キャラクター&ストーリー

  •  剣 美親
  •  揺音 玉姫
  •  クロエ・マクスウェル
  •  五六八 葵
  •  揺音 聖那
  •  アシュリー・ブラッドベリ
  •  ジークハルト・クラウス
  •  当麻芽路子
  •  明日葉 学
  •  オルガ・ブレイクチャイルド
  •  七星 縁
  •  ヴェロニカ・アナンコ
  •  ジゼル・サンダース
  •  ニーナ・アレクサンドロヴナ
  •  リオネス・エリストラートヴァ
  •  京橋万博
  •  橘 弥生
アシュリー・ブラッドベリ
アシュリー・ブラッドベリあしゅりー・ぶらっどべり
性別 女性
年齢 -
身長/cm 149
体重/kg 36
血液型 AB型
生年月日 4月9日
好きなもの 読書、空想
嫌いなもの 尾頭付きの生魚

小柄で読書好きな女の子。
おとなしくて恥ずかしがり屋、恐がり屋。
夢見がちで、異世界についての様々な資料を読み漁っては空想にふけっていた。
定理者の才能が芽生え、喜んで招集を受け、イケメン使者と恋しちゃったり、合体してナイスバディになったりと憧れていたが……
初めての盟約者はトカゲ、そして合体するときぐるみ状態…というわけで、一時期かなり落ち込んだ。
だが、一定の線を越えると、ものすごい度胸を発揮する。

盟約者フォーリナー

  • シュガ-・ディーバロイド741

    シュガ-・ディーバロイド741

    トリトミーからやってきた、アイドルアンドロイド。
    スタンドマイク、スピーカーポッドを装備している。
    セプトピアには、次元を超えたアイドルとして活動を広げるためにやってきた。
    可愛いは正義で、楽しいことが大好き。
    戦闘任務も、彼女にとってはアイドル活動の一部に他ならない。

    トランス!

     アシュリー・ブラッドベリ & シュガ-・ディーバロイド741

    地下室のメロディ

    『「魍魎大行進!!!」』

    艶鬼と合体したアシュリーがロジックドライブを放った。
    その瞬間、研究所の壁、床、天井に現れる無数の渦巻き――鬼道だ。
    やがてその中から魑魅魍魎、子鬼たちが現れ、
    アシュリーを取り囲んでいた敵たちを一斉に襲う。
    アシュリーは、凄まじい威力を持った艶鬼のロジックドライブに感心しつつも、
    (……地獄の幼稚園みたい……)
    と、可愛らしくも狂暴で元気な魍魎と子鬼たちの姿に、やや引き気味だ。
    ともあれ、このロジックドライブのおかげでこのフロアの使者たちは掃討できた。

    「艶鬼、そろそろ合体を解除しましょう」
    『いけずやわぁ、 もう、ちぃーとだけええですやろ?』
    「ダメです。トランスリミットに近づいてますし……」

    こうして、艶鬼との合体を解除して、アシュリーはシュガーを呼び出す。

    『作戦終了? だったら成功記念コンサートを』
    「まだです!!」

    アシュリーとルカが、使者大量襲来の元凶であったゲートカードの暴走を止めて1時間。
    通信で確認すると、研究所内を含め、
    各地での混乱は収束に向かいつつあるようだったが、まだまだ予断は許されない。
    敵がこれ以上増える恐れはないが、
    この世界にまだどんな手強い敵が残されているのかわからないのだ。

    「シュガーを呼んだのは、まだまだどんな危険が潜んでいるかわからないからですわ」

    少しガッカリなシュガー。

    『戦いかぁ……コンサートがよかったなぁ……』

    その時、艶鬼が異変に気づいた。

    『はてなぁ?』
    「え?」
    『なんか・・・妙な音が・・・聞こえへん?』

    耳を澄ますアシュリー。
    ドンドン……ドンドン……。
    研究所内のどこからか、何かを叩くような音が聞こえた。
    おもむろにシュガーが口を開いた。

    『……ドラムの練習?』
    「こんな時にそんなことをする人はいません!」

    と、つっこむアシュリー。

    『まぁ、敵やろな……』

    艶鬼に頷くと、アシュリーはシュガーと合体し、
    その音に導かれるように階段を下りていく。
    どうやら研究所の地下から響いているようだ。
    ドンドン! ドンドンドン!!
    さらに音はハッキリと聞こえる。
    地下の突き当りにドアが見えた。音はその中から聞こえているらしい。
    アシュリーたちは息を呑んで、そのドアを開けた。

    「……え?」

    中にいたのは、一般市民だった。
    ゲートカードの暴走が起きた時、逃げ遅れた人々だ。

    「助かった……このドアは中から開けられないんだ」

    ALCAの通信を傍受して、作戦の成功を知り、
    意を決して助けを呼んだのだと人々は話す。
    この地下シュルターには、耐パラドクスゾーンの対策が施されており、
    逆理病の心配はなかったが、さすがに肉体的にも精神的にも疲労困憊の様子だ。

    「もう安心です。さあ、私たちと一緒に逃げましょう」

    手を差し伸べるアシュリー。
    その時、外から爆発音が聞こえた。

    「いやあ! 怖い!!」
    「!!」

    中にいた子どもの怯えた声だ。
    研究所の家族もこのシュルターに避難しており、子どももたくさんいた。

    「大丈夫。外ではまだ戦闘が続いているところもあるけど、私たちが守るから」

    アシュリーは優しくなだめるが、全員、シェルターから出ることを怖がり、
    なかなか出ようとしない。
    すると、突然、地下室にメロディが響き渡った。
    合体しているシュガーが、装備を使って曲を流し始めたのだ。
    (え!?)
    戸惑うアシュリー。

    『ここを出る前に、みんなをちょっと元気にしてあげようよ、アシュリー』

    ハッとして見ると、子どもたちは泣くのをやめて、アシュリーを見つめている。
    (……ここは、シュガーの言う通りかもしれない)
    まずは子供を落ち着かせるよう、柔らかく童謡を歌う。
    子供たちの表情が明るくなるのを見て取ったアシュリーは、能力を全開。
    一気にコンサートモードに突入した。
    心に染み入るバラード、軽快なポップス、激しいロック……
    いつの間にか持ち歌を増やしていたアシュリーとシュガーは、
    メドレー形式で、疲れきった人々に笑顔を届けようと必死に歌い踊る。
    その思いは人々に伝わっていった。
    苦しかった日々を忘れるかのように、
    大人たちも、子どもたちも笑顔の花を咲かせていく。
    (ああ……よかった)
    人々の顔を見渡し、心から嬉しく思うアシュリー。
    だが、その中に目がハートになっている艶鬼の姿が。
    キュートに歌い踊るアシュリーにときめいてしまったらしい。
    その艶鬼の目に、イヤな予感を覚えるアシュリー。
    やがてメドレーは、ダンサブルなナンバーに突入。

    「アシュリーはん、やっぱり最高やわあ!!」

    イヤな予感は的中。
    艶鬼は周りの人々を巻き込んでアシュリーに声援を送り出す。
    (艶鬼のためにやってるんじゃないんですけど……ま、いいか)
    そんな艶鬼を苦笑いで許すアシュリー。
    地下シェルターを埋めていた不安や恐怖の空気は消え、みな明るい笑顔になっていた―

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  • 巌のジェイド

    巌のジェイド

    お酒が大好きな気のいい蜥蜴。
    温かい岩場で寝転がって熟睡していたら、気がついたらセプトピアにいた。
    セプトピアはセプトピアで面白いし、美味しいものもあるので慌てて戻る予定もない。

    トランス!

     アシュリー・ブラッドベリ & 巌のジェイド

    読書好きの夢想少女が出会ったのは、大きなトカゲ! デコボコ合体の二人

    人生の目的を見つけた……そういう事なのかもしれない。
    大柄な男はそう考えていた。
    いや、よくよく見ればそれは男……というか人間とは呼べない代物だった。

    三メートルを超す巨大な体躯、
    そして臀部から伸びる太く長いそれは尻尾だった。
    いわゆるコモドドラゴンと呼ばれる生物に属する姿だが、
    身体の大きさは生物学的にはありえない程だ。

    それはセプトピアの夜の繁華街をゆっくりと歩いていた。

    ほろよいの彼の名は、ジェイドと言う。

    無論使者の彼はモノリウムからやってきたトカゲの戦士だった。

    彼は先程までトックリを片手に考えていた。
    モノリウムにいた頃、
    世界の法則に基づき戦いの日々を送っていたが、
    正直なところ彼にとってそれは生来の習慣であり
    目的意識などまるで無かった。

    周囲がやるように彼も戦い、
    そして戦士としての生き方を矜持と思い込んできたのだ。

    だがセプトピアに来て彼が出会った定理者、
    つまり彼と盟約した相手は戦いとはかけ離れた世界で生きる、
    か弱く小さな少女だった。

    読書に明け暮れ、幻想と恋物語に焦がれる
    年相応の女性アシュリー・ブラッドベリだった。

    彼女は当初合体する相手がジェイドだったことに
    それなりにショックを受けていたようだった。

    たとえ言葉を介すことができなくても、
    さすがのジェイドも彼女の表情を見ていればそれくらいは理解できる。

    彼にとって読書を通じて彼女が読み解き巡らせる空想の世界が、
    どれほどのものかは知るよしもない。
    だが繊細かつ可愛らしい思考の旅なのだと察することくらいはできる。

    そんな彼女にとって、自分のように戦いしか知らず、
    しかも見た目も無骨で滑った皮の異形の者が盟約者となったことは、
    甚だ遺憾に違いないのだろうと察しはついていた。
    会話は交わさずともこちらへの心象は理解しているつもりだった。

    でもそんなアシュリーと言う少女は
    ALCAと呼ばれる戦いに身を置く組織に召集され、
    自らに与えられた任務をこなそうと必死に頑張っている。

    本来このような仕事場は彼女の気質に合わないのは誰もが知るところ。

    それでも必死に皆の役に立とうとする小さな背中に、
    ジェイドの心はこれまでモノリウムで味わったことのない感覚に芽生えていた。

    その背中を少しでも押してあげられたら。

    彼女を見ていてそう感じた。
    これまで無味乾燥に戦いを続け、
    それを自分に与えられた充足感と錯覚していた日々。

    それとは違う誰かのために戦う……柔らかな満足感。
    それをアシュリーとの合体によってジェイドは感じていたのだ。

    少し酔ってしまったのかもしれない、とジェイドはふと思った。
    ちょっとおセンチな気分に浸っていたことに、
    我がことながら自分らしくもないと考えていた。

    事実セプトピアの酒は旨い。

    酒だけではなく料理全般がモノリウムのそれらとは
    比較できないほどに美味だと言わざるを得ない。

    セプトピアの生活から感じる充足感も、
    アシュリーに対するそんな感情を
    湧き立たせたのかもしれない、そう思った。

    その時周囲から警告音が鳴り響く。
    これは近隣で使者による襲撃が始まったという知らせである。
    今頃アシュリーはベッドから飛び起きて、
    パタパタと小走りしている頃だろう。

    この戦いを前にした高揚感、これも忘れられない。
    彼は舌舐めずりをする。
    セプトピアの安穏な生活で
    戦意という名の爪を砥ぐことを忘れたわけではない。

    酔い覚ましにはちょうどいいだろうと、
    ジェイドは飲み屋街を千鳥足で歩く人間達の波を
    掻き分けながら走り出した。

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  • 艶鬼

    艶鬼

    ジスフィアからやってきた、鬼のお姉さん。
    遊女の様な鮮やかな衣装を好み、大胆に着崩しながら
    色っぽいしぐさで男を迷わす魔性の女性。
    一方的にアシュリーを気に入って盟約者になり、
    日々彼女を着せ替えては楽しんでいる。

    トランス!

     アシュリー・ブラッドベリ & 艶鬼

    艶鬼の異常な愛情

    サロンでいつものように読書に耽っているアシュリー・ブラッドベリは、突如黒い影に覆われた。
    ハッとして見上げると、アシュリーの盟約者・艶鬼が笑みを浮かべていた。

    『これから、お暇?』

    艶鬼はアシュリーに顔を近づけてきた。

    アシュリーは艶鬼の大きく盛り上がった胸元にドギマギしながら、コクリと小さく頷いた。

    それを見て、艶鬼は更に笑顔を弾けさせた。

    『ほんま? めっちゃ嬉しい!
    ほんなら、うちらの部屋にもどってきて。
    10分後。待ってるから』

    艶鬼がウキウキとした足取りで去っていくのを見届けると、アシュリーは再び本に目を移した。
    しかし、頭の中にまるで内容が入ってこない。
    アシュリーの脳裏に嫌な予感が渦巻いていた。

    ――艶鬼、一体なにを企んでらっしゃるの!?

    アシュリーと艶鬼はまだ引き合わされたばかり。
    実際にトランスするのもまだだった。

    だが、アシュリーは自分が憧れていた盟約者とは「何かが違う!」と感じていた。

    対する艶鬼は、微妙なリアクションをするアシュリーのことなどお構いなしにアシュリーへの愛情を一方的に深めていくばかりだった。

    ファンタジー趣味のアシュリーが『鬼』も趣味の範囲と艶鬼は思い込み、それが嬉しくてたまらないのだ。
    アシュリーは不安を感じながら、約束の10分後に本を閉じると、自分と艶鬼の部屋へと向かって歩き始めた。
    やがて、部屋の前までやってくるとアシュリーは緊張気味にノックにした。

    『アシュリー? ええから入って』

    中から陽気な艶鬼の声が聞こえ、アシュリーは一度深呼吸をしてドアノブを回し、扉を開いた。

    『おかえりやっしゃ』

    部屋に入るなり、艶鬼はアシュリーに抱きつき、そのままお姫様抱っこをした。

    アシュリーは唖然としたまま室内を見回す。

    ――なんですの!? このお部屋! 朝までは普通のお部屋だったのに!

    壁は朱色に塗られ、あちこちの置かれた行燈が淡く輝いている。

    ALCAの施設内にある部屋とは思えない、あまりにも遊郭チックな内装だった。
    どうやらアシュリーが読書に耽っている間に、艶鬼が勝手に模様替えしてまったらしい。
    「これから何をなさるおつもりなの!?」

    アシュリーは動転し、思わず声を上擦らせた。

    『街で可愛い着物、見つけたの。アシュリーに似合いはると思うて』
    「困りますー! はしたないそんな! 恥ずかしい!」

    アシュリーは抵抗するものの、艶鬼の怪力の前では無意味であった。
    あっという間に身ぐるみを剥がされ、手際よく着物を着つけていく。

    『さあ、おめかししまひょね』

    艶鬼はアシュリーが嫌がっていると気づくことなく、鼻歌さえも歌っていた。
    アシュリーは諦め、されるがままに身をゆだね、気がつくと鏡の前には艶やかな花魁姿の自分がいた。

    おまけに胸元がざっくりと開き、露出度が高い。
    アシュリーはあまりの恥ずかしさに顔を真っ赤にして、下を向いた。

    『いやあ、かわええなあ。一緒に花魁道中をしたいぐらいやわあ……』

    ――そこまでなさるおつもりなの!?

    アシュリーは目を白黒させながら、艶鬼を見上げた。
    だが、目に飛び込んだ艶鬼は目を細め、今までアシュリーが見たことないほど幸せそうな表情を浮かべていた。

    『うち、ほんま嬉しい。アシュリーみたいに『鬼』の好きな子と盟約できることになって……』

    そんな艶鬼を見ているとアシュリーは何も言えなくなった。

    ――外に出るのはご遠慮願いたいけどこの部屋の中だったら……。

    アシュリーはそう自分に言い聞かせ艶鬼に向かって小さく笑った。

    「こんな素敵なお部屋にしたんだから、お外に出るのはもったないですわ。
    何かジスフィアにいた頃お話を聞かせてくださらない?」
    『ええよ。とっておきの話があんねん。あんな……』

    艶鬼は目を輝かせて語り始め、アシュリーは微笑んでその話を聞き入った。

    定理者のカード 使者のカード 合理体のカード

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  • ルカ・キャンドル237

    ルカ・キャンドル237

    トリトミーの介入によって生じた混乱を収拾すべく、
    自らセプトピアにやって来た女性機体。
    タクト、ナイフ、レイピアにモードチェンジする近接装備と、
    これによってコントロールされる多数のファンネルビットを装備。
    調和のとれた、秩序ある世界を理想としており、悪人もまずは説得から試みる優しい性格。

    トランス!

     アシュリー・ブラッドベリ & ルカ・キャンドル237

    炸裂トライコンセントレート!!

    その日、アシュリーはよく鼻歌を歌っていた。
    それにスキップしてしまいたいほど軽やかな足取り。
    定理者に目覚めてからこれほど楽しい気分になったのは初めてではないだろうか――
    と、アシュリーは思っていた。

    その理由はすべて、アシュリーの少し後ろを歩くルカの存在だ。
    金髪でしとやかなその姿――
    まるで名作文学の世界から抜け出してきたかのような、ルカの適応体。
    しかして元の世界での姿は、同型機の多いトリトミーの使者たちの中でも1体しかいないワンオフの高級機。
    黄金に輝く優美なドレスを思わせる姿に、
    アシュリーは遂に自分の理想たる「異世界の使者さま」が訪れた!と舞い上がってしまった。
    ルカと盟約を結ぶのは自分しかいないと、すぐさま盟約者に立候補したのである。

    一方のルカはアシュリーとは対照的に、足取りが重そうに見える。
    機嫌が悪いわけではなく―そもそもトリトミーの使者である彼女にそんな『ココロ』はない―、
    来たばかりのセプトピアの世界、まだ情報が不足しているので、周囲を探りながら歩いているためだ。

    「もう遅いですわよ」

    そんなわけだから油断するとすぐにアシュリーはルカを置いて行ってしまう。

    『私のことは気にせず。先に行っても構いませんよ』

    本来であればルカは一人で街を散策するつもりだった。
    まだ見知らぬものが多いセプトピアの世界を勉強するためだった。
    しかし、それを知ったアシュリーが「私がご案内しますわ!」と言ってついてきたのだ。

    「やっぱり、ご迷惑でしたか……」

    声のトーンを落とすアシュリー。ルカの言い方が冷たく突き放すように聞こえたためだ。

    『いや、そうではないのですが……』

    言葉を濁すルカ。
    (……この世界の者への対応は難しい)
    ココロというものが、まだ理解できないルカ。
    浮き沈みの激しいアシュリーのココロに戸惑うばかりだった。
    その時、「あああ!」と子供の悲鳴が聞こえた。
    手に持っていた風船をうっかり離してしまい、舞い上がった風船は高い木の枝にひっかかっている。

    「かわいそうに……ルカ、助けてあげることはできませんか?」
    『? 木に登るんですか?』

    問い返すルカ。風船がひっかかった木に登るのは、大人でもかなり苦労しそうだからだ。

    「その・・・例えば合体、してみるとか、どう、でしょう・・・?」
    『合体……?』
    「そうすれば、あの風船をとることも簡単にできると思います!」

    再びアシュリーのココロは浮かれ上がり、ルカに向かってニッコリと笑う。
    アシュリーは、ルカと合体した自分の姿をとても気に入っていて、何かにつけてすぐに合体したがる傾向があった。

    『ですが……』

    (今後の行動結果が悪化されると予測される……)
    つまりルカは、人間で言うならだんだんと「不安を感じ」始めていた。
    混乱を収拾するためこの世界にやってきたのに、アシュリーが盟約者で目的が果たせるのだろうか――と。
    そんなルカの迷いを試すように、使者の出現を告げる警報が鳴り響いた。
    司令部からの通信によれば、現場はルカとアシュリーがいる場所に近い。

    『行きましょうアシュリー』
    「はい!」

    子供と傍の親にすぐに避難するよう伝えると、二人は直ちに現場へと直行した。
    (この戦いによっては盟約相手を再検討しよう……)
    今やルカはそんな判断に至っていた。
    現場で暴れ回っていたのは、モノリウムの使者。
    象の獣人で、アシュリーの数倍の巨大さだ。
    それを見て、すぐさま合体したアシュリーとルカ。

    「いきます!」

    ルカは勢いよく相手との距離を詰める。

    『アシュリー、いけません。不用意に相手に近づいては――』

    注意を促そうとした矢先、敵が目の前から消えた。

    「!」

    敵は見かけとは裏腹に軽快なスピードで、あっという間にアシュリーの背後へ回っていた。
    そして、不意を突いて先制攻撃を仕掛ける。

    『危ない!』

    敵の拳がアシュリーに迫る。ルカは避けきれないと計算した。が―

    「バリアビット!」

    アシュリーが叫ぶと、ファンネルが宙を舞いフォースフィールドを発生。
    敵の攻撃を間一髪防ぐ。
    そして、息つく間もなく再びアシュリーが叫んだ。

    「ノクターンビット!」

    いつ間にか、敵の背後に不可視化されたファンネルが配置されていた。
    見事に敵の裏を書き、奇襲を浴びせる。
    のたうち回る敵を見て、ルカの「再検討」が中断する。

    『見事です……』

    バリアビットは、先日の出撃でルカが操り敵の攻撃を防いでみせた装備だ。
    一度使った装備だから、アシュリーでも使いこなせるのはまだわかる。
    しかしノクターンビットは、まだアシュリーには詳しく教えていない装備だ。
    合体していると、お互いの知識や記憶はある程度共有される。
    そうだとしても彼女がノクターンビットを、しかも完璧なタイミングで使いこなすとは、正直ルカの「計算外」だった。

    「そんな……お褒めいただき光栄ですが、
    私はただルカの盟約者になれたのですから、一生懸命やってるだけですわ……」
    『一生懸命……?』
    「つまり……好きな方にはがんばって尽くしたいってこと……でしょうか」

    アシュリーはそう言ってはにかんだ。

    「合体させていただいたとき、ルカには様々な能力があることが、わかりましたわ。
    私が至らないせいで、その素晴らしい力を発揮できないなんて、とても辛いこと・・・悲しいことですわ・・・
    なので、合体するたびに知ったこと、教えていただいたことをメモにまとめて、
    昨日よりも今日、今日よりも明日、もっともっとルカの本当の力を使いこなせるよう、自分なりに復習しているのです」

    視線を上げると、アシュリーは胸を張って答えた。

    「―これが私の、一生懸命、ですわ!」

    その瞬間、ルカは自分の判断が間違っていた、と結論する。
    今もココロは理解できないが、アシュリーをここまで突き動かすものならば、
    ココロとはきっと自分の計算を超えた何か、に違いない――と。
    敵はまだ倒れたわけではない。
    力を振り絞り、殺気立った目で再攻撃を仕掛けようとしていた。

    『貴方なら、私の本当の能力も使いこなせるでしょう』

    アシュリーの持っていた武器が、ナイフからタクトにモードチェンジする。

    「これって……」
    『全てのファンネルたちを指揮するのです。思うままに、このタクトで。
    貴方ならきっと計算以上の威力を発揮できると確信しています。
    アシュリーは「一生懸命」、なのですから……』

    アシュリーに、それ以上に嬉しい言葉はない。
    最高潮に盛り上がった気持ちで声を弾ませた。

    「その期待、裏切りません!!!」
    アシュリーがタクトをふるうと、数多のファンネルたちは規則正しい配列で敵の周囲を取り囲む。

    『「ロジックドライブ! トライコンセントレート!!!」』

    その叫び声とともに、一斉にファンネルから放たれる光。
    あらゆる角度から、正確に、敵に向かって一直線に光の粒子が伸びる。
    それはやがて、一点を射抜く集中砲火となった。

    『グアアアアアッ!!! ウオオオオオッ!!!』

    それまでアシュリーの攻撃に耐えていた敵も、その凄まじい攻撃を防ぎようがなかった。断末魔の声ととも、ついに敵は倒れた。
    トライコンセントレートはまさに祝砲
    ――アシュリーの歓喜を祝うド派手な花火のようだった。

    そして戦いが終わったとき。
    1機のファンネルが木の上の風船を優しく捉えると、何処かへと運んでいくのが見えたという―

    定理者のカード 使者のカード 合理体のカード

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  • 泡沫のシェリー

    泡沫のシェリー

    おしとやかなクラゲ娘。争う事が得意ではなく水中散歩や海底探索を好む。セプトピアの浜辺を歩いていたところをALCAの使者探知機にかかり、データーベースに登録される。その後、クロエの機転で海への憧れを契機に同じ思いに共鳴したアシュリーと盟約を結んだ

    トランス!

     アシュリー・ブラッドベリ & 泡沫のシェリー

    アシュリー & シェリー

    アシュリーがピラリ学園に来ることになる、数か月前のこと。

    アシュリーはクロエに誘われ水族館に来ていた。
    いつも図書館にこもりがちなアシュリーを、クロエが半ば強引に連れ出したのである。

    「すっごーい! 何アレ!」
    「ほら、クロエさん。あちらもご覧になってください。」
    「何アレ!見たことない魚!超おっきいね!リルリルと合体したときにも見たことないよー!!」
    リルリルはクロエの盟約者の一人、シャチの使者フィリルのことだ。
    「海に入れるとこんな景色が見られるんですね。うらやましいですわ。」
    そんなアシュリーの一言がクロエを本気にさせるとはその時、思ってもみなかった。

    数日後、ALCAの盟約室にヴェロニカ、クロエ、アシュリーの姿があった。
    「アシュリー、詳細はクロエから聞いた。水中戦闘可能な使者との合体を認めよう。」
    ――あれ……?私、そんなこと言ったかしら。
    「シュリリンが海に強い思いがあるって局長に伝えた甲斐があったよー!」
    ――クロエさん……。こないだの水族館の時に言ったこと、覚えてくださっていたんですね。
    とても、うれしいですわ!
    「ヴェロニカ局長。クロエさん!本当にありがとうございます!合体して海の探索をしたいですわ。是非、盟約者となっていただける方がいらっしゃるのであれば盟約したいです!でも、合体してくれる方がいらっしゃるかしら?」
    「大丈夫!リルリルに頼んどいてあげたからー!」

    そういってクロエはフォーリナーカードでフィリルにコンタクトを取る。
    「リルリルー?例の件で、盟約室に今いるのー!シェリーっちに声かけてあげてくれないかな?
    データベースに入ってるみたいだからこっちからもコンタクト入れるから!」
    『かしこまりました。今お呼びします。シェリーも楽しみにしていましたわ。』

    ほどなくして、クラゲの使者の少女が現れ、盟約室はたちまちモノリウムの海の底、
    大小さまざまな魚が大海原を行き交う様子に変化する。

    ゆらゆらとアシュリーに向き合った白髪の少女はとても神秘的なドレスをまとっており、
    思わず息をのむアシュリー。
    「私は、、、私はアシュリーと言います!あなたのお名前は?」
    少しうつむいて、恥ずかしそうに下を向く少女。はかなくも可憐な姿。

    今までのアシュリーの盟約者は癖の強いメンバーばかり。
    振り回されるばかりの毎日がつらくもあり、楽しくもあった。
    そんな彼らとは全く異なる雰囲気の使者に、アシュリーは、相手が女の子という事も忘れ、恋に近い感情を抱いていた。
    「お名前を知りたいの。教えてほしいですわ。」
    『私は……、シェリー……。』
    ぽつりとつぶやく。
    『あなたは……、とても暖かい……やさしい声……。』
    アシュリーは、声をほめられて顔を赤らめながらもうれしさを隠しきれない。
    「ありがとう、ですわ。」

    アシュリーとシェリーの二人の会話は、ぽつりぽつりと口数は多くなかったが、
    お互いの言葉が共鳴しているかのように、盟約室が光り輝き始める。
    『セプトピア……って…どんな場所……?きらきらしてる……?』
    「セプトピアはとても美しい世界ですわ。」
    なにか、特別な会話をしているわけでもない、
    しかし、お互いに相手がなにを言おうとしているかが手に取るようにわかる。
    そんな感覚が二人を包んでいた。

    『もっと知りたい……、アシュリーの世界……。』
    「……もちろんですわ」

    「盟約完了だな。では、さっそく、アシュリーにはしばらく海浜警備全般を担当してもらう。
    今回の配備は毎日早朝3時からの勤務となるから注意するように。
    クロエに担当してもらおうと思っていたが、アシュリーに任せよう!」
    そう言い残し部屋を出ていくヴェロニカ。

    「クロエさん。海浜警備ってどういうことですの!?しかも早朝3時って、早すぎますわ!」
    「シュリリン、海に入りたそうだったしー、盟約者も見つかったしよかったじゃん!」
    ――きっと、朝早く起きたくなかっただけですわ!
    「海浜警備なんて言ってないですよ!クーローエーさーん!!!!」
    「いいじゃんいいじゃん!今度一緒に海遊びに行こうよー!」
    まったくこの人は!そう思いながらも思わず微笑むアシュリーの手元でフォーリナーカードが応えるようにきらきら光っていた。

    定理者のカード 使者のカード 合理体のカード

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