キャラクター&ストーリー

  •  剣 美親
  •  揺音 玉姫
  •  クロエ・マクスウェル
  •  五六八 葵
  •  揺音 聖那
  •  アシュリー・ブラッドベリ
  •  ジークハルト・クラウス
  •  当麻芽路子
  •  明日葉 学
  •  オルガ・ブレイクチャイルド
  •  七星 縁
  •  ヴェロニカ・アナンコ
  •  ジゼル・サンダース
  •  ニーナ・アレクサンドロヴナ
  •  リオネス・エリストラートヴァ
  •  京橋万博
  •  橘 弥生
  •  森ヶ谷 夕子
揺音 聖那
揺音 聖那ゆりね せな
性別 女性
年齢 -
身長/cm 162
体重/kg 48
血液型 A型
生年月日 3月31日
好きなもの 姉・玉姫。手書きの文通。
トレーニングやスポーツなどの運動。
嫌いなもの 野菜。薄味のもの。

定理者として街の治安を守る使命が与えられたことに誇りを持ち、前向きにその宿命を受け入れた。
また思いやりも強く、定理者の仲間や他の盟約者への面倒見もよく、信頼が篤い。

姉は、トーキョーのALCAナイエン支局で活動している玉姫。
自慢の姉・玉姫を目指し、いつかキョウト支局のリーダーとして、定理者たちを束ねるポジションにつくことが目標。
いつか玉姫が地元に帰ってくる時の為、大好きなキョウトの風景を守り抜きたいという想いが強い。

盟約者フォーリナー

  • 阿修羅

    阿修羅

    情に厚い熱血系。
    趣味は鍛錬で、絶えずトレーニングを欠かさない。
    盟約者である聖那すらも把握できないところで、こっそり勝手に鍛錬を積んでは新しい武器や技を開発する戦闘マニア。

    トランス!

     揺音 聖那 & 阿修羅

    聖那、はじめての戦い

    『おい聖那! 聞いてるか!?』

    地鳴りのような阿修羅の声が、耳元で響く。
    しかし、揺音聖那はその声に応えることができなかった。

    目の前には逆理領域が広がり、
    見慣れたキョウトの街が砂漠のような光景に変わっていく。
    そして砂嵐の中を巨大な人影が迫ってきていた。
    敵――モノリウムの使者だ。

    阿修羅と合体した聖那は戦場に飛び込んだ瞬間、頭の中が真っ白になった。
    足は震え一歩も動けない。
    聖那自身も、敵を前にして臆する自分が信じられなかった。

    定理者の適応を判定され、
    聖那がALCAキョウト支局へ召集されたのは一ヶ月ほど前のことだ。
    突然の召集にも拘わらず、聖那に戸惑いはなかった。

    二年前に姉の揺音玉姫も同じくALCAの召集を受けていた。
    憧れの姉と同じ定理者になれることに、「やっときた!!」と喜びの感情が勝っていたからだ。

    元々身体を動かすことが好きだった聖那は訓練でメキメキと頭角を現し、
    周囲は「さすが揺音玉姫の妹だ」と囃し立てた。

    聖那自身も「定理者としてやっていける!」と手応えを感じていた。
    何度も戦闘シミュレーションを重ね、今日に備えてきたのだ。

    いつ訪れるか分からない初出動に、
    むしろ胸を躍らせワクワクと心待ちにしていた――そのはずだった。

    だが、現実は残酷だ。
    巨大で凶暴な敵を前にしては、聖那はただのちっぽけな少女でしかなかった。
    昂ぶった気持ちは萎えて、高鳴る鼓動で本部から指令も何も聞こえない。

    「助けて……お姉ちゃん……」

    そうつぶやいて聖那は固く目を閉じた。

    姉の玉姫は、ナイエン支局で定理者のリーダーになったと先日手紙で知ったばかりだった。
    (いつかお姉ちゃんみたいなリーダーになりたいと思っていたのに……)

    聖那は恐怖に震える自分の不甲斐なさを嘆き、目には涙がたまり始めた。
    阿修羅の声がふいに耳に入ったのはその時だ。

    『おい、六手拳でいこうぜ!! って!!』

    「……え?」

    聖那は呆気にとられ、ためていた涙を流すのを忘れてしまった。

    『俺たちのロジックドライブ――必殺技だよ! まだ名前考えてなかっただろ?』

    ビビっている聖那のことなどお構いなしに、
    阿修羅はただそれを伝えたいがために耳元でがなり続けていたのだった。

    それが分かった瞬間、聖那は呆れて、金縛りのような緊張が解けていった。
    肩の力が抜け、身体が軽くなっていくのが自分でも分かった。

    ジスフィアの神・阿修羅――初対面の時、聖那は阿修羅を見るなり、盟約者になる運命を感じた。筋肉ムキムキの大男でいかつい見た目なのに、
    昔からの友人といるような不思議な居心地の良さを阿修羅から感じていたのだ。

    (まるでこんなふうに阿修羅に助けられるのが分かっていたみたい……)

    聖那は自分の先見の明にクスッと笑い、「うん、それで行こ!」と明るく声を弾ませる。
    『応!』と阿修羅の地鳴りのような声が耳元でまた響いた。
    敵はすぐ目の前に迫っている。
    聖那はキッと表情を引き締めた。先ほどまで怯えた少女の姿はない。

    『「ロジックドライブ!! 六手拳!!」』

    二人の声が重なると同時に、聖那は敵に向かって大きく跳躍していた。

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  • 鉄牙のライア

    鉄牙のライア

    モノリウムからやってきた、狼の獣人少年。
    父母は群れを率いていた頭目であったが、
    とある使者に殺され、その復讐のため、
    敵を追い求めてセプトピアにやってきた。
    頭に血が上りやすい激情家だが、
    正義を重んじる信念も持つ。

    トランス!

     揺音 聖那 & 鉄牙のライア

    咆哮、再び

    「聖那戻れ!! 戻るんだ!!」

    司令部からの声は、聖那には届かなかった。
    気がつくと無我夢中で走っていた。
    数百メートル先――目と鼻の先で、今、仲間が苦しんでいる。
    それを知った途端、聖那は向かわずにはいられなかった。
    現場は、ショッピングモール。
    聖那が息を切らして、辿り着いた頃にはあちこちが破壊され、瓦礫の山が築かれていた。
    聖那は、敵に気づかれないように地下へと降りていく。
    司令部と仲間との連絡が途絶えたのは、地下2階の駐車場だった。
    戦闘不能に陥り、そこに避難しているはずだった。

    「私よ。無事?」

    聖那は声をひそめて、ロジグラフで仲間に呼びかけながら真っ暗な駐車場を進む。

    「聖那!」

    安心しきった声とともに、車の陰に身をひそめていた仲間が聖那の前に現れる。
    と、同時に驚いた顔を見せた。

    「聖那……あんたトランスしてないじゃない!」

    そう。今の聖那は、一般人と変わらない。
    パラドクスゾーンに巻き込まれれば、逆理病に冒される危険もあるのだ。

    「そういうわけだから急ぎましょう。今はあなたの避難が最優先」

    そう言って、仲間の手を引き立ち去ろうとした時だった。
    凄まじい音とともに天井が崩れ、真っ暗な駐車場に光が差し込む。
    やがて聖那に気づいた敵――巨大なワニの獣人が瓦礫の中から現れた。

    『飛んで火にいる夏の虫だな……』

    不敵に笑う敵に、聖那は迷うことなく仲間に告げた。

    「私が囮になる。あなたは逃げて」
    「でも!」
    「大丈夫。逆理病になるようなヘマはしないから」

    聖那は仲間を安心させようと微笑むと、敵に向かって行った。

    『その勇気だけは誉めてやる……勇気だけはな!!』

    敵は、容赦なく向かって来る聖那に拳を突き出す。
    聖那はその拳を間一髪避けた。

    『なに!?』

    何かの間違いだろう、と自分に言い聞かせるように敵は再び聖那に襲い掛かる。
    再び、聖那は紙一重で敵の攻撃を躱す。

    『ちょこまかと!』
    「たいしたことないわね。アイツに比べれば……」
    『アイツ……?』
    「あんたよりももっと強いヤツがいたってことよ。
    アイツに比べれば、たいした攻撃じゃないわね」
    『小癪な!!』

    聖那の計算通り、挑発にのり、敵はムキになって襲い掛かってきた。
    もう敵の目には聖那しか映っていない。
    聖那は、横目で仲間が離れていくのを確認し、ひとまず安心する。
    だが問題は、これから自身のピンチをどう切り抜けるかだ。
    敵の攻撃を必死に避け続けていた聖那だったが、ついに拳がかすめ、聖那は跪いた。

    『手間をかけさせやがって……』

    敵は聖那へと近付いた。そしてパラドクスゾーンも聖那の足元へ広がってきた。
    完全に勝ちの目の無い戦いであったが、それでも聖那の闘志は消えることはなかった。
    聖那は立ち上がると敵に向かってファイティングポーズをとった。

    『そうか……死にたければ死ね!!』

    敵のトドメの一撃が聖那に迫る。
    その時だった。
    物陰から狼のような影が飛び出し、聖那の身体に体当たりした。
    その衝撃で聖那の身体は投げ出され、敵の攻撃は空振りに終わる。
    驚くのも束の間、聖那は見覚えのある狼のようなその姿を見て叫んだ。

    「ライア!」
    『相変わらず無茶しやがって……』

    ライアは少し呆れたような顔を浮かべていた。

    「助けに来てくれたの!?」
    『言っただろ。お前が手こずることがあったら助けに来てやるって……』

    照れくさそうなライアを見て、聖那は思わず微笑む。

    『ボヤボヤしてる場合じゃない。やるぞ』
    「やるって?」
    『合体ってやつだよ。そうじゃないとヤツに勝てないだろ?』
    「あなたと私が合体……!?」

    テストもしていない相手との合体に戸惑う聖那。しかし今は迷っている場合ではない。

    「……わかった。盟約しよう!」

    こうして合体する聖那とライア。
    その瞬間に、聖那は想像以上のものを感じた。
    今、自分の身体に漲る力を。

    『ウオオオオオッ!!!』

    敵は再び襲い来る。

    『「紅月の牙ッ!!!」』
    『!?』

    聖那の鋭い一撃が、敵の身体をはね飛ばした。

    「すごい! すごいよライア!」
    『感心してる場合じゃない。俺のあの技を覚えているか?』
    「……もちろん」

    聖那は力強く頷いた。忘れるわけがない。
    かつて聖那の窮地を救ったライアのとっておきの技だ。

    『「ロジックドライブ! 月光の咆哮!!!」』

    聖那とライアの魂の叫びが重なり合う。その咆哮の衝撃波をうけ、敵はがくりと崩れ落ちた。

    『……やるな』
    「ライアもね」

    かつて拳を交えた敵と手を結ぶ――聖那は最高の高揚感を覚えていた。

    定理者のカード 使者のカード 合理体のカード

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  • 懍玲

    懍玲

    ジスフィアからやってきた竜族の使者。玉姫の盟約者・小玲の姉。とある理由から、阿修羅に聖那を紹介してもらい、セプトピアにやってきた。

    トランス!

     揺音 聖那 & 懍玲【前編】

    揺音 聖那 & 懍玲

    その日、ALCAナイエン支局に二人の訪問者があった。
    訪ねて来たのは、キョウト支局のチームリーダーを務める定理者、揺音聖那。
    今日は休暇を使っての訪問だ。そして傍らに、一人の妙齢の美女を連れている。
    二人が訪ねた相手は、ナイエン支局では指折りの実力ある定理者、揺音玉姫。
    聖那の実の姉でもある。
    「おねぇちゃああああああん!!」
    「ふふ、聖那、ひさしぶり」
    飛びついて抱きつかんばかりの聖那と、優しく受け止める玉姫。
    でも実は玉姫の方が背が低く、眼鏡をかけていることもあって優美で知的な印象を受ける。ここ数年で、その印象はさらに高まった。
    聖那の方は、均整が取れた体を優れた運動神経に任せて鍛えぬいた感じがあり、スポーティーでアグレッシブな雰囲気をまとっている。
    ちなみに二人とも、すこぶるナイスバディだ。
    「ところで、そのお隣の方は?」
    「あ、ごめんごめん。お姉ちゃん、紹介するわ。この娘は懍玲」
    『懍玲、と申す。よしなに』
    不思議な雰囲気の女性だった。
    輝く金髪が飾る小顔の美しさはもちろんだが、和服に包まれた立ち居振る舞いには思わず目を奪われるものがある。
    「彼女は実は―」
    「-もしかして」
    なぜだろう、玉姫は彼女、懍玲に見覚えが合った。いや、初対面なのは間違いない。ただ、彼女の面影や喋り方に、何か知人に似たものを感じる。

    「もしかして―使者の方?」
    「さすがお姉ちゃん! そう、彼女はジスフィアの使者なの」
    聖那はジスフィアの使者、阿修羅と盟約を結び、様々な事件を戦い抜いてきた。
    今は世界がかなり平和になり、またフォーリナーカードが実装されたこともあって、阿修羅も故郷の異世界に戻った。ひとたび必要があれば、すぐに召喚に応じてくれる。
    そんな阿修羅が、故郷でこの懍玲から相談を受け、聖那に引き合わせたという。
    聖那が懍玲から持ちかけられた相談、それは。
    「ほら、懍玲、自分から言うんでしょ?」
    『う、うむ。無論、わらわの問題であるからな。相談することなど、ぞ、造作もない、のだぞ。
    ・・・だが、どうも日が悪いのではないかな。どうだろう、場所を改めてまずは卦を立てて』
    「あー! もう! 情けない!わたしから言っちゃうよ!?」
    『待て、待ってほしい』
    二人のやり取りを観ていた玉姫は

    「もしかして・・・ 小玲?」
    『ひっ』
    その名前を聞いた懍玲は、短い奇声を上げたまま固まってしまう。
    「うん、そうなのよ、お姉ちゃん。ほら、固まってないで・・・貴方も「お姉ちゃん」なんでしょ?」
    『う、うむ、そうなのだ・・・』
    ぽつりぽつり話すのを聞くと。
    彼女、懍玲は玉姫の盟約者の一人、ジスフィアの竜族の娘である竜媛皇珠 小玲の姉、なのだという。
    「でも、小玲は一族の子供の中で一番年上だ、って言っていたわ。
    だから竜族の次期後継者として、一族を導いていく使命がある、とか」
    『・・・小玲は、わらわの事を、知らぬ』
    「え?」
    「お姉ちゃん、なのに?」
    『実は、わらわは黄龍の一族から放逐されておる。小玲が産まれ、黄龍の力、雷霆の力を持っていることがわかった時、
    雷を出せぬわらわは不要、になったのじゃ・・・』
    放逐、という言葉の重みに思わず声を失う二人。
    ぽつりぽつりと懍玲は、自分の妹への複雑な思いを打ち明けた。

    竜族の媛、というのはお神輿に担がれて悠々としていればいい、というものではないらしい。
    行儀振る舞いを厳しく仕込まれる事はもとより、一族に受け継がれる様々なしきたりを守り、一族を継ぐという重責を常に意識させられる、という。
    そもそも、小玲が使者としてセプトピアに来たのも、一族のしきたりが理由だ。
    一方懍玲は、黄龍の一族に産まれながら、雷を出すことができなかった。
    一族が決めたこととは言え、それらの責任全てを放り出して妹に押し付けてしまった気がして、懍玲は気が咎めていた、という。会って詫びをしたいが、そもそもそんな話を聞いて、小玲は自分を恨むのではないか、という気もする。
    そもそも、ジスフィアの一族の里付近では人の目もあり、放逐された彼女が小玲に会うことはできない。
    日々悩んで過ごしていたところ、セプトピアと親交のある神々、つまり阿修羅や八雷神たちを通じ、セプトピアでなら会って話をすることができる、と思いついた次第。
    そういう事情なら喜んで、と玉姫が話を受けたその時。不意にロジグラフが鳴った。その意味は、聖那にももちろん判る。緊急事態を告げるアラームだ。

    「休憩中に済まない玉姫」
    「何があったのオルガ」
    「警察が追っている密輸組織だが、中に使者が混ざっている可能性がある。
    念のためALCAに協力要請が出た」
    「判った、ランデブーポイントを送って」
    「すまん、目立つからトランスポーターは使えないぞ」
    「了解。
    ―ごめん、というわけだから」
    「ええ、わかってる。事件が片付いたら、また」
    『勤めの無事を祈っておる』

    とはいえ、1時間やそこらで片付く話ではないだろう。
    支局を辞してホテルに戻ろうとしたその時、今度は聖那の個人端末が着信を知らせた。
    「-キ、キョウト支局の揺音聖那、アンタが探してるもの、見つけたわよ」
    ボイスチェンジャーを掛けた声。だが喋り方になんとなく聞き覚えがある気がする。
    いやいやいや。今なんてこの子言った?
    「-探してるものって、まさか!」
    「アンタの相棒、ジゼル・サンダースの喪われたロジックカード」
    瞬間、聖那の全身の血が沸騰した。
    いや、沸騰したかと思った。
    「・・・どこにあるの?」
    思った以上に冷静な声が出た。
    本当は叫びだしたいぐらい、心の奥で叫んでいる自分を感じる。
    でもダメだ。焦ってるときほど冷静に。
    定理者として様々な危険をかいくぐってきた経験がそうさせる。
    「とある密輸犯罪組織が拾ったみたい。
    海外のヘンタイ金持ちがオークションで高値を付けた。これから取引きするらしい」
    「どこで!」
    「その端末にデータを送る。取引は1時間後。急いで」
    決断に時間は要らなかった。たとえ間違いだろうと罠だろうと、構うものか。
    「わかった。・・・けどなんで貴方がこの情報を?」
    「ハッキングしてたら、ひっかかったの」
    着信したデータを確認。懍玲には視線だけで合図する。
    「データを確認したわ。でも、何故?」
    「『超幻戦記ファンタジア』」
    「え?」
    「知らないの?神ゲーなんだけど。
    オープニング、ジゼルが歌ってるの。超良い曲だから」
    「へぇ・・・」
    「今度、続編が出るんだけど。ジゼルにまた歌ってほしいのよ。だから」
    「わかった。ありがとう」
    「必ず取り戻して。でないと・・・呪う」
    不穏な言葉で通話は切れた。おそらく、発信者はたどれまい。それでも良いと思った。
    善意の第三者?に感謝することにした。

    経路を調べ、タクシーを捕まえる。
    道々、懍玲には事情を説明する。
    『なるほど、お主の相棒の、喪われたロジックカードを探しておったのか』
    「ごめん懍玲、現場から離れた所で下ろすから、貴女は避難していて」
    『何を申す。放逐されたとは言え、わらわは竜の媛。
    これも天祐、恩を返す機会を先祖の竜神が与えてくれたのであろう。
    あてにするがよい』
    「ごめん、ありがと」

    タクシーで近くまで行き、あとは歩き。
    移動しながら、一応キョウト支局にもメールを入れておく。
    ・・・と、すぐに通信が入ってくるが、これも心で謝りながら着信を切る。心配させているだろう。
    なにしろ休暇の今、彼女はフォーリナーカードを持っていない。盟約者の阿修羅やライアを呼ぶことはできず、鍛えぬいた体だけが頼りだ。

    現場の港付近まで行くと・・・驚いたことに、そこには姉の玉姫がいた。警官隊の姿も見える。
    「おとなしく投降しなさい! ここは完全に包囲されている!」
    それに答えたのは、物が崩れる耳障りな轟音だった。
    「バーカ! 大金がかかってるんだ、諦められるかよぅ!」
    コンテナが崩れ、港湾施設のクレーンが倒れている。
    警官隊が遠巻きにするなか、蛇腹のマジックハンドやらホースやらダクトやらをいくつもくっつけたような異形が、その腕を振るって暴れている。

    -まさか、トランスジャック?
    いや、違う。逆理領域は展開されていない。
    ・・・つまり、この異形は合理体。相手は、定理者、なのだ。
    ALCAに管理されない、違法な定理者の存在は噂されていたがー

    『フウフフフ、キミたち人類の行動は、実に興味深い』
    「お気に召しましたかね、“教授”」
    『ココロ、というアルゴリズムの解析には、やはりフィールドワークが最適だ。
    さあ、好きに吾輩の機能を運用したまえ』
    「了解っすー!」

    「下がってください!」
    鋭く叫ぶのは玉姫。一歩前に出ると、懐からフォーリナーカードを掲げ、叫ぶ。
    「ゲートアクセス!ジスフィア!」
    光り輝くゲート。そこから現れるのは―
    『あれは!小玲!』
    そう。まばゆい稲妻をまとって、黄龍の姫君、竜媛皇珠 小玲が現れた。
    そしてたちまち玉姫と合体。
    「定理者としての力を悪事に使うなんて!私が」『わらわが』
    「『許さない!!!』」
    相手はどうやらトリトミーの機械人との合理体のようだ。ならば。
    『わらわたちの雷撃には耐えられまい!!』
    放たれる猛烈な雷撃が、相手の合理体を直撃。だが。
    『フウフフフ、キミたちはこの世界の物理学を知らないのかね?』
    なんということだろう。合理体から伸びたホースから海水が噴き出すと、
    雷撃を海に流す避雷針になっている!
    「くっー! ならばもっと近くからー」
    『そうはいきませんぞう』
    海水がさらに勢いよく噴き出すと、包囲している警官隊を水浸しにしていく。
    「まずい!」
    この状態で雷撃を使えば、警官隊も巻き込んでしまう。ならば、トランスチェンジで―
    『フゥフフフ、その隙は与えませんぞう』
    伸びたマジックハンドが玉姫をつかみ上げ、そのままぐいっと絞り上げる。
    玉姫と小玲の絶叫が響いたー

    「お姉ちゃん!!」『小玲!!』

    ここまで、物陰からかたずをのんで見守ることしかできなかった、聖那と懍玲。
    この時、二人の思いは一致していた。
    『聖那!』「懍玲!」
    伸ばした手がからみあう。
    お決まりの盟約文すら必要なかった。
    『「合体!!!」』

    次の瞬間。
    玉姫をつかんでいたマジックハンドが、その体からぽとりと落ちた。
    「い、いてぇえええええ!!!」
    『わ、わたぁしの3号ハンドが!!!』
    見れば肩口が赤く溶け落ちている。恐ろしいほどの高熱を瞬間的に浴びせられたのだ。
    その視線の先には、怒りに燃える蒼い竜の媛がいた。

    「おねぇちゃんを」『わが妹を』
    「『傷つけるやつは許さない!!!』」

    黄龍の血に連なる者は、雷を自在に操る力を持つ。
    だが、ごくまれに、その力を持たない者が産まれることがある。
    それは遥かな昔、一族に交わった、ある竜の媛の力。一族の長い長い歴史のなか、忘れられ失われた力。それが蘇り、宿るからだという。
    その力は、蒼炎の力。赤い炎よりもなお熱い、敵を焼き尽くす蒼き炎の力だ。

    「こ、このー!」『吾輩の機能はこの程度ではありませんぞう』
    ホースやら周囲のコンテナやら海水やら、次から次へ猛烈な勢いで投げつけてくるものを、宙に浮かぶ蒼い結晶体がことごとく迎撃。ぶつかる端から燃やし、溶かし、消し炭に変えていく。
    いつの間にか周囲はむっとする熱気に当てられ、あたりの水気は消し飛んでいた。

    「今だよお姉ちゃん!」『小玲、とどめはお主が撃つのじゃ!』
    玉姫と小玲の雷撃が、今度こそ敵の合理体を直撃。抗する術はなく、相手はたちまち合体を解いていく。
    『うむ! 見事な雷霆じゃ。流石は竜媛皇珠の名を継ぐ者ぞ』
    その時初めて、小玲も玉姫を通して聖那、そして懍玲の姿を見た。
    『・・・その姿、その力・・・ もしや、竜族の者かや?』
    『お初にお目にかかる。わらわは懍玲。我もまた、黄龍の血に連なる者―』
    『そうか、そうか、そなたの炎も、実に見事じゃ!
    何やらお主には、近いものを感じておる!
    話を、聞かせてくれぬか?』
    『ええ、わらわも、そう、願っておった・・・』

    その時。
    玉姫と聖那の注意は確かに倒した相手から逸れていたが、それを責めるのはあまりに酷というものだろう。
    警官隊に取り押さえられようとしていた犯人、定理者であろう人間の方が立ち上がると、どこからかアタッシュケースを取り出し掲げると、叫んだ。
    「お、お前たちに渡すぐらいならー!」
    まさかその中には―!
    「返して!」
    気づいた聖那の悲痛な叫びが響く中、鈍い音がしてアタッシュケースが破裂した。

    ジゼル×此花咲耶編に続く!

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