトミーの使者たちの中でも1体しかいないワンオフの高級機。
    黄金に輝く優美なドレスを思わせる姿に、
    アシュリーは遂に自分の理想たる「異世界の使者さま」が訪れた!と舞い上がってしまった。
    ルカと盟約を結ぶのは自分しかいないと、すぐさま盟約者に立候補したのである。

    一方のルカはアシュリーとは対照的に、足取りが重そうに見える。
    機嫌が悪いわけではなく―そもそもトリトミーの使者である彼女にそんな『ココロ』はない―、
    来たばかりのセプトピアの世界、まだ情報が不足しているので、周囲を探りながら歩いているためだ。

    「もう遅いですわよ」

    そんなわけだから油断するとすぐにアシュリーはルカを置いて行ってしまう。

    『私のことは気にせず。先に行っても構いませんよ』

    本来であればルカは一人で街を散策するつもりだった。
    まだ見知らぬものが多いセプトピアの世界を勉強するためだった。
    しかし、それを知ったアシュリーが「私がご案内しますわ!」と言ってついてきたのだ。

    「やっぱり、ご迷惑でしたか……」

    声のトーンを落とすアシュリー。ルカの言い方が冷たく突き放すように聞こえたためだ。

    『いや、そうではないのですが……』

    言葉を濁すルカ。
    (……この世界の者への対応は難しい)
    ココロというものが、まだ理解できないルカ。
    浮き沈みの激しいアシュリーのココロに戸惑うばかりだった。
    その時、「あああ!」と子供の悲鳴が聞こえた。
    手に持っていた風船をうっかり離してしまい、舞い上がった風船は高い木の枝にひっかかっている。

    「かわいそうに……ルカ、助けてあげることはできませんか?」
    『? 木に登るんですか?』

    問い返すルカ。風船がひっかかった木に登るのは、大人でもかなり苦労しそうだからだ。

    「その・・・例えば合体、してみるとか、どう、でしょう・・・?」
    『合体……?』
    「そうすれば、あの風船をとることも簡単にできると思います!」

    再びアシュリーのココロは浮かれ上がり、ルカに向かってニッコリと笑う。
    アシュリーは、ルカと合体した自分の姿をとても気に入っていて、何かにつけてすぐに合体したがる傾向があった。

    『ですが……』

    (今後の行動結果が悪化されると予測される……)
    つまりルカは、人間で言うならだんだんと「不安を感じ」始めていた。
    混乱を収拾するためこの世界にやってきたのに、アシュリーが盟約者で目的が果たせるのだろうか――と。
    そんなルカの迷いを試すように、使者の出現を告げる警報が鳴り響いた。
    司令部からの通信によれば、現場はルカとアシュリーがいる場所に近い。

    『行きましょうアシュリー』
    「はい!」

    子供と傍の親にすぐに避難するよう伝えると、二人は直ちに現場へと直行した。
    (この戦いによっては盟約相手を再検討しよう……)
    今やルカはそんな判断に至っていた。
    現場で暴れ回っていたのは、モノリウムの使者。
    象の獣人で、アシュリーの数倍の巨大さだ。
    それを見て、すぐさま合体したアシュリーとルカ。

    「いきます!」

    ルカは勢いよく相手との距離を詰める。

    『アシュリー、いけません。不用意に相手に近づいては――』

    注意を促そうとした矢先、敵が目の前から消えた。

    「!」

    敵は見かけとは裏腹に軽快なスピードで、あっという間にアシュリーの背後へ回っていた。
    そして、不意を突いて先制攻撃を仕掛ける。

    『危ない!』

    敵の拳がアシュリーに迫る。ルカは避けきれないと計算した。が―

    「バリアビット!」

    アシュリーが叫ぶと、ファンネルが宙を舞いフォースフィールドを発生。
    敵の攻撃を間一髪防ぐ。
    そして、息つく間もなく再びアシュリーが叫んだ。

    「ノクターンビット!」

    いつ間にか、敵の背後に不可視化されたファンネルが配置されていた。
    見事に敵の裏を書き、奇襲を浴びせる。
    のたうち回る敵を見て、ルカの「再検討」が中断する。

    『見事です……』

    バリアビットは、先日の出撃でルカが操り敵の攻撃を防いでみせた装備だ。
    一度使った装備だから、アシュリーでも使いこなせるのはまだわかる。
    しかしノクターンビットは、まだアシュリーには詳しく教えていない装備だ。
    合体していると、お互いの知識や記憶はある程度共有される。
    そうだとしても彼女がノクターンビットを、しかも完璧なタイミングで使いこなすとは、正直ルカの「計算外」だった。

    「そんな……お褒めいただき光栄ですが、
    私はただルカの盟約者になれたのですから、一生懸命やってるだけですわ……」
    『一生懸命……?』
    「つまり……好きな方にはがんばって尽くしたいってこと……でしょうか」

    アシュリーはそう言ってはにかんだ。

    「合体させていただいたとき、ルカには様々な能力があることが、わかりましたわ。
    私が至らないせいで、その素晴らしい力を発揮できないなんて、とても辛いこと・・・悲しいことですわ・・・
    なので、合体するたびに知ったこと、教えていただいたことをメモにまとめて、
    昨日よりも今日、今日よりも明日、もっともっとルカの本当の力を使いこなせるよう、自分なりに復習しているのです」

    視線を上げると、アシュリーは胸を張って答えた。

    「―これが私の、一生懸命、ですわ!」

    その瞬間、ルカは自分の判断が間違っていた、と結論する。
    今もココロは理解できないが、アシュリーをここまで突き動かすものならば、
    ココロとはきっと自分の計算を超えた何か、に違いない――と。
    敵はまだ倒れたわけではない。
    力を振り絞り、殺気立った目で再攻撃を仕掛けようとしていた。

    『貴方なら、私の本当の能力も使いこなせるでしょう』

    アシュリーの持っていた武器が、ナイフからタクトにモードチェンジする。

    「これって……」
    『全てのファンネルたちを指揮するのです。思うままに、このタクトで。
    貴方ならきっと計算以上の威力を発揮できると確信しています。
    アシュリーは「一生懸命」、なのですから……』

    アシュリーに、それ以上に嬉しい言葉はない。
    最高潮に盛り上がった気持ちで声を弾ませた。

    「その期待、裏切りません!!!」
    アシュリーがタクトをふるうと、数多のファンネルたちは規則正しい配列で敵の周囲を取り囲む。

    『「ロジックドライブ! トライコンセントレート!!!」』

    その叫び声とともに、一斉にファンネルから放たれる光。
    あらゆる角度から、正確に、敵に向かって一直線に光の粒子が伸びる。
    それはやがて、一点を射抜く集中砲火となった。

    『グアアアアアッ!!! ウオオオオオッ!!!』

    それまでアシュリーの攻撃に耐えていた敵も、その凄まじい攻撃を防ぎようがなかった。断末魔の声ととも、ついに敵は倒れた。
    トライコンセントレートはまさに祝砲
    ――アシュリーの歓喜を祝うド派手な花火のようだった。

    そして戦いが終わったとき。
    1機のファンネルが木の上の風船を優しく捉えると、何処かへと運んでいくのが見えたという―

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