2017年2月号掲載 「クロエ×ダイガ」ショートストーリー

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年賀状はおはやめに……

珍しくクロエが憂鬱そうな顔を浮かべている。
テーブルの上にはハガキの山。
「う~ン……」
クロエは筆ペンを握ってハガキに向かう。
「! いてて……」
その瞬間、右手に激痛が走りクロエは思わず筆ペンを床に落としてしまった。

先日の戦闘でクロエは右手を負傷してしまった。玉姫は任務のため本部を離れていて、すぐに治すこともできず、今は字を書くのもままならなかった。
思うようにならず、クロエは小さく溜息を吐いた。

毎年、筆まめな玉姫からもらう手書きの年賀状が嬉しかったこと。
今年は、定理者や盟約者の仲間たちとたくさん知り合い、再会もできたこと。
それが、クロエも手書きの年賀状を書こうと思った理由……だったが。
(まぁ年賀状なんて、アタシのキャラじゃないし、メールでいいか……)
宛名はすでに書いていて、それぞれへのメッセージやかわいいイラストか何かを添えようと思っていたが、今の右手の状態では難しいようだ。
諦めかけたその時、クロエは視線に気づく。
隅っこにいる巨大な一匹の虎――ダイガだ。
『すまん……オレのせいで怪我をさせてしまって……』
適応体の時、ダイガは言葉を話せないが、その目から申し訳なさそうな気持ちが伝わった。
先日の戦闘で、ダイガの計算違いが無ければクロエは負傷せず済んだかもしれなかったのは確かだ……。

「やっだな! 気にしないでよダイガ!」
と、はにかむクロエ。ダイガの気持ちを和らげようと明るく振舞う。
ダイガはおもむろに近寄ると、テーブルの上に何かをドサッと置いた。
それは大きな朱肉だ。
そしてダイガはテーブルに身を乗り出すと、次から次へと年賀ハガキに自分の手形をスタンプしていった。
クロエに代ってメッセージもイラストも描けないがこれならできる――
と、ダイガなりにクロエを手伝いと思ってのことだ。

「アアアッ!!! ちょっと何してんの!? ……え?」
慌てたクロエだったが、出来上がったハガキを見て驚いた。
朱色の肉球スタンプがなかなかカワイイのだ。
(計算してのことじゃないだろうけど、悪くないじゃん……)

クロエはいつの間にか、そんな一生懸命なダイガを微笑んで見つめていた。
「ありがとね、ダイガ……」
そう言ってクロエはすーっと一枚のハガキを差し出した。
そこには少し歪な文字で「ダイガ様」と書かれていた。
「でへへ、左手で書いたから、ガタガタになっちゃった……」
それはクロエからダイガへの年賀状だった。
「来年もヨロシク!」
歪んだ文字でそう一筆添えてあった。
『……こちらこそ』
ダイガは微笑んで肉球スタンプを押し続けた。

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