キャラクター&ストーリー

テトラヘヴン

  • アルテミス

    アルテミス

    テトラヘヴンからやってきた、ミステリアスな「月の女神」。
    長身で細身の美女で、詩をこよなく愛し、詠う。
    盟約者となったパートナーの事を、あたかも月の光が照らすように、優しく見守っている。

     学 & アルテミス

    嵐の前

    ニーナたちの分析によって、使者たちが大挙襲来した原因が突き止められた。
    実験段階にあったゲートカードの暴走によって、
    各異世界との間に次々とゲートが開き、
    それを通じて招かれざる客たちが押し寄せたのだ。
    新型ゲートカードを手にした定理者たちの奮闘で、
    市街地での騒動は沈静状態に向かいつつあった。
    しかし、ALCA研究所の暴走しているゲートカードを止めなければ、根本は解決しない。
    ただちにオルガを中心に作戦が立案され、今、実行の時を迎えていた――。

    「よりによってこんな時に……」
    慌ただしく鳴り響く警報に、司令部の一同は苦虫を嚙みつぶしたような顔を浮かべた。
    作戦実行のため、出撃準備をしていた最中に敵が再び大挙して襲来したのだ。
    その目標は、ALCA本部である。
    作戦を続け攻めるべきか、定理者たちを待機させ守るべきか。
    危険を承知のうえで作戦を決行すべきか。
    それとも、中止にして本部を防衛するか。
    現行の作戦では、本部の防衛に当たる定理者は学ひとりだけだったためだ。
    苦悩の表情を浮かべるオルガに歩み寄ったのは学だった。

    「……作戦は続けるべき」
    「しかし!」
    「大丈夫。本部は私一人で守る」

    学の鬼気迫る表情に、オルガも決断する。

    「……わかった。作戦決行だ」

    学の決死の覚悟は、他の定理者たちにも伝わり、士気はいっそう高まった。
    だが、その中で一人、アルテミスが学を心配そうに見つめていた。
    (……あの子、まだ死に場所を求めているのかしら)

    親に捨てられた孤独な出自を抱え、
    今生きる世界に執着を持たず、
    生と死の境界線に憧れのような感情を抱き続けていた学。
    長い間、学を母親のように見つめていたアルテミスは、
    学が抱え続けていた苦悩をよく知っていた。
    仲間たちと歩むことでその闇は消えたように思えたが、
    この危機を前に再びあの感情が蘇ったのか――
    アルテミスの脳裏には、直感的にそんな不安が過ぎった。

    アルテミスと合体した学は、本部の屋上にある狙撃ポイントへ向かう。
    エレベーターの中で、敵の到達予想時間を通信で聞きながら、
    学は無表情のまま静かに目を瞑っていた。
    合体しているアルテミスに伝わるのは、静かな凪の海のような落ち着いた感情。
    学の心の奥底に眠る心理まではわからなかった。

    『……嵐の前の静けさね』

    アルテミスの声が耳元で囁くように聞こえた。

    「え?」
    『あなたの心を表わす言葉……』
    「……嵐」

    学がボソリとつぶやいた。
    その瞬間、学の心がざわめき始めたのをアルテミスは感じた。

    『……あなたの心に炎が見えた。それは自らも焼き尽くす炎かしら?』

    学はクスッと笑うと首を横に振った。

    「……みんなと、約束したんだ」
    『約束?』
    「ぜんぶ終わったら、遊園地にいこうって……」
    『遊園地……』
    「射撃のゲーム。おもちゃのライフルで景品を当てるヤツ。
    私がぜんぶ当てて係の人を困らせてみようって……」

    それを聞いていたのかクロエから通信が入った。

    「そーそー! なんか、楽しそうじゃない?」
    「申し訳ない気もするけど――」

    今度は玉姫からの通信。

    「――キョウトにいる聖那とジゼルちゃんにプレゼントできるもの、
    ゲットできたら嬉しいな……」

    その後、続々と仲間たちから通信が入った。
    いずれも、遊園地で何をしようかという話ばかりだ。
    やがて狙撃ポイントへと到着した学。
    その心は紅蓮の炎に燃えている。
    だが、それは自らを焼き尽くす炎ではない。
    仲間たちとの未来、希望に燃える学の心だ――と、アルテミスに伝わった。
    (杞憂だったわね……)
    今ここにいる学は、もう昔の学ではないと知り、アルテミスは喜びを噛みしめる。

    「敵影、指定距離に到達!」

    司令部からの通信を聞き、学はライフルを構える。
    アルテミスが囁いた。

    『……嵐が来たわ。でも、それが過ぎれば、あとは希望があなたを照らす』
    「―うん」

    一条の光芒。
    先頭の影が音もなく崩れ落ち、押し寄せる使者たちに動揺が走る。
    相手の姿を視認することすら難しい、超・長距離。
    動揺する敵たちに、立て直す隙を与えず次々光の銃弾を当てていく。

    『風よ、嵐よ、しかし我が灯火は消せず』
    「一人も通さない」

    至高の銃撃が、嵐を切り裂いていく。

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  • ルシフェル

    ルシフェル

    テトラヘヴンからやってきた、謎の魔神。
    その正体は、テトラヘヴンに百年戦争を引き起こした張本人の堕天使。
    セプトピアでの平和な暮らしを楽しんでいる様子だったが・・・

     オルガ・ブレイクチャイルド & ルシフェル

    Fallen Genius

    オルガ・ブレイクチャイルドは定理者として
    人並み外れた潜在能力を持つと分析され、
    ALCA入局当初は大型新人として期待が寄せられていた。

    が、その期待は時とともに諦めへと変わっていた。

    オルガは自尊心が高すぎたあまり、
    使者は自分の栄光のための道具に過ぎないと考え、
    使者とロジックを共鳴し合うという精神が欠如していたのだ。

    その結果、後続の定理者たちが次々と盟約する中、
    自分だけ一度も合体経験がないという独身状態が続いていた。
    次第に焦りを感じ始めたオルガは、
    ALCAの捕虜にされていた使者に手当たり次第交渉するが、
    どの使者もオルガと盟約したがらなかった。

    そんなある日、ALCAに意外な訪問者が現れた。

    強力なロジックを有し、
    セプトピアに害をもたらしかねない
    危険な使者だと目されていた、堕天使ルシフェルだ。

    ルシフェルはALCAとの友好関係を提案。
    定理者との盟約を志願した。

    これを願ってもない好機と捉えたオルガは、
    ルシフェルの盟約者として自ら立候補した。

    ところが、真意が読めないルシフェルを危険視したALCAは
    この申し出を却下し、ルシフェルを追い返してしまう。

    ようやく盟約できると思っていたオルガはぶつけようのない憤りに支配された。

    「なぜ……俺だけがっ……」

    しかし、オルガの運命を一変させる事件が発生した。

    ALCAの捕虜だった使者の一人が脱獄し、オルガにトランスジャックしたのだ。
    美親たちは速やかに暴れる使者を殲滅し、オルガを救出。

    しかしオルガはトランスジャックの代償によって、
    なんと定理者の力を持つロジックカードを失ってしまう。

    さらに使者の脱獄はオルガの手引きによるものだという疑いをかけられ、
    オルガはALCAに居場所を失ってしまう事態に。

    不運な己の運命を呪い、自暴自棄になるオルガ。

    そんな時、オルガのもとに現れたのが──ルシフェルだ。

    ルシフェルは失くしたオルガのロジックカードを差し出すと、
    オルガが無実であることを信じると言った。
    そして、共に人と神が共存する楽園を創造しようと提案した。
    さらに、彼の意志に賛同する大勢のセプトピアの人々がいることを伝えた。

    ルシフェルの意志に賛同する人々は、
    定理者オルガを新たなリーダーとして迎え入れた。
    彼らの称賛の声は、オルガの心の奥底にあった
    自尊心と承認欲求を満たすのに十分だった。

    それは女神ネメシスが指摘した、人間の最も弱くてもろいロジックだ。

    全てはルシフェルの謀略だった。
    定理者オルガをALCA内部で孤立させ、自分の味方に引き入れるためだ。

    オルガはルシフェルの声に誘われ、ルシフェルとの盟約を決意。

    「オルガ・ブレイクチャイルドは、ルシフェルにこのロジックを捧げることを誓う」
    『ルシフェルはオルガ・ブレイクチャイルドにこのロジックを捧げることを誓おう』

    一人の天才が出会いに恵まれなかったのは、
    ルシフェルと出会う運命にあったから。
    ――なのかどうかは、それこそ神々すらも知る由はなかった。

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  • ヴァルキリー

    ヴァルキリー

    テトラヘヴンからやってきた、「戦の女神」。
    小柄だが剣の達人であり、冗談の通じない真面目な性格。
    奔放なパートナーに振り回され、ちょっと苦労性の面もある。

     クロエ & ヴァルキリー

    ロンリー・ウォーリアー

    ティーブと合体したクロエが研究所へと続く路上に降り立つと、
    無数の視線が彼女を突き刺した。
    それは研究所の前でたむろしていた使者たちだ。
    その時クロエは、よくある西部劇の一場面のようだと思った。
    町の酒場にふらりとやってくる流れ者。主人公の凄腕のガンマンだ。
    すると、その瞬間、酒場に賑やかに笑っていたならず者たちから笑顔が消えて、鋭い眼光を主人公に向けるのだ。

    「――って映画みたいじゃない?」
    『観たことないが面白そうだな――』

    そう言って、ティーブはイタズラっぽく笑った。

    『――で、その後どうなるんだ?』
    「決まってるじゃない……ド派手な撃ち合いよ!」

    クロエが言い放つと、無数のミサイルが放たれる。

    『!!』

    突然の攻撃に敵たちも面食らった。
    使者たちに炸裂したミサイルは、轟音を上げ爆発していく。
    辺りは爆風が吹き荒び、白煙が舞い上がる。

    「まだまだ」

    クロエはニヤリと笑う。
    これで終わりではないことは百も承知だ。
    白煙の中から雄叫びを上げて、無数の使者たちの影がこちらの向かってくるのが見えた。

    「いっくよ! クレイジーパワードキャノン!!」

    お次は肩部のキャノン砲から放たれるビーム。連射モードで乱れ打ちだ。

    『こりゃ敵に当たってるかどうかわかんねぇな』

    ティーブも思わず笑ってしまう。

    「いいのいいの! 派手にやるほどいいんだから!」

    クロエの言う通り、考えなしに滅茶苦茶やっているわけではない。
    これは立派な作戦の一部だった。
    倒しても倒しても敵は続々と湧いて出てくる。
    クロエのド派手な攻撃が呼び水となって、
    研究所の内部からも続々と使者たちがやってきていたのだ。
    この間に、はるか上空で仲間たちが研究所に突入するタイミングを見計らっているはずだ。
    クロエの役割は、陽動。
    敵の目を引きつけ、仲間たちを無事に潜入させること。
    なので、ド派手に攻撃すればするほど効果バツグンなのである。

    「よーし、ここらへんで……グレートフルブレークバーストッ!!」

    と、ミサイルのビームの一斉放射で、至るところが爆発。爆発。大爆発。

    『……こんな性に合った任務はねぇな』

    ド派手な火柱を眺めながらティーブのつぶやくと、クロエはうなずく。

    「陽動って……サイコーッ!」

    なにせ、思う存分暴れ回っても、誰も怒らない作戦なのだから、クロエもノリノリだ。

    『ギャアアアアオッ!!!』
    『「!?」』

    凄まじい哭き声とともに、炎の中から、巨大なワイバーンが現れた。
    だが、クロエは動揺することなく、むしろ楽しげだ。

    「ティーブ、サンキュー!」
    『ラジャー』

    クロエはティーブとの合体を解除すると、ゲートカードでヴァルキリーを呼び出す。

    「だって、ドラゴンっていったら、やっぱ剣で倒すものじゃない?」
    『なるほど、竜といえば剣で――って、そんな理屈があるか!?』

    などと、真面目に返すヴァルキリーの手を取るクロエ、そして合体。
    対するワイバーンは、クロエが先ほどまでやっていたことを真似をしているのかように、口から炎を乱れ打つ。
    それを躱すクロエの動きは早い。
    炎の間隙を縫い、踊るように敵へと近づくと、高く跳躍。
    あっという間にワイバーンの鼻先に姿を現した。

    「ハロー、ドラゴンちゃん」

    と、相手をおちょくるように笑顔で手を振るクロエ。

    『!!』

    ワイバーンは再び炎を吐き出す。

    「うりゃあああああっ!!!」

    だが、その炎をクロエの大剣が切り裂いた。
    真っ二つに割れた炎の中から、現れたクロエの身に纏う鎧、そして大剣が黄金色に輝き始めた。
    クロエが再び大剣を振り上げる。

    「ゴールデンッ!ファイナルフィニッシュソオオオドッ!!!」

    大剣は黄金色の軌跡を残しながら、ワイバーンを一気に斬り裂いた。
    クロエが着地すると、ワイバーンの断末魔の叫びが聞こえる。
    だが、

    『ギャアアアオッ!!!』

    再び、ワイバーンの叫びが聞こえた。
    別のワイバーンたちの群れが姿を現したのだ。

    『仲間の叫びを聞いてやってきたか……義理堅い種族だ』

    苦笑いを浮かべるヴァルキリー。
    クロエは怯むことなく不敵な笑みを浮かべた。

    「陽動って言ってもさ……私がぜーんぶ倒しちゃってもいいんでしょ?」

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  • ヴィーナス

    ヴィーナス

    テトラヘヴンからやってきた、「愛と美の女神」。
    思わず目を引く魅力的な体の持ち主。
    どんなものにも恋心をいだき、全てを愛する女性。
    隙あらば男女関係なく愛の言葉を語りかけている。

     玉姫 & ヴィーナス

    癒しの障壁

    星の力によって使者たちを撃退した学。
    避難民たちと一緒に、学は星と冥に肩を担がれて高層ビルから降りてきた。

    「学っ!」

    その声に反応して、学は顔を上げる。
    こちらに駆け寄ってくる玉姫の姿が見えた。

    「怪我してるの?」
    「……怪我だけで済んでよかった」

    学が星に向かって微笑むと、星も微笑み返す。
    それを見て、玉姫も安心して微笑んだ。
    だが、周囲を取り巻く怪我人や疲弊した人々の姿に、すぐにその笑顔を消した。

    「学たちがこの人たちを守ってくれたのね……カードが届いてよかった」
    「あのカードは玉姫が?」

    玉姫は頷くとポケットに入れていた淡く光るカードを取り出した。

    「……詳しくはまだわからないけど、
    このカードで別の世界にいる盟約者を呼び出せるみたい」
    『だから星がこの世界に……』

    冥が感慨深げにつぶやいた。

    『玉姫は一人なの? 盟約者は?』

    星が訊いた。

    「小玲は一旦ジスフィアに帰ってもらったの。状況によってはまた来てもらうわ」
    『状況によって……って?』

    よくわからず戸惑う星。

    「たとえば、今、私たちを助けてくれるのは……」

    玉姫がそう言った瞬間、カードは閃光を放った。
    そして、その光の中から飛び出したのはヴィーナスだ。

    『もう心配したんだからッ!!』

    現れるや否や、玉姫に抱きつくヴィーナス。

    『セプトピアが大変だって聞いて、私ずーっと早く呼んでって念じてたのよ。
    でも良かったわ。玉姫が無事で……』

    そう言いながら頬ずりをするヴィーナスに玉姫は苦笑い。

    「……私もヴィーナスに会えて嬉しいわ。でも喜ぶのは後にしよう?」
    『あッ! いけない私ったら……』

    ヴィーナスは照れてペロリと舌を出す。

    「! 来た……」

    その時、玉姫たちは不穏な気配を感じる。
    再び使者が玉姫たちの周囲を囲むように現れたのだ。
    一難去ってまた一難――学、星、冥、そして避難民たちもその状況に戦慄する。
    だが、ヴィーナスは余裕の表情だ。

    『大丈夫。任せて』

    頷く玉姫。次の瞬間、2人は合体する。
    ヴィーナスと合体した時の玉姫の武器は鞭のように使うリボン。

    『こんなふうな使い方もできるのよ』

    玉姫がリボンを掲げると、リボンはスルスルと伸び続け、
    それは巨大なドームとなって周囲を取り囲んだ。まるでバリアーのように。

    「これなら敵も入ってこられない……」

    驚きながら学がつぶやく。

    『ウフフッ、ただのバリアーじゃないわ』
    「?」

    学が訊こうとした瞬間、リボンの中にいた人々から次々と声が上がった。

    「痛くない!」
    「治ったぞ!」

    リボンから放たれる力によって傷つき疲弊していた人々が続々と回復していったのだ。
    それは学の怪我も例外ではない。

    『すごい……』

    驚く星。学も、冥も、さらにパワーアップしたヴィーナスの癒しの力に目を見張った。

    『どう? 名づけてラブリーバリアーよ』

    得意げなヴィーナスに、玉姫は笑って返した。

    「それ今、適当に考えたでしょ?」
    「玉姫、聞こえるか!?」

    突然聞こえたのはオルガの声だった。途絶えていた司令部との通信が回復したのだ。

    「オルガ? 聞こえるわ! 私は無事よ」
    「よかった……まだ戦えるようなら、至急クロエのところに向かってほしい」
    「クロエのところ……?」
    「現在、港付近の海底で交戦中と確認できた。クロエを狙って続々と敵が集まっている」
    『よし今度は海の中ね!』

    それを聞いたヴィーナスがはりきる。
    だが、玉姫に考えが。

    「ありがとうヴィーナス。でも適材適所があるから。
    水の中か……今度はあの子の力が必要になるわね」

    そう言った途端、バリアーの外でリボンが淡く光り、動き出す。
    一瞬のうちに、敵たちに向かってリボンが巻きつくと、
    敵たちはまるで大きな愛に包まれたかのように敵意を失い、グッタリと弛緩。
    あっという間に、敵の殲滅が完了した。

    一体倒したかと思えば、続々と現れる敵にクロエは手を焼いていた。
    どれほどの時間を戦闘に費やしていたのか。
    クロエの体力もロジックも限界に近づいていた。
    (このままじゃトランスリミットがきちゃうよ……)
    クロエの焦りを嘲笑うかのように敵の数はなおも増え続ける。
    ざっと見ただけで50体はいそうだ。

    「!!」

    その時だった。
    突如現れた魚の群れが、敵とクロエの間を割って入ったのだ。

    「なんなの……!?」

    クロエが驚いてると、群れをなしたサメや巨大なイカが現れ、敵を襲い始めたのだ。
    よく見ると、その中に、人影が混じっている。
    それは乙姫と合体した玉姫だ。

    「乙姫、まだまだ足りないわ! もっと仲間を呼んで!」
    『任せて!』

    (魚を操っているのは、タマヒメ……?)
    唖然としているクロエに向かって、玉姫が叱りつけた。

    「もう、クロエは無茶なんだから! 一人で飛び出すなんて!」
    「え? だってタマヒメが連絡つかなくてピンチだって言うからさ!」
    「え? そうだったの? ありがと……」

    頭ごなしに怒ってしまったのを反省して頬を赤らめる玉姫。
    一方、クロエは気にしていない様子で、玉姫と背中合わせになった。

    「まぁ、ともかくタマヒメがいれば100人力だね。指示だして」
    「うん、わかった……」

    玉姫の表情が再び引き締まる。
    玉姫とクロエのタッグは、海中でも健在だ。

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  • アテナ

    アテナ

    テトラヘヴンからやってきた、「知恵と戦略の女神」。
    テトラヘヴンの魔神たちがセプトピアへのゲートを開いたことを知り、他の女神たちと共にその後を追ってやってきた。
    正義感と、尊い命が失われるのを何よりも嫌う心の優しさを持つ女性。

     剣 美親 & アテナ

    禁断の定理者、再誕

    その日、運命の出会いが待っていることを剣美親はまだ知らなかった。
    美親は、家族想いの妹・しおりと共に、
    父・剣廉太郎の誕生日プレゼントを買うために街へと繰り出した。

    かつての禁断のオーバートランスの代償として、
    彼の身体を形成するロジックカードの一つが欠落。
    定理者の力を失っていた美親は、村人Aとして家族と共に慎ましい生活を送っていた。
    自分の運命を受け入れ、家族を守るために生きる道を進んでいたのだ。
    失った自分のロジックカードさえ見つかれば、
    再び定理者として戦いたいという想いを封印して……。

    そんな時、使者襲来の警報が流れる。
    魔神ベリアルが民間人にトランスジャックし、暴れていたのだ。

    正義感が強かった美親は、しおりや周囲の民間人を逃がすために、
    一人でベリアルに立ち向かった。しかし生身の人間だった美親が敵う相手ではない。
    今の美親には、ベリアルの注意を引き付けながら逃げることが精一杯だった。

    そんな美親の手を取り、逃走を手助けする謎の女性が現れた。
    しかもその女性はなぜか美親の名前を知っていた。

    『私はアテナ。貴方に会いに来ました』

    美親の盟約者として悪しき神々からセプトピアを守りたい。
    アテナはそう告げると、美親に一枚のロジックカードを差し出した。
    それは美親がかつて失った、定理者の力を秘めたロジックカード。
    美親と共に世界を守りたい一心でアテナが探し出したのだ。
    美親は戸惑いを隠せなかった。
    発見が絶望視されていたロジックカードがまさか見つかるなんて……。

    そこへ駆けつけるしおりと廉太郎。
    美親の無事を喜びつつ、美親が再び定理者に戻れることを知ると、
    しおりは必死に止めようとした。もう二度と美親を苦しませたくなかったからだ。

    しかし、封印していた美親の想いが溢れ出す。

    「守りたいんだ! 守れる命が、一つでもあるなら」

    美親の決意の眼差しを目の当たりにして、しおりと廉太郎は悟った──
    もはや彼を止めることはできない。止まっていた美親の時間が動き出したのだ。

    遡ること二年前。美親はジスフィアの盟約者・羅刹と共に、
    ホンコン支局所属の定理者として街の治安に当たり、
    禁断のオーバートランスを実行した。
    その理由は──死にかけていたジスフィアの使者を守るためだった。
    そんな美親の過去を知ったアテナは確信していた。
    たとえ異世界の敵だとしても命を決して見捨てない。
    自分の犠牲すら厭わない。
    そんなロジックを持つ美親の盟約者になりたい、と。

    『貴方と守りたい。この世界を』
    「……アテナ。俺と盟約してほしい」

    こうして禁断の定理者は再び戦場へと降り立った──。

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  • ケツァルコアトル<br>(ケッツー)

    ケツァルコアトル
    (ケッツー)

    テトラヘヴンからやってきた、蛇の魔神。
    マスコットの様な可愛い姿はセプトピアに適応した姿で、本来は翼ある大蛇の姿をしている。
    自分を畏れ敬う相手を求めていた。

     縁 & ケッツー

    ディナー・オア・ダイ

    ――作戦が始まった。
    ケッツーと合体した縁は、アシュリーと葵を抱え、輸送機から飛び立った。

    「うわあああああッ!!」
    「きゃあああああッ!!」

    高度33000フィートからの急降下に思わず悲鳴を漏らすアシュリーと葵。
    だが、縁の表情は引き締まったままだ。
    縁の使命は、アシュリーと葵の2人を研究所まで無事届けること――。
    雲を突き抜けると、眼下に研究所が見えてきた。
    そして、その周辺に上がる火柱も。
    (あれはクロエ先輩が……)
    地上で陽動作戦をしているクロエの奮闘を想像し、縁はいっそう気持ちを引き締める。
    縁とは対照的に、

    『なア! なア! なア! これが終わったら何を食わせてくれんだ!?』

    ケッツーには緊張感がまるでない。
    ため息混じりで返す縁。

    「……なんでも作りますよ。ケッツーは何が食べたいですか?」
    『そうだなァ、ええと……あ、焼き鳥!』

    その瞬間、バサッと羽音が聞こえたかと思うと、黒影が縁たちを覆った。
    鋭い眼光を放つ鳥型の使者が3体。縁たちの周りを羽ばたいている。

    「ケッツーが焼き鳥を食べたいなんて言うから!」
    『オレのせいじゃねぇ!!』

    だが、縁は落ち着いていた。

    「しっかりつかまっていてください! あと、目が回りますので気をつけて!」

    アシュリーと葵に声をかけると、迎撃態勢に入る。

    「いっきますよぉおおおおおお!!!」

    縁が叫んだ瞬間、竜巻が大蛇のようにうねり彼女の身体に巻きつく。
    そして、敵たちに突進していった。
    その衝撃と竜巻に巻き込まれ、一瞬にして3体の敵は飛行能力を失い、
    空から地面へと真っ逆さまに落ちていく。

    「お見事です……!!」
    「落ち着いてますね、さすがベテランです」

    縁の手際よい攻撃に、感心の声を上げるアシュリーと葵。
    ところが縁は、
    (わ、私がベテラン……??)
    と、照れて頬を赤らめた。

    『当たり前だ! オレの巫女を舐めんじゃねえ!!』

    口は悪いがケッツーも縁が誉められて嬉しいようだ。
    それを聞いて縁は苦笑いを浮かべていると、再び羽音が聞こえた。

    「!!」

    新たな鳥型の使者が縁たちに接近しようとしている。
    しかもその数は数えきれないほどの大群。
    本部を襲っていた使者たちが研究所の異変を察知し引き返してきたのだ。
    (けど、今はこの2人を届けないと――)
    縁は再び気を引き締めると、研究所に向かって急降下を始める。
    使者の大群を振り切るつもりだ。
    それを見て使者たちもスピードを上げる。
    残り300メートル、200メートル、100メートル……。
    研究所が縁の目の前に迫って来た。
    (あと少し……もう少し……)
    だが、その瞬間、縁の身体に激痛が走る。
    敵の鋭い嘴が縁の背中を斬り裂いたのだ。

    「うッ」
    『縁ッ!!』

    ついに縁は追いつかれ、続々と敵たちが襲いかかる。
    縁は痛みに耐えながら必死にアシュリーと葵を庇った。
    (なんとか2人を送り届けなきゃ……でも、どうすれば……? あ、そうだ!!)
    絶体絶命の危機の中で、縁は彼女の存在を思い出した。

    「ケッツー、サンドラと交代です!」
    『わかった! 縁、死ぬんじゃねぇぞ!! 晩飯ちゃんと作ってもらうんだからな!!』

    ケッツーの別れの言葉に、微笑む縁。
    次の瞬間、眩い閃光が彼女を覆った。
    ケッツーとの合体は解除され、ゲートカードから現れたサンドラと新たに合体する。
    一方、 縁の手を離れたアシュリーと葵は、

    「「きゃあああッ!!!」」

    地面に向かって落下していく。

    「サンドラ、風を!!」
    『――っ!!!』

    縁は、手に握った鮮やかな羽でできた扇を2度振るう。
    最初に起こった風は、囲っていた敵たち吹き飛ばし、
    2度目の風は落ちていくアシュリーと葵に向かって吹いていく。

    「!?」
    「風が!」

    アシュリーと葵の身体はその風に乗り、再び上昇。研究所へと運ばれていった。
    それを見て、使命を果たせたとホッと胸を撫で下ろす縁。
    だが、まだ安心はできない。
    相変わらず敵の大群に囲まれたままなのだ。

    『だ……大丈夫……縁、私が守る……』

    サンドラの小鳥のような優しい声が聞こえた。
    縁は嬉しそうに、小さく頷く。

    「ありがとう。この戦いが終わったら、サンドラは何が食べたいですか?」

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  • ネメシス

    ネメシス

    テトラヘヴンからやってきた、毒舌家の「憤りと罰の女神」。
    幼い子供の様に見えるが、読書好きで博学。
    ゾンビ映画が大好物で、グロテスクなものに目がない。

     ヴェロニカ・アナンコ & ネメシス

    暴力と悪戯心の危険な香り

    テトラヘヴンの女神たちは、皆が友好的とは限らなかった。
    ALCAに協力を志願しておきながら、
    定理者との顔合わせをボイコットした女神が一名、存在していた。

    冷徹な精神を持つALCAナイエン支局長ヴェロニカが一抹の疑念を感じつつ
    局長室に戻ってくると、局長席に無断で陣取る小柄な女神がいた──
    顔合わせをボイコットした、憤りと罰の女神・ネメシスだ。

    「……お前は他の女神とは違うようだ。目的はなんだ?」
    『……そういうアンタこそ、他の定理者とは違う』

    ネメシスは、セプトピアの治安維持には興味がないと言い切った。
    博学で知的好奇心が旺盛だったネメシスは、
    異世界セプトピアの未知の文明に関心を抱き、他の女神たちに便乗していた。
    そしてALCAにいる若き定理者たちは皆、
    幼稚なロジックを持つ者たちばかりだと彼女は判断し、
    顔合わせにも意義を見出さなかったのだ。

    唯一、ネメシスが読めなかったのが局長ヴェロニカだ。

    『アンタの目的は何?』
    「……あらゆる使者の抹殺。――だと言ったら?」
    『ふーん……じゃあ今ここでアタシのこと殺しちゃう?』

    答えられずにいるヴェロニカを尻目に、
    ネメシスは悪戯な笑みを浮かべると、局長室を去っていく。

    後日。
    ヴェロニカは人知れずALCA直属の病院へと向かった。
    ベッドには逆理病に冒され、昏睡状態の男性患者がいた。
    ALCA局内では見せたことがない思いつめた眼差しで、
    いつまでも患者を見つめるヴェロニカ。

    その時、病室に現れる──ネメシス。

    『アンタの目的は復讐』

    ネメシスは自分で勝手に調べたヴェロニカの過去について、語り出す。
    ベッドの患者はかつてハコダテ支局に在籍していた頃のヴェロニカの上司であり、
    兄のような存在だった男。
    しかしモノリウムのある使者によって、人格を破壊されていたのだ。
    この事件をきっかけに、ヴェロニカにとって全ての使者が憎しみの対象になった。
    彼女はセプトピアにやってくる全ての使者が、放逐すべき害、だと考えていたのだ。

    そのヴェロニカの思いは、憤りと罰の女神だったネメシスにとって、
    最も共鳴するロジックでもあった。
    悪に対する憤りと、正当なる復讐による罰。これこそは、ネメシスのロジックである。
    それに彼女も、悪しきテトラヘヴンの神々は、摘んでおくべき禍根の芽だと考えていた。

    『アンタの望み、私が叶えてあげてもいいわよ?』

    ただし盟約に当たって、ネメシスは一つだけ条件を提示した。
    セプトピアのあらゆる文明を堪能できるよう、ネメシスの水先案内人になることだ。
    異世界の文化に対する私見や歴史に対する考察など、
    博学な言葉を並べ立ててその条件の正当性を訴えてはいるが――
    平たく言えば

    『私を遊びに連れてって』

    というわけである。
    思いもよらないネメシスの提案に呆れるヴェロニカ。

    「……幼稚なロジックを持っているのはどっちだ」

    ヴェロニカの言葉がグサリと刺さり、ネメシスは戸惑うように顔を赤らめた。

    『な、何よ! 二十歳のアンタとは知恵も経験も段違いなのよ!』

    全ての使者の殲滅のため、あえて使者の力を借りようとするヴェロニカと、
    その復讐のロジックに共鳴したネメシス。
    彼女たちのロジックは、その後、予想もしなかった結末を迎える事になる――

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