キャラクター&ストーリー

  •  剣 美親
  •  揺音 玉姫
  •  クロエ・マクスウェル
  •  五六八 葵
  •  揺音 聖那
  •  アシュリー・ブラッドベリ
  •  ジークハルト・クラウス
  •  当麻芽路子
  •  明日葉 学
  •  オルガ・ブレイクチャイルド
  •  七星 縁
  •  ヴェロニカ・アナンコ
  •  ジゼル・サンダース
  •  ニーナ・アレクサンドロヴナ
  •  リオネス・エリストラートヴァ
  •  京橋万博
  •  橘 弥生
  •  森ヶ谷 夕子
  •  小湊くらら
京橋万博
京橋万博きょうばし まひろ
性別 女性
年齢 -
身長/cm 143
体重/kg 45
血液型 B
生年月日 3月14日
好きなもの コーヒー
嫌いなもの 甘いもの

使者と機械いじりが大好き。
自分のやりたいことに向かって常に一直線で、さまざまな発明品を作っているが、しょっちゅう爆発しては弥生を怒らせている。

盟約者フォーリナー

  • ドレッド・デストラクト001

    ドレッド・デストラクト001

    セプトピアを自由に旅し、海で他の船に紛れて通りかかったところで、万博のフォーリナー探知機に反応してしまう。
    その際に万博の夢を聞かされ、同調した結果、彼女と盟約する。

    トランス!

     京橋 万博 & ドレッド・デストラクト001

    京橋 万博 & ドレッド・デストラクト001

    午前中の競技が終わると、体育祭は昼食休憩の時間になる。
    親元を離れ寮生活を送る少女たちにとっては、久しぶりに親と会い共に食事をする大切な時間だ。あちらこちらで彼女たちが可愛らしい歓声を上げているのが聞こえてくる。

    そしてその気持ちは、もちろん親の方も同じだろう。
    見事に逆三角形に鍛え上げた肉体をマントに包んだ男性も、きりっとしていればそれなり二枚目で通用するはずなのだが、見事に鼻の下が伸び、口元が緩み、にまにまと笑みがこぼれそうになっている。
    彼は、没収を免れた大量の食事―彼の妻が昨晩から仕込みをし、今朝方作り上げた弁当の数々―をザックから取り出しながら、可愛くてしかたない我が娘が来るのを待っていた。
    「ママ、ママ、リオンはまだかな? まだかな?」
    「落ち着いてあなた。先程エキジビションが終わったから、そろそろ来るはずだわ。ほら」
    すると、彼女の指差す方から、愛する娘が駆けてくるのが見えた。
    「おお、おお、リオーン!!!!」
    体全体で喜びを表現する父親と、その傍らで優しく微笑み手を振る母親。
    その姿を見つけたリオンは、一直線に二人の所に来ると―
    「パパ、ママ、来てくれてありがとー!!!」
    「おおおリオン、我が娘、我が天使、素晴らしかったぞ、あのリレーは最高だった、羽が! 天使の羽が見えたんだ!!」
    「リオン、がんばったわね」
    「うん!」
    「さ、さ、こっちに来なさい。朝からママが―」
    「あ!ありがとー!!!!
    ・・・でもごめんなさい。
    今日は夕子先輩が久しぶりにゲストで来てて、みんなにお弁当を作ってきてくれたから・・・」
    「ええー」
    がくりーと音が聞こえるぐらい落ち込む父親だったが、母親は笑顔のまま、
    「まあ、それは仕方ないわね、行ってらっしゃい」
    二人とも、自分の娘がいかにその「夕子先輩」に可愛がってもらい、彼女の事を慕っているかは、常々聞かされていたのだ。「ありがとう! でも、ママのお弁当も食べたいから、残しといてね! 後でみんなで食べる!」
    「そ、そうか! 任せろ! 保存はバッチリだからなー!」
    ぎゅいん、という感じで立ち直ると、父親はどこから現れたのか黒服のSPたちにすばやく指示。
    広げかけの弁当を密封しなおすと、最適な温度で保存できるようどこかへと運ばせた。

    そんな平和な家族の風景を見下ろす、特設スタンド。
    その中央あたりに、特に重要なゲストを招いた貴賓席がある。
    そこに、ALCAのVIPのひとりとしてヴェロニカが座っていた。
    耳にかけたロジグラフ―定理者専用の端末を操作し、進行中の作戦状況を確認する。
    「・・・何? 使者が1体と人形が5体、寝ている? 起きない? そもそも人形が寝るとはどういうことだ?」
    詳細はいまいち不明だが、オルガたちのチームが討ち漏らした何体かが入場門の外で発見されたとの報告。だが、全て何故か深く眠っていて寝息をかいているという。
    取り急ぎ捕縛の指示を出しておく。
    「やれやれ。どうやら大体掃除はできたようだ」
    視線を前に、学園の生徒達に合わせたままそう彼女が言うと、隣に座ったショートカットに眼鏡でパンツルックの女性が、
    『せやね、こっちの反応ともおうてはります』
    と笑みを浮かべながら返す。
    「貴重な情報感謝する、と言いたいところだが―
    ―全て貴様の計画通りか?、紫車リィス」
    『いややわあ。うち、そんな悪女とちゃいます』
    そう。
    今回襲撃してきた鉛鎚ラハン。その計画の全て、目的・時期・人数・装備、その一切は、リィスを通じてヴェロニカに筒抜けだったのだ。ヴェロニカはその情報が罠である可能性も考えつつ、最も打撃力・防御力のあるコマを学園外に配置。同時に自分もゲストとして学園内に行き、更に協力を申し出たリィスを同行させていた。
    『ま、ラハンの扱いにはうちも困ってましてなぁ。
    荒い商売するくせに、たまたま美味く行く事が多くて、ヘンに額も上がってましたんや』
    「始末に困る部下を、我々に掃除させた、と?」
    『でもうち優しいから、ちゃーんと伝えましたえ?
    セプトピアの定理者、あんま舐めたらあかんよ、って。
    ま、きこえへんかったかも、しらへんけど』
    「破壊した人形の残骸や、捕らえたそちらの使者は、こちらの好きにしていいのだな?」
    『お人形さんは、バラすなり調べるなり、好きにしたらええ。
    そっちの捕虜の扱いも知ってます。おんなじようにしてくれたら、それでええよ。
    ――で。約束は守ってもらえますんやろな?』
    「ふん。
    こちらは自作自演の劇に付き合わされた様なものだ。
    観劇料を払ってやる義理があるのか、あやしいな」
    『それは約束がちゃいますやろ!
    ええですか、うちらペンタクルスのロジックにとって、財貨の絡む約束は絶対ですえ。
    そう話しましたやろ!!!』
    「わかっている。
    すでにヤルノ氏を通じ、世界政府上層部の通商筋とは話をつけている。
    お前の言う「異世界間貿易構想」が承認されたときは、まずお前を窓口にしてやる」
    今回の事件で、もうペンタクルスとのゲートもALCAの監視下に入る。そこまで視野にいれたリィスは、当初の密貿易プランを修正。
    公の貿易の形を取りながら、秘密裏に計画を推進。そのペンタクルス側代表の座に座ることで、利益を得ようとしている。
    「で、お前からもらったこのリストには、先日うちのオルガが世話になった金錆ギゼとやらの名前がないな?」
    『ああ、ギゼは、どうもテトラヘヴンのおっかない堕天使はんに目ぇつけられたみたいやからね。怖い怖い言うて、もう国に帰りよったらしいですわあ』

    「みんな、ありがとう。よく食べてくれたわね!」
    夕子の広げたランチボックスを中心に、弥生、華凛、華恋、万博、リオン、それにニーナが輪になっていた。
    「うう~ 夕子先輩のお弁当、懐かしいっす~~!」
    「万博さん、何も泣かなくても」
    「いえいえ主様、これは感涙ものの味ですよ!」
    「前もおいしかったけど、もっとおいしくなってるよ主さま~!!」
    「美味しい。私もそう思う」
    「ニーナちゃんも?! 私もそう思った!」
    「あらあら~ 嬉しいわ~」
    そこへ、体育祭の運営委員の一人が駆け込んできた。放送の回線の一部が調子が悪いのか、マイクの声が一部届かないところがあるという。
    「それは困りましたわね。華凛、業者さんの連絡先を―」
    「あー、やっちゃん、あたしがちょっと見てくるっすよ」
    「助かるわ、でも手に負えなかったら素直に業者さんを呼ぶんですのよ」
    「大丈夫! この“何でも直す君5号重装改”にかかればマイクのひとつやふたつ!」
    「それをやめなさいと言っているのです!」

    幸いなことに、不調は単なるプラグ基部の接触不良だったので、ケーブルを取り替えるだけで問題は解決。“何でも直す君5号重装改”の出番すらなく、万博的には少し不満が残る。せっかくなので、より音質・音量をパワーアップしては、と改造プランを提案したが、担当の放送委員会の子から「そればかりはどうかご勘弁を」と拝まれてしまっては仕方ない。ここは素直に引いた万博である。

    午後の競技まではまだ少し時間がある。
    念の為、配されたスピーカーの様子を軽く見て回っていた万博は、ポールの台座に腰掛ける、一人の中年男性を見つけた。
    よれよれの背広姿で、上着を畳んで携え袖はまくりあげ。秋とはいえまだ少し暑いのか、ネクタイも緩めて上のボタンを外している。
    体育祭の応援にきた、誰か生徒の父親だろうか? にしては、あまりに服装が残念だ。そこらへんには全く頓着しない万博の両親だって、娘の晴れ舞台にはおろしたての白衣ぐらい来てくる。
    もちろん、ALCAの関係者とも思えない。彼らの制服とはまったく形が違う。
    『・・・おや、こちらの生徒さんですね、これは失礼。
    へばっているところを見つかってしまいましたね』
    「おじさんはいったい・・・!」
    そんな万博の不審な気持ちに応えたように、懐にいつも忍ばせている、例の機械―フォーリナーレーダーが微弱な反応を拾ってブザーを鳴らした。
    「そんな、おじさん、まさか、使者?」
    反応が弱いのでやや判然としないが、レーダーは確かに、適応した使者が放つ微かなこの世界と異なる波動を拾っている。しかもこのパターンは、既知のジスフィアやトリトミーといったどの世界とも異なる。
    万博の知らない! 未知の!! 異世界だ!!!
    『これは驚いた! 君のその機械は使者を見つけることができるのですね?
    素晴らしい。では改めて名乗りましょう。
    私はペンタクルスから来ました、金錆ギゼ。評価値は7300万GD。まあ、すぐに取り戻しますが―』
    「それがおじさんの世界の名前なんすね? どんな世界っすか? ロジックは? 住んでいる人々は? 生物は? 社会構造は? 地理地形は? 天候は? 惑星は? 暦の概念はあるっすか? 科学技術は? 通貨は?―」
    例によって例のごとく。
    ギゼと名乗った使者に掴みかからんばかりに近寄った万博は、その溢れ出る知識欲を洪水のようにぶつけたが。
    『まあまあお嬢さん落ち着いて』
    手で制し万博をすこしなだめると、肩をすくめながらこう答えた。
    『―その情報には、おいくら値を付けていただけますかね?』

    ジュースを買おうと偶然ポケットに入っていた小銭が数枚。
    残念ながらその額では、彼らの属する世界・ペンタクルスが財貨、つまりお金儲けが最も尊ばれるロジックとして世界が成立していることと、彼らの世界にも人や動物・植物がおり、彼らペンタクルス人は独自の「蒸気科学」なるものを発達させていることぐらいしか聞きだせなかった。
    『―まあ、お教えできるのはこのぐらいでしょうかね』
    「むう・・・ もうちょい教えてくれてもいいっすのに・・・」
    『私はそちらで言うところの商人ですから。お代を頂戴できませんと、これ以上は』
    しかし万博の目は興奮に輝いていた。
    まだ誰も知らない、未知の世界! その住人!!
    なぜそんな者がよりによってこのピラリ学園の敷地の片隅にいるのか。それは冷静に考えるとなかなかの緊急事態のはずだが・・・まあそんな細かいことは彼女のアタマからは吹き飛んでいる。
    だから。
    『万博! 提言する。
    未確認の使者との接触は、本学園の重要性・特殊性を鑑み、このまま看過できることではない。即時、報告し警戒態勢を整えるべきと判断する。本艦も直ちに第一級戦闘配置に就く!』
    と、携えたフォーリナーカードから声がする。
    『おや、その声は?』
    「あたしの盟約者、ドレッドっす!」
    『ま、万博! アンノウンにこちらの情報を与えるのは早計―!』
    『ご安心ください、こちらには、そちらに危害を加える気はありませんよ』
    「って言ってるっすよ」
    『し、しかし・・・』
    「もちろん! おじさんがなんかしようとして来たら・・・すぐに合体してとっちめるっす」
    『ほほう・・・お嬢さんは研究者であるだけでなく、定理者でもありましたか。ますます興味深い。この出会いは千金の価値がありそうだ。ドレッド様と申しましたかな、どうかご安心を。この機会を暴力で潰してしまうのはどう考えても損。
    我が評価額の4分の3を賭けて誓いましょう』
    「それがおじさん達の誓い、なんすね? わかったっす!
    あたしも信じるっすよ。ドレッドも、それでいいっすね?」
    『仕方ない。だがフォーリナーカードは手に持っていてくれ。いつでもすぐに合体できるように』

    今度はギゼが、万博にいろいろ質問を重ねていった。
    セプトピアに住む万博自身のこと。
    日常のあれこれ、生活の一コマ、学んでいること、友人たち。
    何でもないことの様なそれらを、ギゼは興味深くうなずきながら聞いていた。
    話がドレッドと会い盟約した時の話に及んだときは、彼も声を上げて笑った。

    『いやいや、大変、たいへん興味深い。
    こういった話は文献で調べてもリアリティに欠けますからな。
    直接ヒアリングするに限りますな』
    「じゃあ、あたしの話にはいくらくれるっすか?」
    『残念、対価については事前にお話しいただけませんとなんとも』
    「そりゃずるいっすー!」

    だが妙に話が弾んだのも事実。
    異世界ペンタクルスの使者と、こうして会話し交流を持っているのは、ひょっとするとこのセプトピアで万博が最初かもしれないのだ!
    そう考えると、持ち前の研究心が燃えるのも仕方ないというもの。
    代価を盾に、なかなか自分の事は話そうとしないギゼを、それでも質問攻めにしながら。
    それでも万博は、このやり取りを楽しんでいた。

    『・・・どうです万博さん。いっそ、私と来ませんか。―ペンタクルスに』
    「へ?」
    『なんだと?』
    『この後、私の上司が打ち合わせから戻りましたら、我々は共に一度ペンタクルスに戻ります。その時、いっしょに来ませんか。我が世界に』
    「・・・ほ、本当に?」
    『はい」
    突然の申し出。
    万博の大きな目が、さらに大きく開いた。
    『落ち着け万博! セプトピア人の君が異世界に行けば、異なるロジックに晒されたその身体がどうなるかはわからない。いや、無事では済まない!』
    「そうっすね、それが今までの定説っす。
    だから、ヨタ話の類いを除けば、学術的に検証できる状態で異世界に行き戻ってきたという報告はないっすー そう」

    「『これまでは』」

    万博とギゼの声が、何故かピタリと重なった。
    『ドレッド様、ご理解いただけるのでは?
    私も少なからぬ決意と覚悟をもって、私にとって未知の異世界、このセプトピアまで参りました。私のロジックはあくまで財貨ですが、「価値ある何かを求める」と言えばわかりますか? 未知に挑み、それを求める。
    つまり私は、そして万博さん、ドレッド様も、等しく我々は、冒険者、なのです』
    『ぐっ―』
    熱に浮かされたように、アタマの中がぼおっとする。
    握りしめたカードの感触が痛い。
    視線を上げれば、あくまで青く澄んだ空が広がり、名も知らぬ鳥が翼を広げて飛び去るのが見える。

    「午後の競技が始まります! ビリヤード大玉ころがし参加の選手は直ちにテントに集合してください!」

    少し割れた放送が、万博の心を引き戻した。
    「――」
    『心は決まりましたか?』
    「―決まったっすよ」
    『万博、冷静になるのだ!!』
    「安心するっす。ドレッド、あたしは行かない。行けないっす」
    『おお、安心したぞ』
    『・・・それは残念です・・・
    よろしければ、この千載一遇の機会を逃す理由を、教えていただけませんか』
    「あたし、おじさんの言う通り、行きたい。
    ペンタクルスにも。トリトミーにも。他の異世界にも。
    ・・・
    でもそれは、自分の力で。
    ―そう、あたしの、自分の力で!行きたいっす!!」
    『!』
    「連れて行ってもらうんじゃなく。
    あたしの、自分の、自分の力で、いつか必ず、行くっす!」
    『なるほど』
    「その時はドレッド、ドレッドの力も、それからもちろんセレンの力も借りるっすよ」
    『おう、本艦も全機能を挙げて万博を守ろう!』
    そのやり取りを、目を細めて聞いていた金錆ギゼは、軽く拍手をすると、
    『いやはや、感服しました。素晴らしい覚悟を聞かせていただきました。
    これには私、なにかお支払いしなければ釣り合いが取れませんな』
    「え? なにかくれるっすか?」
    『はい、これを是非、お持ちください』
    そう言って懐からカードケースを出すと、まるで名刺の様に、1枚のカードを差し出した。それは万博のよく知るものに酷似している。
    「これ、フォーリナーカードっすか?」
    『そのデッドコピー品です。ふふ、よくできているとは思うのですが、何しろ今回は定理者さんのご協力は得られませんでしたのでね、こちらは動作保証がありません。合体とやらは試さないほうが無難でしょう』
    改めて背筋を伸ばしたギゼは、まだ手の中でフォーリナーカード?を調べている万博をまっすぐ見ながら言葉を足す。
    『しかし、連絡をつけることは、できます』
    「―ってことは!」
    『はい、もしまだ我が世界ペンタクルスにご興味がありましたら、ぜひお声をおかけください。
    その時は、私の上司も紹介させてください。あなたとは気が合いそうです。
    それこそ盟約も、試してみると面白いかもしれません』
    このコピーカードは、まさしく彼に連絡をつける手段、つまり本当に「名刺」なのだった。
    『京橋万博さん、あなたとは良い商売ができそうだ。
    今後とも、どうぞご贔屓に』
    その言葉を言い放つと、周囲に白い蒸気が吹き出す。
    ギゼの足元に、光の歯車が現れ噛み合い回り出し―白いモヤの向こうに一瞬、歯車とピストンが突き出した、黄銅色の人影が見え―晴れたときには、その姿はどこにも無かった。

    『で、どうするのだそのカード』
    知らない人がみれば、どう見ても本物のフォーリナーカードにしか見えないコピーカードを光にかざしながら、ひとときの出会いを思い返す。
    「それはもちろん―」

    「2年Sクラスの、京橋万博さん!まーひーろーさーーーーーんん!
    どこにいらっしゃいますの! 早く集合場所に来てくださいませ!!!!」

    万博を名指しで呼び出す割れ気味の放送に、あ、いけねと苦笑しながら走り出す。

    「まずは分解してみるっすかねー!?」
    『そ、それは本艦としては承知しかねる、ま、万博!
    そのカードの価値を考えればまず報告と連絡と相談が、万博―!!』

    少女にとって、未来は全て未知の世界、冒険の大宇宙。
    明日はわからない。だから面白い。
     
    「さあドレッド、出港っすよー!」
    『どこへだー!』

     京橋万博の、冒険は続く!!!

    定理者のカード 使者のカード 合理体のカード

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  • セレン・リサーチャー013

    セレン・リサーチャー013

    ゲートカードの開発調査を専門とするアンドロイド。
    セプトピアへの調査に来ていたところ、万博のフォーリナーレーダーが反応したため、二人は出会った。異世界について根掘り葉掘り聞いて
    くる万博に興味を覚え、いつか定理者になったときに自分が手伝
    うことを約束させられるのだった。そして万博に定理者としての
    才能があるとわかり、彼女と盟約を交わすこととなる。

    トランス!

     京橋 万博 & セレン・リサーチャー013

    万博 & セレン

    ピラリ学園は、定理者になる素質をもった少女たちを集め、
    定理者としての教育を施す教育機関である。
    少女たちの中で、運よく波長の合う使者と巡り合い盟約することができた者はSクラスに移り、
    戦闘訓練を含め、合体に関するより実践的な知識を学ぶことになる。

    春、入学式を目前に控えたある日。
    入学前の説明のため、そしてある特別な儀式のため集められた定理者の卵たる彼女たちは、
    期待と不安に胸をときめかせ、口々に
    「テトラヘヴンの素敵な神様に出会えないかしら」
    「モノリウムの野性的な使者様と合体してみたい」
    「ジスフィアの陰陽師サマとか、神秘的でよくない?」
    などなど、にぎやかに話をしているが―そんな空気もどこ吹く風とばかり。

    手元に何やら怪しげな機械をいじっては、
    あーでもないこーでもないとブツブツつぶやく少女がいた。正直、ちょっと異様でもある。
    そんな彼女に、また別の少女が声をかけた。

    「万博さん、あなたは相変わらずマイペースですわね」
    声をかけたのは橘弥生。あの立花財閥の娘で、学内でも既に有名人だ。
    一方、声を掛けられた方の少女は
    「あ、やっちゃん。やっちゃんは緊張してるんすか?」
    「別にわたくしは緊張していませんわ。わたくしは既に、盟約者がいますもの。
    でも他の皆は違います。
    盟約者に出会えるかどうかで、今後の人生が変わるかもしれないのです。
    みな不安なのですわ―
    って、小さいころの呼び名で呼ばないでください!」
    「そうっすか? でもまあ、盟約者に会えるかどうか、こればっかりは運だ、
    ってうちの両親も言ってたっす」
    万博の両親は、ALCAの研究者だ。
    定理者でこそないが、門の仕組みやさまざまな異世界との交流、
    逆理領域の成り立ちなどを研究しており、その知識を万博もいろいろ聞いていた。

    「―ま、あたしはちょっと、予約済みなんすけどね」
    「・・・予約? なんですかそれは?」
    それに答える間もなく。
    「次、京橋万博。こちらに来なさい」
    Sクラスの担任となる目つきの鋭い女性―神楽が万博を呼びに来た。
    「はーい!、待ってたっすよ!」

    「春から入学するのはみな、定理者の才能を持つ者たちだ。
    中でも既に盟約者を持つ者は、すぐに私のSクラスで学んでもらう。
    そこで今日、盟約できるか確認するが、万博。君はどの世界の使者を探してみたい?」
    「トリトミーでお願いするっす」
    「ほう、珍しいな。まあ、らしいといえばらしいか」
    トリトミーは、科学技術が超高度に発達した世界。
    そこから来る使者たちは皆、機械でできたロボットやアンドロイド、自律兵器たちだ。
    それだけに、定理者の卵たちの間では「そもそも会話が成り立つのか?」
    「合体したら体が機械になっちゃったりするのではないか?」
    などなど、知りもせずに敬遠する者が多かったのだ。
    「実は、もう相手も見つけてあるっすよ」
    「なんだと?」
    さすがに驚く神楽をよそに、万博はブランクのフォーリナーカードを高く掲げた。

    「ゲートアクセス、トリトミー!」
    声に応じカードが輝くと、宙空に多次元超電子回路の魔法陣が組みあがり、
    異世界・トリトミーへの門が開いた。
    「さあ、約束の時っすよ、セレン!」
    門がいっそうまぶしく輝く。それが収まった時には、盟約室の中はどちらが上とも下ともつかない
    暗く蒼い闇と、煌き走る光の回路に包まれた、サイバースペースになっていた。
    『―全く、マヒロさんは強引ですね』
    落ち着いた声が響く。
    ブロックノイズが固まって、中から現れたのは、
    漆黒のボディを持つ少女型のアンドロイドだ。
    「久しぶりっすね、セレン。1年ぶりっすか?」
    『正確には357日と22時間18分40秒ぶりです』

    そのころ万博は、両親と共にピラリ町に住んでいた。
    オビヒロにあるALCAの研究施設に出勤する両親の後ろに度々ついていっては、
    施設のあちこちに顔を出し、研究員たちにあれやこれや興味の赴くまま質問をして回るのが日課だった。
    そんなある日。
    手に何やら自作の機械を手にした万博は、施設の裏手からどんどん山の方へと分け入っていた。
    「ん~~~~ 確かに反応したっすが・・・・ 方向はこっちでいいはず・・・」
    視線は機械のメーターに落としたまま。何かを探るように、
    機械から突き出したアンテナを左右に振りながら歩いていく。
    と、突然手元からひときわ甲高い音が鳴った。
    「! こっちっすか!?」
    その方向に向け、ぐいとアンテナを差し出す―
    『あ、痛い、です』
    「!!!」
    そこで初めて視線を上げると、
    確かにアンテナの先が見知らぬ少女のお腹をぷにゅっとつついている。
    流石の万博もこれには焦り、
    「ご、ごめんなさいっす!」
    謝ると同時に後ろへ飛び下がる。
    見てみれば、自分と同じぐらいの年恰好、黒髪を後ろで二つに束ねた女の子だ。
    全身黒づくめ、なのは何かそういうファッションなのだろうか。

    「ここらでは見ない顔っすね、観光客さん?それともALCAの職員のご家族っすか?」
    この道はただ山の中に続いていくだけだ。
    何か観光客を呼べそうな施設でもあっただろうか。
    『いえ、その様な所属ではなく―』
    (ピピピピピー!)
    遮るように、機械がさらに音を高める。おかしい。
    確かにすぐ近く、そう、言うなれば目の前ぐらいにパラドクスレベルの主、
    すなわち異世界からの客、『使者』がいるはずなのだ。
    右に向けて(ピピー!)。左に向けて(ピピー!)。
    正面に向けて(ピッピピピピピー!!)。
    『―その装置はなんでしょう?』
    「これすか? あたしが作った、フォーリナーレーダーっす。
    適応した使者でも、その体からはパラドクスレベルが検出できるっす。
    それを感知し強度と方角を示すのがこのメーターで―」
    『なるほど、貴女はこの世界の、使者に関する技術者なのですね』
    「―へ?」
    『―はい?』
    思わずメーターから顔を上げる万博。黒髪の少女と目が合った。
    何か、聞き逃してはならない事を口にしていなかったか?
    その時。手の中のレーダーがいよいよ音を強くすると同時に、じんわりと温かく、いや熱くなって、あちこちから煙を出し始めた。焦げ臭い匂いが漂う。
    「あ、やべ」
    『やべ、とは?』
    それに答える間もなく、フォーリナーレーダーはいつもの様に、爆発した。

    『―はい、私はセレン・リサーチャー013。トリトミーから派遣されました、門の調査分析チームの一人です』
    「本当に?本当すか?本当っすね?やったー!やっぱあたしの理論は間違ってなかったっすー!
    で? で? セレンはどんな能力を持っているんすか? 合体とかできるすか? 調査分析って言ってたっすね、ってことはアンドロイド?機械?体は?今どーなってるんすか?その服は?身に着けているものは?何かアイテムとか持ってるすか?トリトミーはどんな世界すか?物理法則は?地象地形は?天体運航は?生態系は?文化文明は?統治機構は?そもそもどんな使者が」
    『―マヒロさん! 答える暇がありません!』
    洪水の様に流れ出す、万博の質問の嵐。そのひとつひとつに、答えられる範囲でセレンは答えていく。が、一つの回答に二つ、いや三つ、いや五つの疑問が湧くのか、
    万博の疑問と質問は尽きる事が無い。

    『・・・というわけで、こちらの世界に来たのは良いのですが。適応体になると私の分析機器や調査システムは一切使えないようで、正直困っています』
    「なるほどー。使者もタイヘンっすね。あ、でもだから定理者と合体するんすねー」
    『そうなのですか?』
    「異世界から来た使者がそのまま力を発揮できるなら、合体とかしなくてもいいはずっす。
    以前、悪い使者は、戦ったり暴れたり、好きな事するために人間を襲ってはトランスジャックしてたんすね」
    『今は違うのですか?』
    「うちの両親が言うには、トリトミーの技術のおかげで、
    門が偶然開いたりするのをかなり防いでコントロールできるようになったらしいっす。
    だから、悪い奴はそんなにこれなくなったみたいっすよ」
    『なるほど。でも困りました。では私は、どうやって調査を続けたら良いのでしょう』
    「それなら、良いアイデアがあるっすよ」
    そう言って万博は、にかっと笑った。
    それが、今から1年前のことだ。

    盟約室の外から、神楽の声がする。
    「なるほど、お前、既にその使者と出会っていたのか」
    「ふっふっふー このフォーリナーレーダーの輝ける実績、ってやつっすねー!」
    『マヒロさん、まだその危険なレーダーを使っているのですか』
    「もちろん! だーいじょうぶ大丈夫、あの時から常に改良改造をしてるっすからね、
    探知範囲も探知精度も各段にアーップ!
    ・・・ちょっと爆発の頻度もアップしたっすけど・・・ま、しょうがないっすね。
    科学の進歩に爆発は付き物っす」
    『マヒロさん!』
    トリトミーのアンドロイドの中には、人間の様に豊かな表情を見せる者もいる。
    だがセレンはそうではなく、装甲に覆われた頭部が変化することはない。
    が、明滅するアイランプと声の調子が、万博のことを本当に案じているとうかがわせた。
    「さあセレン、約束っすよ!
    あたしはこうして、ちゃーんと定理者になったっす。
    だからだから、あたしと盟約して、まずは合体してもらうっす。
    合体すれば、セレンは自分の調査分析機能をこのセプトピアでも使うことができるはずっす。
    そして思う存分、調査すればいいっす。
    フフフフ、もちろん、あたしもその機能をちょーっと貸してもらってぇ、
    いろいろとぉ、フフ、いろいろーと調べてみたいことが、あるっすよ!!!」
    なぜだろう。
    表情はないのに、トリトミーのアンドロイドには感情はないはずなのに、
    神楽にはその使者が「迷惑だなぁ・・・」と「仕方ないなぁ・・・」で揺れ動いている様に、見えた。
    『了解です。約束ですから。
    フォーリナーカードで呼び出される事は、私の、門を調査しデータを収集するという任務にも好適と言えます。
    ―それに、マヒロさんは放っておくと・・・危険なのではと、判断します。いろいろと』
    「よっしゃーあ!
    じゃ、やるっすよ、セレン!
    あ、あたしのことは、もう呼び捨てでいいっすよ。盟約者なんだから」
    『わかりました、マヒロさん、いえ、マヒロ』
    「あたし京橋万博は、セレン・リサーチャー013にこのロジックを捧げることを誓いますっす!」
    『本機セレン・リサーチャー013は、マヒロ・キョウバシにこのロジックを委託することを承認します』
    「『合体!!』」

    かくして。
    京橋万博は盟約者を得、Sクラスに入学。
    盟約者を持つ定理者としての訓練を始めることになった。
    の、だ、が・・・

    爆音が鳴り響く。
    『マヒロ、たまには自衛機雷ではなく、探査子機も設置してみませんか』
    「おっかしーすねー。
    プローブ出してるつもりなんすが、なーんで機雷になっちゃうんすかねー?」
    今のところ、あまり調査は進んでいない。

    定理者のカード 使者のカード 合理体のカード

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