キャラクター&ストーリー

  •  剣 美親
  •  揺音 玉姫
  •  クロエ・マクスウェル
  •  五六八 葵
  •  揺音 聖那
  •  アシュリー・ブラッドベリ
  •  ジークハルト・クラウス
  •  当麻芽路子
  •  明日葉 学
  •  オルガ・ブレイクチャイルド
  •  七星 縁
  •  ヴェロニカ・アナンコ
  •  ジゼル・サンダース
  •  ニーナ・アレクサンドロヴナ
  •  リオネス・エリストラートヴァ
  •  京橋万博
  •  橘 弥生
  •  森ヶ谷 夕子
  •  小湊くらら
リオネス・エリストラートヴァ
リオネス・エリストラートヴァりおねす えりすとらーとうぁ
性別 女性
年齢 -
身長/cm 150
体重/kg 43
血液型 O型
生年月日 8月11日
好きなもの ヨージキ
嫌いなもの 酸っぱいもの

天真爛漫で常に笑顔を忘れない、元気いっぱいな女の子。
ある国のお姫様で、幼いころから定理者としての高い才能を見せており、ALCAが運営する特別な教育機関ピラリ学園に入学することになる。

盟約者フォーリナー

  • 花唇のローザ

    花唇のローザ

    異世界にある薔薇の国の姫。姫故に孤独であったが、人間の住む
    世界を訪れた際、リオンと偶然に出会ったことにより、盟約を結
    ぶ。
    同じような境遇のリオンを妹のように思い、触れ合ううちにその
    孤独は解消されていった。

    トランス!

     リオネス・エリストラートヴァ & 花唇のローザ

    リオネス・エリストラートヴァ & 花唇のローザ

    異世界モノリウムは、「力」のロジックに支配された驚異の大自然世界である。
    この世界では、意志と知恵を持った様々な生命由来の獣人たちが闊歩し、何か事あれば「力」そしてその表明たる「闘争」で解決する。
    それは、遥か北方の大森林に住む草花樹木由来の獣人たちも変わらない。
    北方花樹人の国に咲く大輪の薔薇姫と称えられしは花唇のローザが、その玉座に可憐かつ豪奢な身をたたえながら
    『ほぅ』
    と物憂げなため息をついた時ですらも。
    『―姫、いかがされましたか』
    『我ら臣下一同、ご下命あればいかにても果たす所存』
    『皆、蔓を張り棘を磨き、討って出る準備はできております!』
    腕自慢知恵自慢の家臣たちが膝を折りローザの言葉を待つ。
    が。彼女の親しい友人として宮殿にも出入り自由を許された、とある藤の花の姫は広間の隅に立ちながら、半目でローザの方をみやる。
    『・・・ま、だいたいわかってるけど』
    視線の先、大輪の薔薇姫は、その名の通り薔薇色の唇を物憂げに開いた。
    『―妾の―』
    家臣たちが息することも忘れ、一言も聞き逃すまいと静まる中。ローザは言った。
    『―妾の盟約者が、最近妾を呼んでくれぬのじゃ・・・・』
    一同が膝から崩れたりせず、堅く姿勢を保ち続けた鋼の精神力は、まさしく力のモノリウムの獣人として称えられてよいと思われた。
    『なあなあなあ、誰か聞いてくれぬか!
     しかも、しかもな? 最近リオンがまた考え込んでいるようなのじゃ・・・
     妾は、妾はどうしたら良いのだ!』
    居並ぶ臣下たちが、くるりその首を巡らせる。
    視線が集中した先は、今にも広間から逃げ出さんとしていた藤の花の姫を縫い留めた。
    『・・・ええ~ わたくし?』

    ホッカイドウはオビヒロの、更にその奥に設立されたピラリ学園。
    元々は悪意ある異世界の使者からこの世界を守るため、定理者の素質を持つ子女を集め育成する、特別な教育機関だった。
    今もその建前は変わっていないが、使者襲来事件が激減し世の中が平和になった現在、教職員たちもその在り方を考えている真っ最中ではある。
    ただはっきりしているのは、異世界の使者と合体し超常の力を奮うことができる彼女たちの力は、戦う事以外にも使う道がある、という事だ。
    いざという時その力を正しく使う事ができるよう、今日もピラリ学園の少女たちは己を磨き切磋琢磨している。

    「―っ ぜーっ はーっ も、ダメっす~~~」
    ばたりと倒れ込んだのは、2年Sクラスの京橋万博。
    頭には、真っ赤な鉢巻が巻かれているが、それもだらしなく解けていく。
    「つ、疲れたっす~~~」
    おりしも現在、ピラリ学園は生徒会の発案で始まった「体育祭」に向け、校内一丸と盛り上がり始めているところだ。
    この企画には、生徒たちに普通の子供らしい学生生活を与えたいと考えている教職員たちも賛成で、そのためここひと月の体育の授業は全て体育祭の練習となっている。
    Sクラス特有の、合体しての訓練も最近は特殊な能力よりも基本的な身体能力の発揮・向上に着眼点が置かれている。例えばリオンでは、モノリウムの使者・綿毛のワッフルと合体しては縦横無尽の運動能力を見せつけていた。
    さて何本もスタートダッシュをさせられ、日ごろの不摂生がモロに出た形の万博がなんとか身を起こすと、そこには既にノルマを終えたリオンが、ぽつんと座っている。巻いている鉢巻は赤。万博と同じ、紅組である。
    「リオン、どうしたっすか?」
    「あ、万博ちゃん・・・」
    リオンは万博よりもずっとタフだ。この程度の運動なら楽にこなしてしまう。合体しなくても単純な体力勝負なら、Sクラスでもトップなのではないか。
    そんな彼女が、何やら物憂げにため息をついている。
    傍にいる青い毛並みの小さな獣―異世界の使者らしいベルもお揃いの鉢巻をしながら、
    『キュウ~・・・』
    と心配そうに鳴いている。
    「・・・ニーナちゃんがね・・・」
    言われて視線の先を追えば、そちらには同じSクラスのニーナがスタートダッシュを素早く繰り返すのが見える。
    元ALCAの現役定理者として戦いにも赴いていただけあって、彼女の運動能力もクラスでトップクラスだ。
    「ニーナがどうかしたっすか?」
    「体育祭の準備が始まってから、ちょっと元気が無いんだー」
    「・・・そうっすか? そうは見えないっすけど・・・」
    切れ味良く体を翻すニーナ。そのたび、白い鉢巻がくるりと踊る。
    今回、各学年のSクラスはくじ引きで紅組と白組に分けられることになっていた。
    こういう催しではクラス単位で組み分けをすることが多いが、ピラリ学園の場合、盟約者を持ち合体ができるSクラスの面々はとりあえず「目立つ」。
    特に、身体を動かすことでは自然良い成績を取ることも多く、これをどちらかの組に入れてしまうと、入らない組の方から不公平だ!と声が上がるのは明らかだった。
    なので、生徒会の発案でSクラスの生徒は同じ人数ずつ紅組と白組に分けられる。
    2年Sクラスではリオン、万博、華凛たちが紅組。ニーナや弥生、華恋たちは白組だ。
    「・・・ううん、元気ない。ちょっとだけだけど」
    ニーナはあまり感情を表情に乗せる方ではない。
    少なくとも万博にはリオンの言う「ちょっと」の違いはわからなかったが、
    「なるほど、そうっすかー」
    「うん」
    ことニーナのことで、リオンの感覚が間違うことはないだろう、と思う。
    「聞いてもね、何でもない、って言うんだ」
    「それは困ったっすねぇ」
    万博にとってもニーナは大切なクラスの仲間だし、それにルームメイトでもあるリオンがこうして落ち込んでいるのは、部屋の空気的にちょっと困る。
    「じゃあ、ちょっと考えてみるっす」
    え? とリオンが顔を上げた時には、既に万博は弥生の方へ走っていくところだった。
    「やーっちゃーん ちょっと聞いて欲しいっすー!」
    「だからやっちゃんは止めなさい! で、何ですの?」
    ごにょごにょごにょ
    「なるほど、それは困りましたわね。ではこういうアイデアは―」
    ごにょごにょごにょ
    遠目で見ながら、リオンは少し胸が軽くなり、丸まっていた背が少し伸びた。
    そう、万博ちゃんも弥生ちゃんも、すごいんだ。
    二人とも、リオンの自慢の友達である。

    さてそれからしばし後。また体育の授業にて。
    「今日の体育の授業は、騎馬戦の練習をしますわ!」
    神楽先生の代理とばかりに、声を張る弥生。
    「じゃあ班分けをしますねー 基本、背の順ですから」
    「あう~ わっちも主さまの馬やりたいのに~」
    「華恋ちゃんは大きいから仕方ないでしょう!」
    藤崎先生の指示に従い、まず紅組と白組に分かれ、次いで騎馬を組む班に分ける。
    誰が馬になり、誰が馬に乗るかは班の中で決めていいことになった。
    「リオン、今日はリオンが乗るっす」
    「でも、万博ちゃんの方が小さいのに」
    そう言うリオンに、万博はグラウンドの反対側を指さした。
    丁度、弥生とニーナのいる班がニーナを上に乗せようと騎馬を組んでいるところが見えた。
    「思い切りぶつかってみるっすよ」
    「―うん、わかった!」
    恐らく今日の体育が騎馬戦の練習になったのも、万博と弥生の「おせっかい」の結果なのだろう。ここは「ありがとう」の気持ちで受け取っておく。
    さて今日は初めて騎馬を組む生徒も多い。まずは騎馬として動けるか、が最初の関門だ。だが流石にSクラスのメンバーたち。すぐにある程度慣れて動ける様になる。困ったところと言えば、後ろ脚の一本になった華恋が派手に動きすぎるのでその馬がまっすぐに走れない!というぐらいだった。
    「じゃあ、模擬戦、してみましょうか」
    弥生の掛け声で、早速お互いの鉢巻に手を伸ばす模擬戦が始まる。
    当日の競技では、他の学年や他のクラスも混ぜて行う予定なので、もっと多くの騎馬が入り乱れる乱戦になるだろう。しかし今日は数が少ないから、直ぐにぶつかっては崩れ― まるで予め決まっていたかのように、ニーナを乗せた弥生たちの馬とリオンを乗せた万博たちの馬の一騎討ちになる。
    「万博ちゃん、まっすぐ前に!」
    「りょうかーい!いくっすよー!!」
    と前のめりの勢いのまま突っ込んでくれば、
    「橘さん、右にかわして!」
    「わかりましたわ!」
    と応じる。
    上手くかわすも、リオンは全身と腕をぐいと伸ばして攻めてくる。こういう時のリオンのバランス感覚、身体を動かすセンスというのは侮れない。
    しかし、それにしても。
    「ニーナさん、こちらからも攻めないと!」
    「え、ええ。わかって、る」
    と言いつつ、返すニーナの勢いは弱い。彼女だって格闘のセンスはずば抜けているし、下の騎馬も前脚を預かる弥生の下、しっかり支えられているはずなのに。
    「ニーナちゃん、どうしたの!!」
    リオンも叫ぶ。
    「こんなの、ニーナちゃんらしくないよ!」
    「・・・・」
    いつの間にか、既に崩れた騎馬のクラスメートも遠巻きに見守り、それぞれの組の馬もバランスを取るのに専念し。
    ひたすらに手を伸ばすリオンと、それをなんとか弾いてやり過ごそうとするニーナ、二人の荒い息遣いだけがグラウンドに響いていた。
    「ニーナちゃん!!!!」
    ニーナがリオンに伸ばした手は、それこそ皆がわかるぐらい、気の入っていない緩いものだった。それをぱしっ と、掴むリオン。
    「・・・・だって・・・・」
    「・・・・だって?」
    馬上のニーナは、手を掴まれたまま、リオンに顔を背けながら、ぼつりと漏らす。
    「私たち、敵、になっちゃったのに。・・・リオンは平気、なの?」
    「・・・・え?」
    「私は白組で、リオンは紅組なのに! 平気なの!?」
    ニーナの叫びに、思わず弥生も万博も、Sクラスの皆が頭が真っ白になった瞬間。
    「ニーナちゃーーーーん!」
    掴んだ腕を引き戻す勢いで、リオンが馬から飛び、ニーナに抱き着いていった。
    「ちょっ リオンさん!」
    「う、うわああああああ」
    もちろん双方の馬が無事で済むわけはなく、突然衝撃をくらった弥生の馬も、反動をくらった万博の馬ももちろん崩れてしまい勝敗的にはドローとなったが、まあ、そんなこと誰も気にしてなかった。
    「大丈夫だよニーナちゃん! 私も、万博ちゃんも、紅組のみんなも、みんなみんな友達だよ!ライバルだけどね!」
    崩れた馬の上で。
    リオンに抱き着かれながら、ふと見た青空はとにかく澄んで、青く、高く、深かった。
    「―ええ、そうね」
    ニーナにとって、同じ年頃の少女たちとクラスでいっしょの仲間として学び暮らしていく経験は、まだ1年と半年に満たない。
    更に、様々な経験を経て、学園に残ると決めたのはまだ今年の春の事だ。
    だから―
    「・・・ふふっ 私、バカみたい?」
    視線を落とすと、今度はクラスの皆が自分たちを見ていて、なんとも言えぬ緩んだ笑顔だったので― 自然と顔が赤くなっていく。
    「・・・ニーナさん、リオンさん、早く、早く降りてくれませんこと・・・?」
    「もう、中身出るっす・・・ぎゅう」

    この一件があってからというもの。
    ニーナは元々の運動能力をいかんなく発揮、いやそれ以上に成績を伸ばすので、紅組首脳陣としてはどう彼女を押さえるか、あるいは彼女の出場種目を読んでどう捨てるか、みたいな作戦を練り始めたとか。
    リオンはといえば、こちらも思い煩う事がなくなり、今日も明るい笑顔を周囲に振りまいて皆を自然と前に引っ張っている。
    「ニーナちゃん、私、先輩たちの勧めで、応援団に入ることになったんだ!
     見て! かっこいい?」
    ちょっと丈の長い学ランを羽織った姿は、カッコいいというより可愛いとか愛らしいとか言うべき姿だったが、みんなを鼓舞し力づける応援団という役割はリオンに相応しいと思えた。
    「うん、いいんじゃない。似合ってる」
    「へへー。あくまで紅組の応援団だけど、ニーナちゃんの出る種目は、ニーナちゃんを応援するね!」
    「それはダメっす! 利敵行為でタイホっす!」
    「うわ、逃っげろ~~!」
    「待つっす~~!」

    『というわけで、妾の盟約者も、無事笑顔を取り戻したのじゃ。
     めでたしめでたし、じゃなあ』
    まさしく大輪に咲くごとく、ローザの笑顔は煌びやかに周囲を照らす。
    それを受け、
    『おお、流石は姫の盟約者たるお方』
    『同じく姫の身ながら、自ら騎馬を率いてぶつかられるとは!』
    『うむ、セプトピアの者でありながら、我らがモノリウムのロジックを体現しておられる』
    口々にローザの盟約者を称える臣下たち。
    一方少し離れた場所で。
    一連のローザのボヤキというか愚痴というかを聞かされた挙句、勝手に自己解決した結末まで聞かされてきた藤の花の姫は、もちろん塩でも舐めたような表情を浮かべていたが―
    『・・・で、いつになったらわたくしと合理体同士で戦っていただけるのです?』
    その呟きは、残念ながらローザの耳には届かないようだった。
    『今宵は宴としよう! さあ、歌じゃ!踊りじゃ!』
    『おお、これは久方ぶりに、姫の御歌が聞けますな』
    『素晴らしい、酔いしれるとしましょうぞ!』
    『ティア様もぜひ、ご一緒に楽しまれていかれるとよかろう』
    やってられるかとそっぽを向いていた藤姫ティアだったが―
    『とんでもありませんわ。
    歌は聴かされるものではありません。
    ――聴かせるものです!!』
    『よかろう! ならば妾から、まいくを奪ってみよ!』
    『いいでしょう、そこになおりなさい!!』
    とりあえず、北方果樹人の国も、今日の所は平和であるようだ。

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  • ベル

    ベル

    リオンの母と盟約したフォーリナーで、リオンの誕生と共にテトラヘブンに帰る予定であったが、彼女が持つロジカリストとしての大きな才能を感じ、セプトピアに残留した。
    リオンの母とは盟約しているが、リオンと盟約しているわけではなく、トランスしたことはない。
    幼いころから一緒のなため、リオンの一番の理解者であり親友。適応体のときは言葉を喋ることはできないが、リオンはベルの言うことをはなんとなく察している。

    トランス!

     リオネス・エリストラーヴァ ・ベル

    リオネス・エリストラーヴァ & ベル

    定理者養成校・ピラリ学園の白樺寮、リオンと万博の部屋。
    やっと太陽がカーテンの隙間から光を差し込もうか、という冬の早朝。
    リオンはパチリと目を覚まし、ぐいっと体を起こす。
    『キュウ?』
    いつもの様に傍で寝ていたベルも、目覚めて顔を上げるが、
    「し~っ」
    リオンがその口に指を当てた。
    「まだ、まひろちゃんが寝てるからね」
    ロフトから下を見ると、乱雑に散らばった床の中央、毛布で体をぐるぐる巻きにした万博が、
    何かまたぞろ怪しい機械と工具を握りしめながら
    「ぐふふふふ こんどこそゲートをくぐるっす~ ぐぅ」
    寝言を呟きつつ眠りこけているのが見える。昨晩もずいぶんと夜まで根を詰めた様だ。

    万博を起こさないように、気を付けながら身支度。
    今日の道具類は昨晩のうちに用意しておいた。
    その1番上に、昨晩万博が貸してくれた、大きな鈴の様な奇妙な機械―
    「クマよけリンリンマシーン2号」とやらも載っている。
    流石にもうクマは冬眠しているはずだが、最近冬眠に失敗したクマが人里近くに降りてきたなんて事件も聞いている。
    まあ念のため、ということでこれも持っていく事にする。

    廊下の窓から外を見ると、昨日の雪が積もっているのが見える。
    もう一面銀世界だ。
    すると、手洗い場で顔を洗ってきたのか、部屋着姿の弥生、そして華凛・華恋とすれ違う。
    「あらリオンさん、もう出発ですの?」
    「うん!早めの方が、釣りやすいんだー!」
    「おひとりで大丈夫ですの?」
    「ベルもいるよ」
    『キュー』
    「たくさん釣ってきてね!おいしいやつ~~」
    「まったく、華恋ちゃんは食いしん坊なんですから!」
    「へへ~ 朝ごはんまだかな~~」
    「じゃあ、お気をつけて。楽しみにしていますわ」
    「うん、わかった!」

    「ベル、今日は久しぶりに、二人でお出かけだね!」
    『キュウ~!』
    今日は休日。
    雪景色の中、リオンはベルを連れ、学園裏の川に向かっていた。
    背負ったケースには釣り竿ほか用具一式。クーラーボックスも用意。
    釣果を持ち帰ることまで考えると、ちょっと帰りは重くなりそうだったが・・・
    友達が喜ぶ顔を思い浮かべれば、自然と足取りも軽くなる。
    それに、冬晴れの綺麗な空気の中を歩いていくのはなんだか楽しくて、
    「ふんふんふふ~~ん たらららら~」
    『きゅっきゅっきゅきゅ~ん きゅうきゅうきゅー』
    思わずスキップしてしまいそうだ。

    「ニホンでは12月の事を、師走、って言うんだって。
    先生も忙しくて走り回る、って意味ですわよ、って弥生ちゃんが教えてくれたんだ」
    『キュウ』
    「でね、りっちゃん先生がこの間、ま~~ひ~~ろ~~さーーーん! て叫びながら廊下を走り回ってたんだよ。
    弥生ちゃんの言ってたとおりだったね!」
    『キュウ?』
    「だけど師走でも神楽先生が走り回ってるとこは想像できないなー
    先生が走ってたら、きっと一大事だよー」
    『キュウ』

    事の発端はニーナだった。
    このところ彼女は、天体望遠鏡のある展望室と図書室を行ったり来たりして、とても忙しそうだった。
    理由を尋ねると、ケフェイド変光星がどうのこうの、脈動周期がどうのこうの、トリトミー由来の観測機器がどうたらこうたら。
    長々勢い込んで話してくれたのだが―
    「・・・ごめんなさい、つい夢中になっちゃって」
    「・・・ううん。よくわかんないけど、ニーナちゃんが一生懸命なのはわかったよ!」
    とにかく、何か難しいことを調べているらしくて大変そうだ。
    でも、それをしている最中のニーナの横顔は輝いている。
    あまり感情を表情に出さないニーナだが、リオンはその表情を読むのは得意中の得意だ
    (と自負してる)。
    冬の凍り付くような夜空の下、真夜中まで天体観測をしている彼女を、何かしら応援したくて、でも計算や調べ物方面ではとても助けにはなれないから・・・思いついたのが「ウハー」を作ることだった。
    ウハーはロシアのシンプルな魚と玉ねぎのスープだ。
    リオンは特に料理が趣味というわけではないが、でもこれなら、小さい頃に教わったサバイバル知識の応用で作ることができる。ニーナもきっと、あったかいスープを喜んでくれる。
    「ニーナちゃんに美味しいお魚、食べてもらおうね!」
    『キュウ!』

    川のあちこち、ポイントをいくつか変えながらアタックすること数時間。
    幸い、欲しかった分の釣果を得ることができた。
    日が傾く前に、荷物をまとめて帰途につく。

    「ランランラ~~ン お魚いっぱい夢いっぱい~」
    『キュウキュウキュ~~ウ』

    と、その時。
    ガサッガサガッ、と葉擦れの音が。
    まさか、本当に冬眠しそこねたクマが出てきた!?
    と思いながら、音がした方を向き様子を探る。
    すると奥から、ちいさくか細い獣の鳴き声が聞こえてきた。
    道の脇から少し林の中に入って見ると、2匹の狐がいる。
    冬毛でモコモコとした姿は大変に可愛らしいものだったが、片方の狐は足を怪我しているらしく、引きずりながら、ヒイヒイと細い声を上げている。所々血がにじんでいるのが痛々しい。
    すると、無事な方の狐がこちらを見つけ、こちらを見てオンと鳴いた。
    一歩近づくと、さらにもうひと鳴き。

    「・・・どうしよう・・・」
    この間、ニーナがお気に入りの動物番組を一緒に見ていたら、キタキツネの特集をしていた。
    キタキツネは夏から秋にかけて巣立ちした後、冬の発情期にパートナーを見つけて番になると説明していた。ひょっとするとこの2頭は、そんなひと組なのかもしれない。

    「――オン!」

    さらにもう一度鳴いて、こちらを見つめる狐。

    『キュウ~?』
    ベルが訝しむように一声鳴いた。
    「うん、わかってる。むやみに助けるのがいいわけじゃない、ってことは」
    手を差し伸べたい気持ちをぐっとこらえる。

    昔、父と一緒に山に行ったときのこと。
    鳥のヒナが巣から落ちていた。地面でピーピー鳴くヒナがかわいそうで、
    幼いリオンは父に巣へ戻してあげるよう頼んだ。
    だが、そもそも弱くなった生き物は別の獣の大事な食事になる。
    厳しいようだが、それが自然の営みなのだ、と大好きな父が教えてくれた。
    その時は身を切る思いで、ヒナの鳴き声に背を向けたのだ。
    でも。

    「―うん。わたし、助けたい。ベル、力貸してくれる?」
    『キュウ・・・キュウキュウ!』
    「ありがとう、ベル!」

    荷物を降ろすと、リオンは1枚のフォーリナーカードを天にかざす。

    「ゲートアクセス! テトラヘヴン!!」
    光が輝き、ゲートが開く。
    異世界の光の中、ベルは本来の姿―青い毛並みの聖獣の姿を取り戻す。
    「お願いね、ベル!」
    『まったく、貴女は困らせてくれますね』
    言葉とは裏腹に、ちょっと嬉しそうな口調で聖獣が答える。
    『リーニャとそっくり。あの男とも……』
    「え? あの男……?」
    『貴女を城に連れ帰った後、あの男はこっそり戻ってヒナを巣に戻したんですよ』
    「……パパ!?」
    『自然の摂理は守るべき理でしょう。ですが、貴女のその思いもまた尊いものなのです』

    「うん! ――ロジックドライブ!」

    リオンを中心に暖かな光が降り注ぎ、傷ついた狐を優しく抱きしめた。
    天気は良くて、空気も澄んでいて。
    ちょっと寒いけど凍えるほどではなくて。
    日が落ちかける夕暮れの日差しはとてもきれいで。
    お魚はいっぱい獲れたし、きっと友達も喜んでくれる―

    疲れすらも心地よく、リオンは笑顔で歌を口ずさむ。
    狐が助かってよかった。でも、考えるのは続けようと思う。
    いつも先生たちが言っている。
    人を超えた力を持つわたしたちは、その力の使い方を学び、考えていかなければならない。
    これからも、ずっと。
    ―大変そうだけど、多分楽しいこともいっぱいあるんだと思う。
    だって、言ってる先生たちは、なんだかんだいっても楽しそうだから。

    『キュウキュウ!』
    「―うん、みんな待ってるね。帰ろう!」
    みんなの待つ白樺寮へと足を向ける。
    そんな、とある冬の休日だった。

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  • 綿毛のワッフル

    綿毛のワッフル

    家族と元気いっぱい生活していた、チンチラの獣人少女。
    遊んでいるうちに一人はぐれてしまい、人間の住む世界まで
    偶然来てしまっていた。
    たまたま出会ったリオンに帰る手伝いをしてもらい、帰る際に
    もっと一緒に遊びたいとリオンと盟約を結ぶ。

    トランス!

     リオネス・エリストラーヴァ & 綿毛のワッフル

    リオネス・エリストラーヴァ & ワッフル

    「「「可愛い~!」」」
    可愛い動物たちの動画を観て、思わず歓声が上がる。
    それは定理者の素質を持つ少女たち、ピラリ学園1年Sクラスのクラスメートたちでも変わらない。
    「これ! この動物、なんて言うの?」
    「うーん 毛むくじゃらで丸くて素早くて― でもモルモットよりは大きいですわね。
    耳もカールしていて特徴的ですが― 可愛いですわね」
    「どれどれ~ むむむむ~なるほどわかったっす!これはチンチラっすね!」
    「チンチラ? 確か猫にもそんな名前がありましたわね」
    「こっちのチンチラは、ネズミの仲間、げっ歯類っすね。チリ原産の固有種で~」

    万博が検索した結果を読み上げるのを、リオンは実のところ途中から全く聞いていなかった。画面の中で動き回る小動物をじーっ と見ている。
    「-リオンさん、何か気になることがあるの?」
    「うん、ニーナちゃん。ちょっと― どっかで見たことがあるような―」

    ・・・・

    「思い出した! あの子だ!」
    それはつい昨日のこと。
    山の神社の方に散歩に出たリオンは、山道の途中で、可愛らしい小さな子供に出会ったのだ。
    ふわふわのファーが付いた上着が良く似合うその子は、とても元気で人懐こく、リオンともすぐに仲良くなり、日が暮れるまで山の中を二人で走り回って遊んだのだと言う。

    「なんでこのチンチラを見て、その子を思い出しますの?」
    「なんでかな・・・ ! わかった!耳だ!」
    「耳?」
    「その子にもね、こんなくるっとした耳がついてた!」
    といって頭の上に手をやるリオン。
    「・・・・頭の上に、耳?」
    「主さま、これはひょっとすると―」
    「―使者、かもしれないわね」
    「つまりこのあたしの出番っすね!」
    と言って取り出したフォーリナーレーダーを見て、皆が少しゲンナリしたのは言うまでもない。

    かくして、早速委員長弥生を中心に使者捜索隊が結成。
    放課後、山の神社の方へと歩いていく。
    「でも、今日もいるとは限らないんじゃない?」
    「ううん、その子ね、昨日お別れするとき、『また遊んでくれる?約束だお?』って言ったんだ。
    だからね、きっと、待ってる。そんな気がする」

    プー、と気の抜けたような例のブザー音。
    「どうやら、リオンが正しいみたいっすよ」
    万博がレーダーを向けた山道の先に、その子はいた。
    『りおんちゃん! また遊んでくれるんだお?』
    「うん! ワッフルちゃん、今日はお友達をたくさん連れてきたよ!」
    『わっはははーい!』
    「初めまして、ワッフルさん。私は橘弥生、麓にあるピラリ学園1年Sクラスの―がふっ」
    弥生の自己紹介は言い終えることができなかった。ワッフルが体当たりの様に飛び込んできたからだ。
    『何して遊ぶ?何して遊ぶ?何して遊ぶんだおー!?』
    「主さま!」
    「こら~ 主さまにひどいことすると~」
    「「許さない!」」
    華凛と華恋がワッフルを取り押さえようと飛び掛かる。
    二人はこう見えて橘家に仕えるシノビの者、合体前の運動能力ならクラスでも随一、
    のはずだが―

    『わはははーい! 最初は鬼ごっこかお?』
    手の中をするりとすり抜けると、道のわき、木々の間へと消えていく。
    「待ちなさい!」「待て~ こら~!」
    追っていく二人の背中が小さくなる前に、なんとか復帰した弥生は、
    「万博さん、レーダー! リオンさん、私たちも追いましょう!」
    「おっけー! 新開発の“どこでも追いかける君V3”が役立つときが来たっすね!」
    「よーし、私も負けないよー!」
    ・・・・
    「-え?」
    嵐の様な一瞬のあと。皆が放り出した荷物と共に、ニーナが置いていかれていた。

    結局その後。
    鬼ごっこに始まり、影ふみ、手つなぎ鬼、だるまさんがころんだ等々、また日が暮れるまで、少女たちは遊びに遊んだ。
    最初は「本当に使者だったら?」とか「どこの異世界から?」とか「この場合の正しいコンタクトルールは」とか言っていた皆々だったが、全身を使って駆け回り、全力で遊んでいるうちに、どうでもよくなっていた。

    そして、日は暮れる。
    『・・・・りおんちゃん、やよいちゃん、まひろちゃん、かりんちゃん、かれんちゃん、にーなちゃん、みんなもう帰っちゃうのかお?』
    「ワッフルちゃん、もうすぐ夜になっちゃうよ」
    「夜は危ないわ」
    「ワッフルさん、あなたもお家にお帰りなさい、お父さんは?お母さんは?」
    そう言われたワッフルは。
    つぶらな瞳に大きな涙を浮かべた。
    『帰れないお! おうち、わかんないんだお!』
    「やっぱり、迷い込んだ使者だったのですね」
    「学園に戻ってALCAに連絡すれば、帰るゲートも開けるはずっす。安心するっすよ」

    しかし。
    『いやだお! 帰らないお! まだまだみんなと遊んでいたいんだおおお!』
    駄々をこね始めた子供に、思わず肩をすくめる少女たち。
    その中からひとり、リオンがそっと手を伸ばした。
    「わかった、ワッフルちゃん。私と、盟約しよう」
    『めーやく?』
    「うん。そうすれば、いつでも私たちと会える」
    『めーやくしたら、りおんちゃんともっと、もっとあそんでいられるお?』
    話はこうしてまとまった。
    『わかっただお! じゃあわっふる、りおんちゃんとめーやくするだお!』

    それから数日。
    ピラリ学園の模擬戦場に1年Sクラスの少女たちが集まり、
    それを担任の神楽と副担任の藤崎が見ていた。
    「これは・・・思った以上ですね」
    「うむ・・・」
    幼いころから「あの」父親のトレーニングで育てられたリオンは、
    「小国のお姫様」の肩書とは裏腹に、純粋な体力・運動能力、ついでにサバイバル能力がクラスでもずば抜けている。
    それに、天真爛漫で屈託のない彼女の心理傾向も、野生に生きるモノリウムの使者たちとは、相当に相性がいい。

    「それはもちろん、使者側のロジックを受け入れすぎてしまう事にも繋がるが」
    「心配、ですね」
    「だがー」

    「うっははははー!
    たっのしいだおーーーー!!!」
    「ちょ、リオンさんー!」
    リオンの方は、体が動くのに任せて模擬戦場を駆けずり回っているだけだろう。
    だがそのスピードはもの凄い。
    それも、直線的な動きではなく、思いつくままに右へ左へはたまた上へ下へと
    壁を蹴ったりジャンプしたり不規則に動き回るものだから―

    「すごいっすー やっちゃんが完全に見失ってるっすー」
    「好きにはさせませんわよ! 如意棒!」
    伸縮自在の如意金箍棒、これを長く伸ばし、いずれの方向から来ても良いように油断なく構える弥生。
    「いっくだおー!」
    「ふっ! やらせませんわ!」
    飛び込んでくるリオンに、流石のカウンターを合わせていく。
    合体相手の七宝が積んだ功夫四千年の重みは、伊達ではない。

    「はあっ!」
    気合を込めて突き込む如意棒―が。
    「だおーーーー!」
    打撃をかわし、そのままひらりと棒に乗ったリオンが体ごとぶつかってきて、弥生の防御シールドはあっけなく砕けた。
    勝負が決したことを告げるブザーと共に、バリアーが解除されていく。

    「わ、わ~~~ 頭ぐるぐるする~~」
    「アイタタタ・・・頭から突っ込んでくるからですわ! 武器があるんだから武器を使いなさい!」
    「リオン― ちょっと、ちょーっとそのワッフルの体、調べさせてほしいっすー!」
    「万博さん、次は私との試合よ。準備、お願いします」
    「えー ちょっと、ちょっとでいいっすからー」
    「ダメ」
    「そうですわ万博さん、あなたも少しニーナさんに鍛えなおしてもらった方がいいと思います!」
    「そーんなー!」
    「次はニーナちゃんとなの?いいなー 万博ちゃんもがんばってねー!」

    「-やれやれ。藤崎、これは相当、手がかかりそうだぞ?」
    「先輩、それにしては、なんだか嬉しそうですよ?」

    苦笑する神楽たちが見守る中、Sクラスのひなたちは今日もすくすく育っている。

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