キャラクター&ストーリー

  •  剣 美親
  •  揺音 玉姫
  •  クロエ・マクスウェル
  •  五六八 葵
  •  揺音 聖那
  •  アシュリー・ブラッドベリ
  •  ジークハルト・クラウス
  •  当麻芽路子
  •  明日葉 学
  •  オルガ・ブレイクチャイルド
  •  七星 縁
  •  ヴェロニカ・アナンコ
  •  ジゼル・サンダース
  •  ニーナ・アレクサンドロヴナ
  •  リオネス・エリストラートヴァ
  •  京橋万博
  •  橘 弥生
  •  森ヶ谷 夕子
  •  小湊くらら
明日葉 学
明日葉 学あすは まな
性別 女性
年齢 -
身長/cm 145
体重/kg 40
血液型 B型
生年月日 2月15日
好きなもの ヘッドフォンで音楽を聴くこと
嫌いなもの おしゃべり。人といること。

寡黙で、いつも独りでいることが多い少女。

実はコインロッカーに捨てられていた過去をもち、親の顔を知らない。
他人と馴染めず施設でも孤独に過ごしていたが、
定理者の素質が目覚め、ALCAに強制招集された。
その後しばらくメンバーと共に戦って来たが、
まだ誰も彼女の笑顔を見たことが無い。

そんな時、ある使者の襲来が彼女の転機となる。

盟約者フォーリナー

  • 月影の ロウ

    月影の ロウ

    モノリウムから興味本位でセプトピアに来た、フクロウ族の女性。
    穏やかでミステリアスな雰囲気を持つが、優秀なハンターでもある。
    ミミズクに適応してモノリウムの空を旅していたが、嵐に巻き込まれ墜落。
    怪我をして動けなくなっているところを、学に助けられる。

    トランス!

     明日葉 学 & 月影の ロウ

    明日葉 学 & 月影の ロウ

    学の首に巻かれた光るマフラーは、合体したアルテミスの能力の一部である。
    学の意志によって自在に動き、必要に応じ壁面を登るためのアンカーやロープにもなる。
    マフラーを助けにしながら、壁面のハシゴやパイプを手掛かり足掛かりに、宙を跳ねるように駆ける。
    あっという間に高層ビルの屋上まで駆け登った学は、スナイパーの性か、さっと周囲を確認。
    さらに高所から状況を伺う。
    しかし。
    「―アルテミス?」
    『ええ。宴の主人は場を辞した様ですね』
    ―空気が変わった。
    もう雷の音も嵐のうなりも聞こえず、空の黒雲が流れ、光が差し込んで来ていた。
    そして玉姫から通信が入ってきた。
    「……うん、わかった」
    どうも、玉姫の妹・キョウト支局の聖那と相棒のジゼルがうまいこと問題の使者を撃退したらしい。しかし使者は適応体となって逃亡したらしく、まだ確保に至っていないという。
    「アルテミス、行くよ」
    『貴女の願いのままに』

    再び光るマフラーを打ちこみつつ、地上へと跳ねる様に降りていく。
    時に住宅の屋根、時にベランダの端を蹴りながら、周囲に油断なく目を配っていく。
    「―この地区に不審な姿はない。他の地区に回る」
    「了解、気を付けて」
    玉姫と短い通信を交わすと、次の地区へ。
    だが怪しい姿を発見することはできなかった。

    そこで、何か情報がつかめるかもと思い、近くの避難所へ足を向ける。
    合体を解き、アルテミスをいったんフォーリナーカードで異世界テトラヘヴンへと戻す。
    学の後見人として、セプトピアで暮らしていることの方が多い彼女だが、今は万一に備え、いったん故郷で力を蓄えてもらった方がいいと判断。
    すると別のフォーリナーカードが輝き、光の中から今度は一抱えほどのサイズのぬいぐるみ、もとい、青と白の羽毛に包まれたペンギンが現れた。
    学の盟約者のひとり、モノリウムから来た海颯のウィーゴである。
    「ウィーゴ?」
    『状況はわかっている。まだ付近に危険な使者がうろついているかもしれないのだろう?
    安心しろ、学は俺が守ってやる』
    どうやらボディーガードを買って出てくれたらしい。
    断る理由もなく、学はそのまま避難所のゲートをくぐる。
    その後ろを、赤いマフラーを巻いたペンギンが、ぺったぺったと続く。
    すると。

    「うわぁあああ ペンギンさんだー!」
    「かわいいー!」
    「もこもこー」
    「ふわふわー」

    避難所には、付近の幼稚園に通う子供たちがそのまま避難してきていた。
    以前から度々あったこととはいえ、避難所内の空気と、大人たちの深刻な様子、そして時折聞こえてきた雷と嵐の轟音は、子供たちを脅え縮みこませていた。

    そこに、可愛らしいペンギンが現れたのだ。
    親や先生が止める間もあらばこそ、あっという間にウィーゴはもみくちゃにされる。

    『う、うわああああああ、お、お前たち落ち着け、こら、やめろおおおお』

    ペンギンは寒い海での生活に特化するため、翼は1枚のオールの様な形状へ進化した。
    このひれ状になった翼を「フリッパー」という。
    フリッパーは鋭く水を打ち、飛ぶがごとく海中を泳ぐ、その推進力を産み出す。相当な筋力を備えているのだ。
    さらに、モノリウムの拳法家である海颯のウィーゴにとってこのフリッパーは、鍛え抜かれた武器であり気合を込めて振り下ろせば、岩をも砕く自信がある。(セプトピアではまだ、試したことがない)
    しかし。
    このまとわりつく子供たちの頭に、フリッパーを振り下ろすわけにはいかないではないか。

    『-学、学、おい、早く、助けてくれー!』

    学としてもお気に入りのぬいぐるみ、もとい、盟約者であるウィーゴが子供たちにもみくちゃにされているのは、自分のモノを奪われたようで嬉しくはないが―

    「-がんばれ」

    子供たちが歓声を挙げて喜び微笑んでいる姿、それを見てその親たちが微笑んでいる姿、さらにその笑顔が周囲に伝染していく様子を見ると、今取り上げるのは酷な様な気がした。

    『お、おい、そんな殺生な、ちょ、おま』
    「うわぁあああああい」
    「かわいいー!」
    「もこもこー」
    「ふわふわー」

    聞こえたかどうかわからないが、「健闘を祈る」と伝えて学はALCAの職員の下へ足を進めた。
    さて職員の話によると、付近で大きなミミズクの目撃情報があるという。
    キョウトにも野生のフクロウはいると思うが、昼間に街の中にいるのは、ちょっと珍しい。
    子供たちにたっぷり遊んでもらい(もみくちゃにされただけだ!とは本人の弁)へとへとのウィーゴを連れ、目撃されたという公園の方に向かう。

    いつもは子供たちや親子連れで賑わっているであろう公園が、人ひとりいない様子はなんとも悲しく寂しいものだ。
    以前はたいして気にもしなかった学だが、過去の事件を通じ、命を大切にすること・生きて全うすることの意味を教えてもらって以来、人と人のつながりには少し気を惹かれるものがある。
    (だからこの場所は大切……きっと)
    思わず握った拳に力の入る彼女の袖を、ウィーゴが引いた。
    『おい、あそこだ』
    見れば、公園の木の一本、その根元に寄り掛かるように、大きな鳥が倒れている。
    正面を向いた顔に、特徴的な羽角。ミミズクだ。
    駆け寄って抱き上げてやると、気を失っているのか目は開かないが、苦し気な鳴き声がもれる。
    『……学、こりゃ俺と同じ匂いがするぜ?』
    「うん」

    キョウト支局に連絡を入れトランスポーターを回してもらった学は、保護したミミズクを抱え、そのまま支局の盟約室へと向かった。
    『俺のカンが当たりなら、モノリウムの元体に戻してやった方が、傷の治りは早いぜ』
    職員から借りた応急手当キットを傍に置きつつ、フォーリナーカードを掲げる。
    「ゲートアクセス、モノリウム」
    学の声に応じて、超自然世界・モノリウムへのゲートが開く。
    モノリウムの青白い月の光が照らすなか、ミミズクはみるみる元の姿―モノリウムの獣人としての姿を取り戻していく。
    『そうじゃねぇかなとは思っていたが―』
    すらりとした長身の、若い女性の姿。
    やや浅黒い肌に、灰白色に縞の入った髪。
    露出の多い服装は、緑や赤の帯で縁取られエキゾチックな魅力を出している。
    一見、野性的な民族衣装のダンサーにも見える彼女だが、背中側の腰のあたりから生えた大きな翼が、人ならざる身であることをはっきり主張している。
    『こいつは珍しい。フクロウ族だぜ』
    ゆっくり目を開いていく。どうやら気が付いたらしい。
    「―大丈夫?」
    『・・・ここは、モノリウム?』
    「違う。でも、近い」
    学とウィーゴが見守る中、彼女は周囲を見回し、そして―
    『ヒト! それに、ペンギン!!』
    『おう、俺サマは海颯のウィーゴ。北厳海の鉄拳たぁ俺のことよ。
    そしてこっちが、アンタを助けたセプトピアの定理者、俺の盟約者の学だ』
    「よろしく」
    『・・・ええ、ありがとう・・・痛っ』
    『おう、ドコが痛いか言ってくれ。簡単な治療はできるからよ!』
    「見せて」

    かくして、このモノリウムのフクロウ族の女性は、学とウィーゴの治療を受けながら、少しずつ自分の事、これまでの事を話し始めた。
    『私は、月影のロウ、と言う。ただの風来坊だよ。
    元々わたしは、風の吹くまま気の向くまま、旅をしていたのだけど―』
    モノリウムの各地を放浪していたロウだったが、ある時、セプトピアへのゲートが開いた際、その一団に混ざってセプトピアに渡ったのだ、という。
    『こちらに来たのもなんとなく、だったのだけどね』
    セプトピアに渡ったロウの体は、セプトピアのロジックに適応し大柄のミミズクになった。
    最初は戸惑ったものの、彼女にとって空を飛ぶことは地上を走るより容易い。
    新しい体のバランスにもすぐに慣れ、セプトピアの空を自在に飛ぶことができたという。
    そしてしばらくは、セプトピアでの旅暮らしを楽しんでいた。
    しかし。
    『あの突然の嵐には、驚いた』
    折悪しく、キョウト付近の森を飛んでいた所、
    今回の鳴神と玉風が起こした事件に巻き込まれたらしい。
    『お恥ずかしい。枝に掴まろうとしたところを、あおられてこのザマさ』
    といって自嘲するのを、学はかぶりを振って否定した。
    「あの嵐はジスフィアの風神が起こした嵐。しかたない」
    『そうだ、気にするこたぁないぜ!』
    「ウィーゴだって無理だった」
    『ああ、俺にだってあの嵐は― って学!俺はそもそも飛べねぇよ!』
    「うん、知ってた」
    そんなやりとりを見て、初めてロウの顔に自嘲ではない本当の微笑みが浮かんだ。
    『定理者と使者というのは・・・噂には聞いていたが、仲の良いものなのだね』
    『ああ!俺たち盟約者同士の仲ってのは』
    反らすぐらい胸を張るウィーゴを背中から学がぎゅむと抱きしめる。
    「うん、なかなか」
    『お、おい、だからむぎゅう』
    『―長いこと独りで旅してきたからね、眩しいね。そういうのも』
    「ロウも、盟約してみる? 誰かと」
    『いやぁ、私なんかは・・・
     いろいろなしがらみに捕らわれるのが嫌で、
    ろくに目当ても無く放浪していたような私だ。とても務まらないよ』
    「そう」
    応急処置を済ませた学は、それ以上無理強いはしなかった。

    その後、怪我が治り飛べるようになるまで、当面ロウの身柄は学が預かることになった。
    かつてのナイエン支局の問題児も、今や立派なベテラン定理者である。
    『未知の領域に漕ぎ出す船。新たな航海の始まりに、皆の祝福を』
    つまり皆で見守り、支えてあげて欲しい、ということらしい。
    アルテミスを始め、星や冥、ウィーゴという盟約者たち。
    あるいは玉姫やクロエ、そして縁といった同僚の定理者たち。
    オルガやヴェロニカ、他にALCAのスタッフたちも、
    ちょっと言葉足らずで顔色の読みにくい、
    だが少しずつ、少しずつ感情が豊かになっていく学がロウの面倒をみているのを、心配し、応援していた。

    『いろいろ手間をかけた。ありがとう。
     何か、私に礼をさせてもらえないだろうか』
    「―いらない」
    『しかし…』
    「リーダーが言ってた。
    人と神―使者が共存しちゃいけない、なんて、誰が決めた事でもない。
    そう、オルガに教えられたって」
    ロウの怪我はすっかり癒えて、モノリウムへと戻ることになった。
    盟約室でゲートを開くと、またあの時の様に、青い月が輝いている。
    「仲良くできるなら、その方が、いい。
    だから、こうした」
    『そうか』
    大きな翼を広げ、軽くはばたくと、ふわり体が浮かびあがる。
    ロウの姿を見上げながら、学がぽつりと尋ねた。
    「―空を飛ぶのは、楽しい?」
    『それはもちろん。特に夜、月明りの下、空を飛ぶのは―』
    と説明をしようとして口を閉ざす。
    ロウも、あまり言葉を費やすのは得意ではない。
    『なぜそんなことを?』
    「仲間に、空を飛ぶのがいる。楽しそう、だから」
    合点がいった、とうなずいて、
    『ならば、その答えは、君自身が出すべきだ』
    ロウが差し出した手を、学が受ける。
    『共に飛ぼう。青白き月の下、星の瞬きを縫うように』
    「・・・うん」

    「『―合体』」

    さてしばらくのちの事。
    夜に生きるフクロウの眼は、わずかな光でも闇を見通す力をもつ。
    影から影へ目を盗んで走る犯罪者の姿を、ロウと合体した学はしっかり捉えていた。
    柔らかな羽毛は羽ばたく音を消し、気配を絶ちながらの追跡を可能にする。
    そして。
    「―獲った」
    気づいた時には、もう遅い。
    頭上から振り落とす鋭い爪が、逃亡者の服を地面に縫い付けていた。
    「オルガ、対象を確保」
    「フッ、流石はナイエン支局随一のハンター。
    俺のロジックが聞こえる・・・
    お前が獲物を逃がす確率は、0パーセン―」
    「対象を警察に引き渡した。帰投する」
    『仕事はこれで終わり。
    そして今夜は、月が綺麗だ。』
    「うん」
    ならば、少し遠回りして帰っても、いいだろう。
    音もなく羽ばたいた翼が、学を夜空へと舞い上げた。

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  • 星

    ジスフィアの、神に祈りを捧げる巫女。
    幼い頃に事件に巻き込まれ、両親は行方不明。
    その後、人に優しい妖怪たちを親代わりにして育つ。
    辛い事があっても胸のうちに秘め、
    明るく陽気に振るまい周囲に笑顔をもたらす。
    セプトピアには、生き別れた幼なじみを探しにやって来た。

    トランス!

     明日葉 学 & 星

    空から降る「ほし」

    同時多発的に起こった使者の襲来――。
    学と冥がいた高層ビルもその例外ではなかった。
    階下から使者たちが押し寄せ、商業フロアにいた人々をパニックに陥れた。
    救援を要請しようにも、ALCA本部も混乱をきたしてるのか通信不能。
    階下のフロアは使者たちに占領され、下に降りてビルから脱出するのは不可能だ。
    客たちを上の階へと誘導し、使者たちの殲滅に徹する――
    学と冥にはその道しか残されていなかった。

    「2人で相手するには少し多い……」

    波のように押し寄せる使者たちを前に、学はまるで他人事のようにボソリとつぶやく。

    『……ならば、もう1人増やそう』

    冥が冷静に言うと、学はうなずいた。すぐにあの技だとピンときたのだ。

    『「多重分身の術ッ!」』

    合体した学たちが唱えた瞬間、その身体は3体に分身する。
    残像ではない。呪力と気力によって、本当にその身を分けたのだ。
    3体の学は息の合った連携技で、使者たちの足を止め、一体、また一体と、仕留めていく。
    だが、敵の数は想像以上だった。
    本来、暗殺者である冥に一度に敵を殲滅せしめるような大技はない。
    次から次へと襲い来る使者たち。過ぎていく時間。
    学と冥は次第に疲弊し、ついに分身に費やす気力も限界に達した。
    2人は撤退を余儀なくされ、ビルの最上階から屋上へと追い詰められていった。
    分厚いシャッターで屋上までの侵入は防ぐことができたが、いつ打ち破られるかは時間の問題だった。
    大勢の避難民たちとともに、学と冥は合体を解除して最後の戦いに備え気力を養っていた。
    恐怖に震えながら身を寄せ合う人々を見て、学はボソリとつぶやく。

    「……この人たちだけでも助けたい」
    『……そうだな』

    その時、冥は夜空を見つめていた。
    (星のことを思い出してるんだ……)
    学はすぐにそう思った。学もまた星のことを思い出していたからだ。
    禁断のオーバートランスを使い、遠い世界へと去っていった大切な友達のことを――。
    (……オーバートランスを使うことを冥も考えている、きっと)
    学がその思いを口にしようとしたその時だった。

    『……なんだ、あれは?』

    翼をつけた少年が飛び去ったのが見えたかと思うと、
    キラキラと光りながら何かがヒラヒラと落ちて来るのが見えた。
    (「ほし」が落ちてきた……?)
    学は一瞬そんな錯覚をした。
    だが、その光の欠片から人の姿が飛び出してくるの見えた。
    「ほし」ではない「星」だ。
    やがて星が2人の前に、着地する。

    『助けにきたよ!』

    星は何事もなかったかのように屈託のない笑顔を見せる。

    「……」
    『……』

    学も冥も、あまりのことに驚き、言葉を失っていた。

    『えーと……私のこと忘れちゃった?』

    星は戸惑いながら冗談っぽく言った。
    思いがけない再会に、2人の感情は次第に驚きから感動に変わっていった。
    しかし、学も冥もそれを表に出すのがあまりに下手だった。

    「いや……」
    『……忘れるわけがない』

    そう言うのが精一杯だった。

    『あー……いいよいいよ。2人がリアクション薄いのは何となく予想したから……』

    星は苦笑いで、嬉しい感情を誤魔化す。
    ドン! ガシャーン!!
    使者たちの行く手を遮っていたシャッターの強度はもはや限界のようだ。
    今にも使者たちがあふれだしそうなほど歪んでいる。

    『……こうしちゃいられないね。学、合体しよう』

    星は学に手を差しだした。

    「……できるの?」

    学は驚いた。
    オーバートランスの影響で星はロジックを失い、合体不能のはずだったからだ。

    『まあ、やってみればわかるよ!』

    学と星は手を握り合うと、光に包まれ合体する。
    と、同時にシャッターを打ち破り、ついに使者たちが屋上に現れた。

    『荒ぶる魂を鎮めるのも、巫女の役目……』

    星のつぶやきとともに、学から放出される巨大な霊力。
    使者たちは目に見えぬ重圧に押しつぶされるように、一斉に身動きを止めた。

    「すごい……」

    新たなる星の力に、学は目を見張った。

    『向こうの世界で新しいロジックを得たんだ……。これでまた一緒に戦えるよ』

    星の言葉に、学はやっと笑顔を見せた。
    それを見て、ホッとする星。
    ふと、冥を見ると彼女は学たちに背を向け、
    避難民たちをより安全な場所に誘導しようとしていた。
    だが、一歩踏み出したところで足を止める。

    『……おかえり、星』

    背中越しに冥の声が聞こえた。
    星は微笑んで答える。

    『……ただいま』

    定理者のカード 使者のカード 合理体のカード

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  • 冥

    ジスフィアの、暗殺者として生きてきたくの一。
    幼い頃に事件に巻き込まれ両親を亡くし、
    その後、闇の組織に育てられた。
    自分の感情は心の奥底に押し隠し、
    命じられるまま、数々の暗殺をこなす。
    セプトピアには、組織から指令を受けてやってきた。

    トランス!

     明日葉 学 & 冥

    少女たちの覚悟

    『……学。星のことは頼んだ』

    そう呟くと、静かにALCAの下を去っていくジスフィアの暗殺者──冥。
    その眼差しには──死の覚悟が宿っていた。

    ──その昔、ある事件で星と生き別れた冥はジスフィアの暗殺組織に拾われて育てられた。
    確実に任務を遂行する暗殺者になるために心を殺す教育を受ける日々。
    やがて任務の為、セプトピアを訪れた冥は、
    セプトピアで暗殺対象の情報を得るために学と盟約し、
    そこで奇跡的に幼馴染の星と再会を果たしたのだ。
    学や星との暮らしは長年殺し続けた冥の心に彩りを与え、
    失った時は徐々に取り戻されていった。

    が、そんな幸せな日々は長くは続かなかった。
    組織が星を暗殺するために大勢の刺客を差し向けたのだ。
    冥は知った──自分に与えられた暗殺任務はダミーであり、全ては星をセプトピアに誘導するための囮。
    組織は神の巫女たる星の力を恐れ、
    本来の力を発揮できないセプトピアの地で亡き者にしようとしていたことを……。
    冥の心は一つだった──刺客と刺し違えてでも星だけは守る。

    冥は単身で大勢の刺客の前に立ちはだかり、命を賭して戦い続けた。
    が、そこへ現れたのが──星と合体した学だ。
    全ての事実を知り、冥を守るべく抵抗したのだ。
    しかし屈強な大勢の刺客には敵わず、ほとんどのロジックを使い果たしてしまう。
    すると刺客は冥を人質に囚え、学に合体を解除して星を殺害するよう要求した。
    星が殺さなければ、冥が死ぬ。
    しかしどちらか一方を、学が選べるわけもなかった。

    『退け、学……このままでは三人とも死ぬっ』
    「……やだ……冥を連れて帰る」

    冥だけを犠牲にして退避する選択など、学の頭にはなかった。
    すると星は決意し、突然学との合体を解除した。学は戸惑いを隠せなかった。
    星は学と冥を守るために決意。自ら自害することで学と冥の命を救ってほしいと組織に取引を持ちかけたのだ。
    組織の狙いは星の命一つ。星の取引に応じようとした。

    『やめろ……星がいない世界に生きる価値なんてない……
    一人だけ残されて自分だけが生きるなんて……嫌だ』
    『冥……それは私も同じよ。でもこれしか方法がないの……お願い』

    互いが互いを救いたい一心で対立する冥と星の想い。
    冥は、腰に身につけたアクセサリーを握りしめた。
    星もまた、頭の右側につけたアクセサリーを握りしめた。
    それは二人が幼い頃から身につけていたお揃いのアクセサリーだった。
    冥と星を意味する二つの飾り。
    どちらかが欠けることなくいつでも一緒──そんな想いを込めて。

    その時、学が呟く。

    「……やだ……連れて帰る……冥も……星も……」

    冥と星、どちらの提案も受け入れようとしない学。
    冥は叫ぶ──『学! 星を連れて逃げてくれ! それが私の唯一の望み!』
    星は叫ぶ──『学! 冥と共に生きて! 二人の幸せが、私の幸せなの!』
    しかし学はどちらの声にも耳を傾けようとしない。
    長年の時を経て、ようやく再会を果たせたばかりだというのに、冥と星が再び引き裂かれてしまうことを、学は受け入れることなど到底できなかった。
    冥と星が共に歩むこと──それだけが学の望み。
    すると学は星のすぐそばに歩み寄り、耳元で囁いた。

    「……一つだけ、方法がある」

    二人だけにしか聞き取れない声で星にある決断を迫る学。
    星は言葉を失った。
    が、同時に、他の選択肢がないことを瞬時に悟った。
    学はALCAに通信し、ある作戦の行使を進言。局長の許可を取った。
    そう、学と星が下した決断は──。

    「……オーバートランス!」

    勝負はまさに一瞬。
    星光の如き速さで刺客を殲滅し、冥を救うことに成功した……。
    オーバートランスによって、学と星のロジックカードが飛散しかける。
    が、星は神の巫女たる力を開放し、学のロジックカードの飛散を全て防いだ。
    学が驚いて星を見ると、星は何も言わずにただ微笑んだ。

    冥は知った。
    どんなに過酷な運命でさえも、強い意志で変えることができることを。

    闇に生き続けた冥に、道標となる希望の光が射した──。

    定理者のカード 使者のカード 合理体のカード

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  • アルテミス

    アルテミス

    テトラヘヴンからやってきた、ミステリアスな「月の女神」。
    長身で細身の美女で、詩をこよなく愛し、詠う。
    盟約者となったパートナーの事を、あたかも月の光が照らすように、優しく見守っている。

    トランス!

     明日葉 学 & アルテミス

    嵐の前

    ニーナたちの分析によって、使者たちが大挙襲来した原因が突き止められた。
    実験段階にあったゲートカードの暴走によって、
    各異世界との間に次々とゲートが開き、
    それを通じて招かれざる客たちが押し寄せたのだ。
    新型ゲートカードを手にした定理者たちの奮闘で、
    市街地での騒動は沈静状態に向かいつつあった。
    しかし、ALCA研究所の暴走しているゲートカードを止めなければ、根本は解決しない。
    ただちにオルガを中心に作戦が立案され、今、実行の時を迎えていた――。

    「よりによってこんな時に……」
    慌ただしく鳴り響く警報に、司令部の一同は苦虫を嚙みつぶしたような顔を浮かべた。
    作戦実行のため、出撃準備をしていた最中に敵が再び大挙して襲来したのだ。
    その目標は、ALCA本部である。
    作戦を続け攻めるべきか、定理者たちを待機させ守るべきか。
    危険を承知のうえで作戦を決行すべきか。
    それとも、中止にして本部を防衛するか。
    現行の作戦では、本部の防衛に当たる定理者は学ひとりだけだったためだ。
    苦悩の表情を浮かべるオルガに歩み寄ったのは学だった。

    「……作戦は続けるべき」
    「しかし!」
    「大丈夫。本部は私一人で守る」

    学の鬼気迫る表情に、オルガも決断する。

    「……わかった。作戦決行だ」

    学の決死の覚悟は、他の定理者たちにも伝わり、士気はいっそう高まった。
    だが、その中で一人、アルテミスが学を心配そうに見つめていた。
    (……あの子、まだ死に場所を求めているのかしら)

    親に捨てられた孤独な出自を抱え、
    今生きる世界に執着を持たず、
    生と死の境界線に憧れのような感情を抱き続けていた学。
    長い間、学を母親のように見つめていたアルテミスは、
    学が抱え続けていた苦悩をよく知っていた。
    仲間たちと歩むことでその闇は消えたように思えたが、
    この危機を前に再びあの感情が蘇ったのか――
    アルテミスの脳裏には、直感的にそんな不安が過ぎった。

    アルテミスと合体した学は、本部の屋上にある狙撃ポイントへ向かう。
    エレベーターの中で、敵の到達予想時間を通信で聞きながら、
    学は無表情のまま静かに目を瞑っていた。
    合体しているアルテミスに伝わるのは、静かな凪の海のような落ち着いた感情。
    学の心の奥底に眠る心理まではわからなかった。

    『……嵐の前の静けさね』

    アルテミスの声が耳元で囁くように聞こえた。

    「え?」
    『あなたの心を表わす言葉……』
    「……嵐」

    学がボソリとつぶやいた。
    その瞬間、学の心がざわめき始めたのをアルテミスは感じた。

    『……あなたの心に炎が見えた。それは自らも焼き尽くす炎かしら?』

    学はクスッと笑うと首を横に振った。

    「……みんなと、約束したんだ」
    『約束?』
    「ぜんぶ終わったら、遊園地にいこうって……」
    『遊園地……』
    「射撃のゲーム。おもちゃのライフルで景品を当てるヤツ。
    私がぜんぶ当てて係の人を困らせてみようって……」

    それを聞いていたのかクロエから通信が入った。

    「そーそー! なんか、楽しそうじゃない?」
    「申し訳ない気もするけど――」

    今度は玉姫からの通信。

    「――キョウトにいる聖那とジゼルちゃんにプレゼントできるもの、
    ゲットできたら嬉しいな……」

    その後、続々と仲間たちから通信が入った。
    いずれも、遊園地で何をしようかという話ばかりだ。
    やがて狙撃ポイントへと到着した学。
    その心は紅蓮の炎に燃えている。
    だが、それは自らを焼き尽くす炎ではない。
    仲間たちとの未来、希望に燃える学の心だ――と、アルテミスに伝わった。
    (杞憂だったわね……)
    今ここにいる学は、もう昔の学ではないと知り、アルテミスは喜びを噛みしめる。

    「敵影、指定距離に到達!」

    司令部からの通信を聞き、学はライフルを構える。
    アルテミスが囁いた。

    『……嵐が来たわ。でも、それが過ぎれば、あとは希望があなたを照らす』
    「―うん」

    一条の光芒。
    先頭の影が音もなく崩れ落ち、押し寄せる使者たちに動揺が走る。
    相手の姿を視認することすら難しい、超・長距離。
    動揺する敵たちに、立て直す隙を与えず次々光の銃弾を当てていく。

    『風よ、嵐よ、しかし我が灯火は消せず』
    「一人も通さない」

    至高の銃撃が、嵐を切り裂いていく。

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  • 海颯の ウィーゴ

    海颯の ウィーゴ

    ペンギンの格闘家。強さをまっすぐ求め、常に強くあろうとする。
    装備した手甲の正拳突きは岩をも砕く。首に巻いている赤いマフラーは師匠から譲り受けたもの。自分より強い者にはすぐに強さを認め、何が自分に足りないのかを顧みる。
    たまたまセプトピアの学の自室に迷い込むが、学のただならぬ強さを感じて弟子入りを志願することになる。

    トランス!

     明日葉 学 & 海颯のウィーゴ

    明日葉 学 & 海颯のウィーゴ

    定理者は使者を自ら引き寄せることが多い。そんな逸話がある。

    ALCAナイエン支局―学自室、ある朝のこと

    目を覚まして学は違和感に気付いた。
    ――なにか自分のベッドの中にいる――

    今の学の部屋は個室だったし、昨夜床に就いた時は一人だった。
    時々、クロエが「マナマナ!一緒に寝よー!」とかなんとか言って自室に上がり込んで来る時もあるけれど、今日にかぎってはそんなこともなかった。
    寝ながら、自分のシーツの中で恐る恐る手で探ってみると、柔らかい感触に触れた。

    「何これ……!」
    驚いて手を引っ込める。
    異物の正体を確かめるべく、ベッドから飛び起きて、
    シーツをめくってみるとそこには大きなペンギンのぬいぐるみがあった。
    「ペンギン……!?」
    愛らしいぽっこりしたお腹に、よく見るとマフラーを巻いている。
    (きっと、クロエが驚かせようとして私のベッドに入れたんだ)
    くすりと微笑んで、学はそのぬいぐるみを撫でる。
    (かわいい)
    「すーすーすー」
    何故か、そのペンギンのぬいぐるみから寝息が漏れている。
    (もしかして……これ、生きてる!?)
    「すーすーすー」
    驚いた学は一気にベッドから後ずさり、机の角で足をぶつけた。
    ドカッと大きな音がして、そのペンギンが目を開けた。
    「痛っ」
    「ん……なんだここは……、お、おい!だれだお前は!?」
    そういってペンギンは飛び起きて拳を両手に構えた。
    「私の部屋、むしろあなたこそ…」
    学が答える間もなく、そのペンギンはジャンプし、学に掌底を放つ。
    ペチ。
    「どうでもいい、寝込みを襲うとはいい度胸だ!はっ、とうっ、」
    ペチ、ペチペチ
    とそのペンギンから学に痛くもかゆくもない連続攻撃が飛んでくる。
    「やるな、なかなかの耐久力だ。これでどうだ!」
    ペチン!
    「いたっ!」
    しっぺをお見舞いされたような微かな痛みが学を怒らせた。
    「止めて!」
    そう言って学はペンギンを手でつかみ、ベッドに放り投げた。
    「おいっ、おいっ、やめろ!わーーーーーー」
    そう言いながらペンギンはベッドに放り投げられ、コロコロとシーツの上を転がっていった。
    「参った参った!お前が強いのは俺が認める。俺の名前は海颯のウィーゴだ。」
    「学。私の名前。あなたは、使者……?」
    「なんだその『使者』というのは……?」

    暫くウィーゴの話を聞いてみると、モノリウムの氷河エリアのクレバスから落下して
    意識を失って気づいたら学のベッドで寝ていたこと。
    そしてここが異世界であることに驚いていること。
    さらに、本当の自分はモノリウムの氷河エリアでは随一の拳闘家であることを、本気にしない学に対して何度も語った。

    「わかった。」
    「本当だな?故郷の俺は強い。だが、奢りはない。この世界ではお前の方が強い。」
    「帰り方を教える。一緒に来て。」
    「ちょっと待て。この世界で強くなったら、故郷でもっと俺は強くなれる。そんな気がするんだ。」
    「そうかもね。」
    「学といったな、頼みがある。」
    「何?」
    「俺を鍛えてくれ。お前は、俺の勘だが、相当な修羅場をくぐってきているな。」

    当惑する学。人を鍛えるなんてことはしたことがなかったし、その相手がペンギンのぬいぐるみ、もといペンギンの使者だったからだ。
    暫く考えこんだ学の口から出た言葉は本人にとっても意外なものだった。
    「いいよ。」
    「本当か!?恩に着る。しばらくここに居候させてくれ。」
    「わかった。」

    後日玉姫はその時の話を微笑みながらクロエにこう話す。
    「『弟ができたみたいだった。』学、そう言ってた。」
    「マナマナと一緒にペンギンがついて回ってるのチョー可愛んだよねー!」
    「本当。でも、なんとなく学も楽しそう。」
    「そーそー!多分あの二人相性いいんじゃないかな!」
    学について回るウィーゴはとても愛らしく、ナイエン支局でも注目の的だった。
    一方のウィーゴ本人は至ってまじめだったし、学もウィーゴを抱っこして歩いたり真面目に話を聞いたり。ときどき単純に可愛がっているだけに見えるが二人の仲のよさそうなところはだれの目にも明らかだった。
    ウィーゴが合体や盟約の仕組みを知ったときには、「これで学に俺の強さを見せられる。」
    と嬉しそうに語っていた。

    一度、海に迷い込んだ凶暴なモノリウムの使者に対して、学はなんの躊躇いもなくウィーゴを選び合体して使者と対峙したことがあった。

    『学、突っ込みすぎだ。こいつは強いぞ。』
    「水中なら、本気出せばアルテミスの銃弾よりも早く動けるから。」
    『コントロールだけは気をつけろよ。』
    「わかってるって。」
    海中にも関わらず、一瞬で敵の巨大な体躯に入り込み、手甲からすさまじい数の打撃を打ち放ち、海上に使者が打ち上げられるまで数分とかからなかった。
    『流石だな。また、いつでも助けが必要だったら俺を呼べ。』
    「助けが必要じゃなくても呼ぶ。」
    『まったく、しょうがねえな。たまには一人で寝やがれ。』

    1人と1匹はまるで姉弟のようだった。

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