キャラクター&ストーリー

  •  剣 美親
  •  揺音 玉姫
  •  クロエ・マクスウェル
  •  五六八 葵
  •  揺音 聖那
  •  アシュリー・ブラッドベリ
  •  ジークハルト・クラウス
  •  当麻芽路子
  •  明日葉 学
  •  オルガ・ブレイクチャイルド
  •  七星 縁
  •  ヴェロニカ・アナンコ
  •  ジゼル・サンダース
  •  ニーナ・アレクサンドロヴナ
  •  リオネス・エリストラートヴァ
  •  京橋万博
  •  橘 弥生
  •  森ヶ谷 夕子
  •  小湊くらら
揺音 聖那
揺音 聖那ゆりね せな
性別 女性
年齢 -
身長/cm 162
体重/kg 48
血液型 A型
生年月日 3月31日
好きなもの 姉・玉姫。手書きの文通。
トレーニングやスポーツなどの運動。
嫌いなもの 野菜。薄味のもの。

定理者として街の治安を守る使命が与えられたことに誇りを持ち、前向きにその宿命を受け入れた。
また思いやりも強く、定理者の仲間や他の盟約者への面倒見もよく、信頼が篤い。

姉は、トーキョーのALCAナイエン支局で活動している玉姫。
自慢の姉・玉姫を目指し、いつかキョウト支局のリーダーとして、定理者たちを束ねるポジションにつくことが目標。
いつか玉姫が地元に帰ってくる時の為、大好きなキョウトの風景を守り抜きたいという想いが強い。

盟約者フォーリナー

  • 懍玲

    懍玲

    ジスフィアからやってきた竜族の使者。玉姫の盟約者・小玲の姉。とある理由から、阿修羅に聖那を紹介してもらい、セプトピアにやってきた。

    トランス!

     揺音聖那 & 懍玲

    揺音 聖那 & 懍玲

    黒雲が空を覆う。
    ひっきりなしに雷鳴が轟き、時折空が輝いては、てんでんバラバラな方向に稲妻が走る。
    『ハッハッハァ! 轟け!吠えろ! アタシの稲妻、たっぷり拝んでいきな!』
    かと思うと、猛烈な風が嵐となって、横殴りに叩きつけて体ごと飛ばそうとする。
    『吹けよ風、呼べよ嵐。ふふっ これほどの凄風、セプトピアにはないでしょう!』
    見上げれば、良く似た黄と青の装束の少女が、翼も無いのに空に浮かんでいる。
    もちろん、ただの少女でないことは見ればわかる。
    黄色の少女は二つ、青の少女はひとつの立派な角を生やし、雷、そして嵐をまとって高らかに笑っている。
    『こうしていれば、面白い事が起きる、ってアイツは言ってたなァ』
    『ええ。私たちを楽しませてくれる相手がいるって、言ってましたけど・・・』
    『なんでもいいや。さあ、楽しもうゼ!』
    黄色の少女が手を振れば、背中に八つの太鼓が現れる。
    手にした五鈷杵の様なバチを叩きつければ、ドドンという音ともに稲光が空を裂く。

    「なにあれ。カミナリ様ってこと? じゃああっちは―」

    急行したトランスポーターから空を見上げる聖那。
    視線の先で、今度は青の少女が、
    『あなたは乱暴すぎるわ。もっと風流になさいな』
    腰に巻き付けた白い帯。これを解くと、たちまち大きな袋になる。
    なったかと思うと更に膨らみ膨らみ、縛った紐を解けば、その口からゴゴウと旋風が舞う。

    『ああ。こっちの―ジスフィアの雷神と風神だ』
    フォーリナーカードが震え、阿修羅―ジスフィアの闘神にして聖那の盟約者―のぼやくような声が響いた。
    『悪ィな、こっちの神格がまた迷惑かけてよ。
     ―おおぃ手前ら! 何やってんだ!』
    「あなたたち、すぐに止めなさい!」
    トランスポーターから降り、声を張る聖那。
    その声が届いたのか、二人の少女は初めて聖那を見た。
    『なんだァ、今イイとこだってのによお』
    『なにやら聞いた事のある声ですね。闘神阿修羅です?』
    「その盟約者、ALCAキョウト支局の揺音聖那。
     すぐに止めないと、世界統一自衛法第7条に基づき実力を行使するわ」
    『アぁん?ナンだって?』
    『ちょっと聞こえなかったです―わ!」
    青の少女が袋をしごくと、猛烈な風が聖那を襲い―
    ―降りたばかりのトランスポーターが巻き上がり、そのまま聖那の上に落ちてきた。
    『アタシはジスフィアの雷神、鳴神』
    『同じくジスフィアの風神、玉風』
    『っても、もお聞こえねぇかなぁ!ハハハハ―』
    二人の笑いは途中で止まった。
    聖那を押しつぶすかと思った車体がゆらり浮くと、二つの宙を飛ぶ拳に支えられ、ゆっくり路上に降ろされたからだ。
    「安全なところへ、早く」
    ドライバーに声をかけ、彼が脱出するのを確認すると、改めて二人を見据える。
    「これが返事ってわけね。いいわ。
     力づくでも、おとなしくしてもらう」
    『手前ぇらちょっと降りてこい。熱いゲンコでおしおきしてやるからよ』
    闘神・阿修羅と合体した聖那は、和風のボディスーツに身をつつみ女性らしい健康的な肢体を見せながらも、優れた格闘センスと強化された身体能力、そして宙を自在に舞う四つの拳を使って戦うALCAキョウト支局きってのパワーファイターだ。
    『ハ! 驚かせんな! 阿修羅だろーと、空飛べないんじゃあケンカにもならね―』
    と胸を張る鳴神のすぐ横を、風を突き破る勢いで阿修羅の拳が飛んだ。
    『-ッ!!』
    『降りてこねーってんなら』
    「無理やり引きずりおろすまでよ」

    とはいえ。
    二人の使者を相手に、独りで戦うのは困難を極めた。
    勝手知ったるキョウトの街を盾に使い、隙を見ては対空ミサイルの様に拳を叩きつけるが、向こうも暴風で身を守り、鞭のごとく稲妻を振らせてくる。
    息の合ったコンビプレイが、聖那を追い詰めていく。
    なにより、愛する街が巻き添えに壊れていくのが、まるで自分の体を傷つけられたように感じる。
    「・・・まだなの?」 
    焦る聖那に、やっと待ちかねた通信が入る。
    「-聖那、こっちはだいたいOKだよ」
    「ありがと、律さん」
    キョウト支局の他のメンバー、律の率いる別動隊は、雷と暴風に囲まれた街から人々を非難させていた。
    異世界から来た使者がこの世界に及ぼす悪影響は、異世界由来の特殊な力で暴れることそのもの、だけではない。
    彼らがこの世界の人間を取りこむ―トランスジャックして世界に現れる時、周囲に己の異世界に合わせて世界を作り変えようとする力が働く。これを「逆理領域」と呼ぶ。
    逆理領域に取り込まれた普通の人間は、程度の差こそあれ、徐々に異世界のロジックに体を蝕まれこの世界のロジックを喪ってしまう。そのまま放置すれば、人格が破壊され、死に至る。
    使者の悪意ある侵入に対し、定理者たちがまずしなければならないのは、逆理領域から人々を避難させることだ。
    幸い、キョウトにはシェルターも充実し、人々の意識も高い。
    時折飛んでくる流れ弾ならぬ「流れ岩」も、
    『カカカっ この程度!』
    律と合体した妖怪・唐笠小僧の番太が広げる、巨大な蛇の目傘ががっちりブロックする。
    「それと、君の相棒の方も―」

    通信を終えた聖那は、宙の二人に背を向けると、小路を抜けて走り出す。
    『あ! おい! 逃げんのかよ!』
    『逃がさない。ふふふ、神を挑発してタダですむと思ってるのかしら』
    細い路地を選んで走ることでこちらを巻こうとしているのか、見え隠れする聖那を追いかける鳴神と玉風。
    『追いかけっこも面白いけどよー』
    『そろそろ飽きましたね』
    鳴神の放つ稲妻をくぐるように、聖那はとある商店街のアーケードを折れ、そのまま大きな建物の中へと逃げ込む。
    『建物ン中なら安全ってかぁ?』
    『とんだ間違いですわ』
    玉風の風が拳となって扉を吹き飛ばし、そのまま後を追う。と。
    ―バチリ。
    『ぐっ』
    入口から伸びる通路をくぐろうとした鳴神を、四方から雷が襲った。
    『・・・雷神のアタシに、雷だと? 効くわけねーだろーがー!』
    腹立ちまぎれに周囲に稲妻を飛ばせば。
    別の通路の先にたたずむ、金髪に和装のドレスを着こなした少女も涼しい顔でそれをやり過ごす。
    「そうかしら。貴女の雷、たいしたことないんじゃない?」
    『まあまあジゼル。鳴神も若い神ですから、仕方ないですよ』
    『んだと!!!!』
    更に勢いを増す雷の雨の中、踊るようにかわして微笑む。
    『ALCAキョウト支局所属、ジスフィアのイカヅチの神、八雷神』
    「その盟約者、ジゼル・サンダース。今日は特別に、アンタと踊ってあげるわ」
    『・・・たま』
    『わかった、なる』
    その一言で決めたのか、鳴神は八雷神と合体した少女・ジゼルを追い、玉風は聖那の後姿を追う。

    ―つまり、見事に分断されたのである。

    『ジゼルさん、気を付けて。ああは言いましたが、単純な力比べなら、鳴神の方が上かもしれません』
    「ちょっと、敗北宣言?」
    通路を駆け抜けつつ、ところどころに稲妻を放つ札を地雷の様に配置。
    鳴神は稲妻そのものにはダメージを受けないが、八雷神の操る「雷」とは。
    『とんでもありません』
    黒雷は天地を暗くし視界を奪い。土雷は鳴神の雷を地面にそらし。伏雷は闇に潜んで稲光を走らせ。
    『「火雷(ほのいかづち)!!」』
    声を合わせるジゼルと八雷神。放つ雷の起こす炎が、鳴神を炙った。
    『うわーっ』
    『雷の扱いにかけては、この八雷神に及ぶ者はおりません』

    セプトピアの建物は、玉風の知るジスフィアの建屋とは違い、硬く、隙間がなく、冷たく。
    彼女の放つ風にいちいち抵抗する。
    だが無駄な抵抗だ。
    風で拳を作って殴りつけてやれば、扉も吹き飛んでしまう。
    だが。
    それをあざ笑うように、あの阿修羅と合体した女はひょいひょいと逃げ回る。
    『いつまで逃げまわるつもり? 闘神阿修羅の名が泣くのではなくて?』
    いらいらするので壁の2、3枚ごと殴りつけてやるが、砕けた扉の破片を縫って、阿修羅の拳が飛んでくる。顔を思わずそらす。が。
    『ぐっー!』
    影から飛んできたもうひとつの拳が、深々と腹をえぐる。
    『・・・・おのれ・・・・』
    視界の端を、女のおさげが消えていく。
    『許さない!!!』

    それぞれを追う鳴神と玉風は、とある廊下の端でぶつかる様に再会した。
    『-なる、ひどい顔。煤けてるわ』
    『うっせー。たま、お前こそ服破けたんじゃねーの』
    視線をかわし、改めてあのナマイキな二人に目にもの見せることを誓う。
    扉の向こうにいるはずだ。
    近づくと勝手に扉が開き、踏み込むと閉まる。
    『誘いこまれた?』
    『かんけーねー ぶっつぶす』
    耳がキンとなって痛む。
    少し息苦しい。
    ついでに、妙に熱い。

    ホールの様になった少し広い部屋の向こうに、あの阿修羅と合体していた女が、別の装束で立っている。
    『鳴神様、玉風様、少しは頭が冷めましたかの?』
    『だれだてめー』
    『また別の者と合体しているのね?』
    『合体しながらで失礼申す。わらわは懍玲。ゆえあって、この者とキョウトを守っておる』
    「いいかげん暴れ飽きたでしょ? おとなしくトランスジャックを解いてくれないかな?」
    『うっせー!』
    『その顔にお返しするまでは、止められませんわ』
    「-しかたないか」
    『一度、痛い目を見てもらうしかないようじゃ』
    聖那の前にある、青く輝く水晶のような八角錐。
    それがひときわ強く輝いたかと思うと、むっ とした熱気が更に高まった。
    「-ロジックドライブ」
    『「驚烈超火球!!!」』
    そのまま蒼い火の玉となって、鳴神と玉風に向かってくる。
    『バカね、こんなもの!』
    風の壁を作って弾き返そうと風袋を膨らませるが―妙に手ごたえがない。
    「気圧が落ちてるの、わかる? 当然、風の力も弱まるってわけ」
    気圧、というのが何のことだかはわからなかったが、風が薄くなっているのはわかった。
    『どけ、アタシの雷で!』
    だが放つ雷は、あらぬ方向へと飛ぶ。その先にはあの雷女が札を持って立っている。
    「なんかね、気圧の低くなったところでは、放電しやすくなるんだって。
    勝手に雷が出ちゃうから、うまく操るのは難しいみたい。
    ま、私たちは楽勝だけど―
    あんたには無理みたいね」
    『てっめええええ!!!!』
    『なる、ダメ!!!』
    火の玉が二人を直撃するのと、無理やり束ねた風が天井を吹き飛ばすのは、ほとんど同時だった。

    「で? 鳴神と玉風だっけ? 逃げちゃったの?」
    「-ゴメン、平さん」
    聖那とジゼルの奮戦によって、鳴神と玉風はトランスジャックを維持できなくなり、取り込んだ人を解放してどこかへと逃げたようだ。
    逆理領域も消え、青空が戻ったキョウトではシェルターから出てきた人々が笑顔を取り戻している。
    通信の向こうで、支局長代理の平もほっとした返事を返す。
    「ま、しょうがないよ。あとは調査部に任せて、いったん戻ってこいや」
    「-いや、まだそこらにいるかもしれない。私はちょっと探してみる」
    と聖那が答えると、
    「私はリハに戻らせてもらうわ。抜け出してきたんだからね、取り戻さないと」
    とジゼルも答える。
    二人は視線を交わし、
    「ありがとねジゼル。ライブ、楽しみにしてるから」
    「ハイハイ、じゃあ私が集中できるように、なるべく呼び出さないでね」
    ふっ、と笑みを浮かべると、反対方向に向けてそれぞれ歩き出した。

    「ちょっとー! お兄さんの指示、たまには聞いてくれても良くない?」

    後には平のいつものボヤキが残された。

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  • 阿修羅

    阿修羅

    情に厚い熱血系。
    趣味は鍛錬で、絶えずトレーニングを欠かさない。
    盟約者である聖那すらも把握できないところで、こっそり勝手に鍛錬を積んでは新しい武器や技を開発する戦闘マニア。

    トランス!

     揺音 聖那 & 阿修羅

    聖那、はじめての戦い

    『おい聖那! 聞いてるか!?』

    地鳴りのような阿修羅の声が、耳元で響く。
    しかし、揺音聖那はその声に応えることができなかった。

    目の前には逆理領域が広がり、
    見慣れたキョウトの街が砂漠のような光景に変わっていく。
    そして砂嵐の中を巨大な人影が迫ってきていた。
    敵――モノリウムの使者だ。

    阿修羅と合体した聖那は戦場に飛び込んだ瞬間、頭の中が真っ白になった。
    足は震え一歩も動けない。
    聖那自身も、敵を前にして臆する自分が信じられなかった。

    定理者の適応を判定され、
    聖那がALCAキョウト支局へ召集されたのは一ヶ月ほど前のことだ。
    突然の召集にも拘わらず、聖那に戸惑いはなかった。

    二年前に姉の揺音玉姫も同じくALCAの召集を受けていた。
    憧れの姉と同じ定理者になれることに、「やっときた!!」と喜びの感情が勝っていたからだ。

    元々身体を動かすことが好きだった聖那は訓練でメキメキと頭角を現し、
    周囲は「さすが揺音玉姫の妹だ」と囃し立てた。

    聖那自身も「定理者としてやっていける!」と手応えを感じていた。
    何度も戦闘シミュレーションを重ね、今日に備えてきたのだ。

    いつ訪れるか分からない初出動に、
    むしろ胸を躍らせワクワクと心待ちにしていた――そのはずだった。

    だが、現実は残酷だ。
    巨大で凶暴な敵を前にしては、聖那はただのちっぽけな少女でしかなかった。
    昂ぶった気持ちは萎えて、高鳴る鼓動で本部から指令も何も聞こえない。

    「助けて……お姉ちゃん……」

    そうつぶやいて聖那は固く目を閉じた。

    姉の玉姫は、ナイエン支局で定理者のリーダーになったと先日手紙で知ったばかりだった。
    (いつかお姉ちゃんみたいなリーダーになりたいと思っていたのに……)

    聖那は恐怖に震える自分の不甲斐なさを嘆き、目には涙がたまり始めた。
    阿修羅の声がふいに耳に入ったのはその時だ。

    『おい、六手拳でいこうぜ!! って!!』

    「……え?」

    聖那は呆気にとられ、ためていた涙を流すのを忘れてしまった。

    『俺たちのロジックドライブ――必殺技だよ! まだ名前考えてなかっただろ?』

    ビビっている聖那のことなどお構いなしに、
    阿修羅はただそれを伝えたいがために耳元でがなり続けていたのだった。

    それが分かった瞬間、聖那は呆れて、金縛りのような緊張が解けていった。
    肩の力が抜け、身体が軽くなっていくのが自分でも分かった。

    ジスフィアの神・阿修羅――初対面の時、聖那は阿修羅を見るなり、盟約者になる運命を感じた。筋肉ムキムキの大男でいかつい見た目なのに、
    昔からの友人といるような不思議な居心地の良さを阿修羅から感じていたのだ。

    (まるでこんなふうに阿修羅に助けられるのが分かっていたみたい……)

    聖那は自分の先見の明にクスッと笑い、「うん、それで行こ!」と明るく声を弾ませる。
    『応!』と阿修羅の地鳴りのような声が耳元でまた響いた。
    敵はすぐ目の前に迫っている。
    聖那はキッと表情を引き締めた。先ほどまで怯えた少女の姿はない。

    『「ロジックドライブ!! 六手拳!!」』

    二人の声が重なると同時に、聖那は敵に向かって大きく跳躍していた。

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  • 鉄牙のライア

    鉄牙のライア

    モノリウムからやってきた、狼の獣人少年。
    父母は群れを率いていた頭目であったが、
    とある使者に殺され、その復讐のため、
    敵を追い求めてセプトピアにやってきた。
    頭に血が上りやすい激情家だが、
    正義を重んじる信念も持つ。

    トランス!

     揺音 聖那 & 鉄牙のライア

    咆哮、再び

    「聖那戻れ!! 戻るんだ!!」

    司令部からの声は、聖那には届かなかった。
    気がつくと無我夢中で走っていた。
    数百メートル先――目と鼻の先で、今、仲間が苦しんでいる。
    それを知った途端、聖那は向かわずにはいられなかった。
    現場は、ショッピングモール。
    聖那が息を切らして、辿り着いた頃にはあちこちが破壊され、瓦礫の山が築かれていた。
    聖那は、敵に気づかれないように地下へと降りていく。
    司令部と仲間との連絡が途絶えたのは、地下2階の駐車場だった。
    戦闘不能に陥り、そこに避難しているはずだった。

    「私よ。無事?」

    聖那は声をひそめて、ロジグラフで仲間に呼びかけながら真っ暗な駐車場を進む。

    「聖那!」

    安心しきった声とともに、車の陰に身をひそめていた仲間が聖那の前に現れる。
    と、同時に驚いた顔を見せた。

    「聖那……あんたトランスしてないじゃない!」

    そう。今の聖那は、一般人と変わらない。
    パラドクスゾーンに巻き込まれれば、逆理病に冒される危険もあるのだ。

    「そういうわけだから急ぎましょう。今はあなたの避難が最優先」

    そう言って、仲間の手を引き立ち去ろうとした時だった。
    凄まじい音とともに天井が崩れ、真っ暗な駐車場に光が差し込む。
    やがて聖那に気づいた敵――巨大なワニの獣人が瓦礫の中から現れた。

    『飛んで火にいる夏の虫だな……』

    不敵に笑う敵に、聖那は迷うことなく仲間に告げた。

    「私が囮になる。あなたは逃げて」
    「でも!」
    「大丈夫。逆理病になるようなヘマはしないから」

    聖那は仲間を安心させようと微笑むと、敵に向かって行った。

    『その勇気だけは誉めてやる……勇気だけはな!!』

    敵は、容赦なく向かって来る聖那に拳を突き出す。
    聖那はその拳を間一髪避けた。

    『なに!?』

    何かの間違いだろう、と自分に言い聞かせるように敵は再び聖那に襲い掛かる。
    再び、聖那は紙一重で敵の攻撃を躱す。

    『ちょこまかと!』
    「たいしたことないわね。アイツに比べれば……」
    『アイツ……?』
    「あんたよりももっと強いヤツがいたってことよ。
    アイツに比べれば、たいした攻撃じゃないわね」
    『小癪な!!』

    聖那の計算通り、挑発にのり、敵はムキになって襲い掛かってきた。
    もう敵の目には聖那しか映っていない。
    聖那は、横目で仲間が離れていくのを確認し、ひとまず安心する。
    だが問題は、これから自身のピンチをどう切り抜けるかだ。
    敵の攻撃を必死に避け続けていた聖那だったが、ついに拳がかすめ、聖那は跪いた。

    『手間をかけさせやがって……』

    敵は聖那へと近付いた。そしてパラドクスゾーンも聖那の足元へ広がってきた。
    完全に勝ちの目の無い戦いであったが、それでも聖那の闘志は消えることはなかった。
    聖那は立ち上がると敵に向かってファイティングポーズをとった。

    『そうか……死にたければ死ね!!』

    敵のトドメの一撃が聖那に迫る。
    その時だった。
    物陰から狼のような影が飛び出し、聖那の身体に体当たりした。
    その衝撃で聖那の身体は投げ出され、敵の攻撃は空振りに終わる。
    驚くのも束の間、聖那は見覚えのある狼のようなその姿を見て叫んだ。

    「ライア!」
    『相変わらず無茶しやがって……』

    ライアは少し呆れたような顔を浮かべていた。

    「助けに来てくれたの!?」
    『言っただろ。お前が手こずることがあったら助けに来てやるって……』

    照れくさそうなライアを見て、聖那は思わず微笑む。

    『ボヤボヤしてる場合じゃない。やるぞ』
    「やるって?」
    『合体ってやつだよ。そうじゃないとヤツに勝てないだろ?』
    「あなたと私が合体……!?」

    テストもしていない相手との合体に戸惑う聖那。しかし今は迷っている場合ではない。

    「……わかった。盟約しよう!」

    こうして合体する聖那とライア。
    その瞬間に、聖那は想像以上のものを感じた。
    今、自分の身体に漲る力を。

    『ウオオオオオッ!!!』

    敵は再び襲い来る。

    『「紅月の牙ッ!!!」』
    『!?』

    聖那の鋭い一撃が、敵の身体をはね飛ばした。

    「すごい! すごいよライア!」
    『感心してる場合じゃない。俺のあの技を覚えているか?』
    「……もちろん」

    聖那は力強く頷いた。忘れるわけがない。
    かつて聖那の窮地を救ったライアのとっておきの技だ。

    『「ロジックドライブ! 月光の咆哮!!!」』

    聖那とライアの魂の叫びが重なり合う。その咆哮の衝撃波をうけ、敵はがくりと崩れ落ちた。

    『……やるな』
    「ライアもね」

    かつて拳を交えた敵と手を結ぶ――聖那は最高の高揚感を覚えていた。

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