キャラクター&ストーリー

  •  剣 美親
  •  揺音 玉姫
  •  クロエ・マクスウェル
  •  五六八 葵
  •  揺音 聖那
  •  アシュリー・ブラッドベリ
  •  ジークハルト・クラウス
  •  当麻芽路子
  •  明日葉 学
  •  オルガ・ブレイクチャイルド
  •  七星 縁
  •  ヴェロニカ・アナンコ
  •  ジゼル・サンダース
  •  ニーナ・アレクサンドロヴナ
  •  リオネス・エリストラートヴァ
  •  京橋万博
  •  橘 弥生
  •  森ヶ谷 夕子
  •  小湊くらら
小湊くらら
小湊くらら こみなと くらら
性別 女性
年齢 -
身長/cm 160
体重/kg 45
血液型 AB型
生年月日 6月30日
好きなもの イチゴ
嫌いなもの めんどくさいこと

テンションにむらっけのある気分屋。
面白そうなことや自分が興味があることに対してはテンションが高い。
気が向かなかったり興味がないものに対しては
まったくやる気を出さない。

流行りのものについては超情報通。
通信端末を常にいじくっているタイプ

ロジカリストとしてのポテンシャルは高く、うまく使者とかみ合えばとても優秀。
見た目的に損をするタイプだけど、根はいい子。
家族だけでなく、友達など信頼関係が出来た人をすごく大切にする。

盟約者フォーリナー

  • 鳴神

    鳴神

    ジスフィアの雷神として、天候を司っている。
    気性が荒く、粗雑。何に対しても感情的になりがち。何かと喧嘩っぱやいが、涙もろい。
    風神の玉風とは双子の姉妹。

    トランス!

     小湊 くらら & 鳴神

    小湊 くらら & 鳴神

    「新入りのくららで~す♪ これからよろしくね、先輩?」
    「え、ええ・・・」
    キョウト支局定理者チームのチームリーダー、揺音聖那もちょっと気圧される。
    明るく笑顔を振りまき、屈託なく接するゆるふわロング。
    人の視線を捉えてはにこっ と返し、隙を見せるとすぐ距離を詰めてくる。
    かと思えば、再びついと離れて距離をとる。
    椅子の上でだらー っとしていたかと思えば、真剣な表情で端末をいじっては何かを調べている。かと思えば、年の近い女性スタッフと何やらファッションの話題で盛り上がる。
    「・・・わ、若い・・・」
    「何言ってんの、聖那だって若いでしょうに!」
    そう答えるノエルは、けっこう彼女のノリにも付き合えるようだ。もともとお祭り好きの性質が合っているらしい。一方、委員長気質の奏はすぐに自室に逃げたようだ。
    「じゃあ、小湊さんの指導、よろしく頼むね・・・」
    そう律から言われ、「教官は律さんでしょ」と言いかけて言葉を飲み込む。
    律の顔が心なしゲッソリしていたからだ。
    「最低限の座学は、しておいたから、あとお願い・・・」
    「は、はい・・・」
    そういえば、ジゼルの時もなんだかんだ言って教育係を押し付けられたな、と懐かしく思う。あの時はまずジゼルの非協力的な態度に困らされたが・・・
    「はい!はい!はい! 聖那先輩! 何するんですか?」
    「ああ、うん、そうね・・・」
    くららの距離の取り方やテンションの変化についてけないものを感じる。
    「じゃあ、まずは律さんから習ったことの復習と確認を―」
    「えー つまんなくない?」
    「つまんないって、小湊さんね」
    「くららでいいですよー 先輩」
    「じゃあ、くらら。いい? ちゃんと定理者として活躍するには、何よりまず基本の―」
    「先輩、あたし、合体ってしてみたいなー」
    「え?」
    「だから、合体―」
    「あのねくらら。合体ってのは、異世界の使者と心を通じ通わせてね」
    「知ってまーす」
    「大体あなた、盟約者がいないでしょう?」
    「いるよ?」
    「え?」
    「なるー、たまー、出てきなよ!」
    いつの間に手に入れたのか、手には2枚のフォーリナーカード。
    「ゲートアクセス・ジスフィアー!!」
    瞬く光が晴れると、そこには二人の使者の姿が。
    「あたしのズッ友、なるとたまだよ! みんなもよろしくね!」
    『おう! ジスフィアの雷神・鳴神だ。よろしくな!!』
    『・・・同じく、風神・玉風です・・・ あの、すいません・・・』
    そこには、ここ数日支局総出で探し回り、警察の力も借りて捜索中の2体の使者の姿が、あった。

    「「「「ええー!!!!」」」」

    『はっはー! くららの言ったとおりだな! 皆びっくりしてるぜ!』
    『なるも、くららも、正気? わたしたち、お尋ね者、だったと思うのだけど・・』
    「にゃはは、ダイジョーブ! あたしがホショーするし?
    二人とも、もう悪い事しないし、ひとにメーワクもかけないから。ね!」
    周囲一同、呆然と息を飲み声も出ないところ、
    「まあ、いいんじゃないの~?」
    と声を掛けたのは局長代理の平朔太郎
    「で、でも平さん!」
    「事情聴取とかは後でやらせてもらうとして、さ。
    まずはちょっと、見せてもらおうか」

    場所を移して、支局内のVR戦闘訓練室。
    早速、鳴神と合体したくららを前に、少し間を空けて立つはこちらも阿修羅と合体した聖那。
    「―平さん、どういうつもりですか?」
    端末の回線を合わせ、問いただす。
    「ほら、彼女も早く合体試したがってたじゃない?」
    「だからって、いきなり模擬戦だなんて」
    「聖那もここでしっかり実力差ってやつを教えてやってよ」
    「でも!」
    それを遮るように、律のアナウンスが被る。
    「二人とも、防御バリアが張られてるから、普通の攻撃ならダメージは出ない。
    でも一定量のダメージをカウントしたら、シールドカウントを減らすからね。
    先に相手のシールドを全てブレイクした方が勝ち、だけど・・・
    ホントにハンデ無しで、いいの?」
    「ダイジョブでーす!」
    思わずくららの表情を伺う聖那だが、そこには、こちらを下に見るような侮った様子も、あるいは力に浮かれて上気した感じもうかがえない。
    「・・・わかりました。じゃあくらら、本気、見せて」
    「りょーかいっ!」

    さて、初めての合体をしたくららの方は、と言うと。
    「ちえー ちょっとざんねーん」
    『おう、何が残念なんだよ? アタシの力に文句あんの?』
    鳴神にしても合体は初めての経験だ。
    ひとつの体を二つの意識で共有し、記憶と感情が端の方で混じり合うような不思議な感覚。
    「だってさー。合体したら、もっとおっきくなるかなーって」
    『そこかよ!』
    「ま、いっかー。あんまりおっきくても、おもそーだしね」
    『うるせぇよ。 おい! 始まるぞ』
    「うん!」

    「んじゃ、いっくよー!」
    「―速い!」
    素早い踏み込み。くららは一瞬のうちに、ひと太刀の間合いに入ってきた。
    リニアモータ効果。
    くららと鳴神の合理体は、その大電力を操って床を磁化、一種の電磁石にして吸引力と反発力を操って恐ろしい初速を得る。
    「ずぎゅーんて感じで!」
    『やってやるぜ!』
    「いきなりこんな事ができるなんて!」
    聖那の驚きは続く。
    「てやー!」
    両手にひとつずつ。両刃の直刀が鋭く振り下ろされる。
    ちなみに
    「右がバリバリで、左がビリビリね!」
    「別に聞いてない!」
    くららの太刀筋は、剣士のそれではない。
    まだまだ粗く、隙だらけだ。
    だが―
    「うりゃ! てい! たあ!」
    回転が速い。踏み込みが速い。そして
    「ビリっといくよー!」
    特有のオゾン臭が鼻をつく。
    この二振りの刀。これは鳴神の雷のちからを凝縮し、くららにイメージしやすい武器として顕在化させたものだ。つまり掠めただけでも電撃を受けるのと同じ。必然、大きくかわさざるを得ない。
    「どお先輩? もうコーサン?」
    「んなわけないでしょ」
    周囲に浮かぶ、阿修羅の四つの拳。
    うち二つがぐいと飛び出し、くららに殴りかかる。
    「おっと!」
    これを双剣で迎撃。しかし、
    「まだまだ!」
    残る二つが弧を描きながら時間差で飛び、くららを死角から狙う。
    「あぶなっ!」
    これもなんとか迎撃、撃ち落す。だが。
    「はっ!」
    「うわっ」
    逆に距離を詰めた聖那は、自らの拳をボディーブロー気味に叩きこむ。
    訓練用のバリアがその衝撃を大半包み込むが、吹き飛ばされたくららは大きく距離を取らされる。シールドを先に破られたのは、やはりくららだった。
    「阿修羅の拳は六つ。六手拳は甘くないよ」
    「さっすが先輩、やるじゃん」
    口元をぬぐうくらら。その目は闘志を全く失っていない。
    「んじゃあ、たま、出番だよ!」
    「トランスチェンジするつもり?」
    複数の盟約者を持つ定理者は、フォーリナーカードを介することで、合体相手を素早く変えることができるようになった。
    ―しかし。
    「その暇はあげないよ!」
    わずかな間ではあるが、合体を解き、また別の盟約者を呼び出して再度合体する以上、そこには隙ができる。だから、実戦慣れした定理者は物陰に身を隠したりしてトランスチェンジをする。くららにはその素振りはない。拳を飛ばして教訓を与えようとする聖那だったが―
    「!!!」
    拳はあっさり迎撃された。
    だけではない。次々連射される鋭い弾丸が聖那を押し返す。
    パキン、と乾いた音が響き、かわし切れなかった弾丸が聖那のシールドを割った。
    「どういうことだ」
    観察していた一同が困惑する中、まるで動画の途中を切って繋いだかの様に、瞬時にくららの姿は変わっていた。雷の双剣士から、嵐の双銃士に―!
    「わかりません。合体が解けた隙は無かったようですがー」
    そう。くららは合体を解いていない。
    彼女に言わせると、
    「んとねー
    なるにちょっとあっち行ってもらって、代わりにたまにこっち来てもらうの!」
    正直、スタッフも良く分からない。
    後にくらら自身によって「メーク」と名付けられるこの能力は、合体を解くことなくその相手だけを入れ替えることができる。そこにほぼ、隙は無い。
    「いっくよー! 覇離氣院! 沙射苦論!!」
    『ふふっ 私の嵐にふさわしい名前です』
    『そっかー? なんかガチャガチャじゃね?』
    『なるのバリバリビリビリよりましです!』
    両手に持った自動拳銃。同じくこれは玉風の暴風のちからを凝縮し、くららにイメージしやすい武器として顕在化したものだ。超圧縮された空気を弾丸として発射、その威力とスピードはマグナム弾を超える。そして玉風の力が続く限り、弾切れは、ない。

    「―すごい」
    正直驚く。
    合体したばかりでここまで動けるのはもちろん、使者の力をいかんなく引き出し、自分の武器として使いこなしている。本当に今合体したばかりなのか? よほど深く、くららと鳴神、玉風の3人は「繋がって」いるのだろう。
    何を平が狙っているのかはわからないが― だからと言って、ここで負けてやるわけにはいかない。
    「トランスチェンジ」
    阿修羅の拳を相手の顔面目掛けて叩き込み、これを影に一瞬視界を奪う。聖那にはその一瞬で十分だ。
    「いくよライア」
    『任せろっ!』
    モノリウムの狼の獣人・鉄牙のライアと合体した聖那は、オオカミのスピードと体術を得る。
    「このー!」
    『ちょっと、当たらないわ!』
    直線的な射線を弧を描いて回避。そして。
    「『ウゥオオオオオオオオオーーーー!!!!』」
    「うわっ」
    ライアの持つ滅裂の咆哮は、破壊力をもつ狼の咆哮だ。
    たまらず耳を押さえるくらら。
    そこを聖那の鋭い爪が迫る。
    「ま、まだまだっ!」
    また瞬時に鳴神との合体に戻すと、剣で爪を払う。
    「―っ、はーっ、はーっ」
    終始、玄人顔負けの新人離れした動きを見せるくららだったが、流石に息が切れてきた。
    「―まだ続ける?」
    対する聖那は、すぐに飛び掛かれる間合いを保ったまま、ゆらり悠然と立つ。隙は無い。
    「・・・さっすが先輩、強いじゃん・・・でも」
    ぐいと体を起こすと、強い目力が聖那を捉えた。
    「でもあたしも、引けないんだよね!」
    両手をぐいと握り、まっすぐ前を見ながら。
    「なる、たま、気合いだー!」
    『おう!』
    『ええ!」
    三度、くららの姿が変わった。
    目を疑う一同。
    その姿は。
    右手を中心に、渦を巻く青い嵐のちから。
    左手を中心に、光を放つ黄の雷のちから。
    玉風と合体した姿とも、鳴神と合体した姿とも異なる、強いて言うなら
    「―二人の使者と、同時に合体している、っていうのか―」
    驚愕に包まれる指令室をよそに、今度はくららが吼えた。
    「いっくよー!!!!!」
    滑る様に、弾ける様に、まっすぐ突進。
    迎撃する聖那の爪を、
    「!」
    ブ厚い風のバリアが遮り、逆から鋭い雷をまとった手刀が裂く。
    攻防一体。
    単純だからこそかわしにくい、意思を持った雷嵐。
    『『「うわああああああああ!!!!!!!」』』
    荒れ狂うそれを、聖那は―
    「くっ」
     バリアの割れる音と共に、遂にくららの突き出した手刀が聖那を捉える。
    「やった!!」
    だが。
    「―うん。捕らえた」
    そのまま誘い込まれるように腕を掴まれロック。
    「え?」
    次の刹那、自分が宙に浮いた感覚があるかと思うと、天井が見えて―
    だあん!
    激しい音と共に、自分が床に投げ落とされたことが分かる。
    背中に響く鈍い痛み。バリアでも殺しきれない。
    さらに、首元にちくり。
    のぞき込む様に聖那の顔が迫り、鋭い爪が首に当てられる。
    そして。
    鋭く耳障りなブザーが鳴り、決着がついた事を知らせた。

    身を起こした聖那は、合体を解き、くららに声をかける。
    「凄いね、驚いたよー って」
    くららも合体を解く、というより流石に維持できなくなったのだろう。
    彼女を中心に、鳴神と玉風も姿を現し、みな大の字になって倒れている。
    ―いや、くららは、荒い息のまま、身を起こそうとしていた。
    「いいよ、まだ寝てなって。しんどいでしょ?」
    首を振り、無理やり手を膝について、身を起こす。
    「ぜーっ ぜっ はっ はっ」
    「―あなたいったい・・・」
    「せんぱい、せんぱい、あ、あたし、つよかった? 強かった、でしょ?」
    「うん。認める。だから」
    「だから、だからいいでしょ?
    なるも、たまも、強いから! 役に立つから!
    あたしもがんばるから! だから、だから、いいでしょ?」
    「良いでしょ、って何が―」
    「だから、許してあげて!
    なるも、たまも、これからいっしょけんめい、役に立つ。
    悪い奴がいたら、戦う。こらしめる!
    困ってるひとがいたら、飛んで行って、助ける。
    役に立つ。
    だから二人を、許してあげて!」
    「・・・」
    鳴神も玉風も起き上がっていた。
    くららを挟んで立つと、二人も深々と頭を下げる。
    『悪かった』
    『ごめんなさい』
    「これから一生懸命、3人でガンバルから! だからー」
    目を上げると、視界にニヤリと笑う平の姿が目に入った。なるほど、こういう筋書きか。
    シナリオ通りに踊るのはしゃくに障るけど。
    「うん、聖那ちゃんもこーゆーの、好きだよね?」
    「うっさい」
    3人に近寄った聖那は、そのままぐいっとまとめて抱きしめてやることで、その気持ちを伝えてやった。

    それからしばらく後のことになる。
    キョウトで有名なニシキ市場は、先日の襲来騒ぎでも停電や倒壊騒ぎで被害の大きかったところだが、今はその影もない。
    今日も買い物客を呼び込む声が響いているが、最近は特ににぎやかだ。
    『おうおう、そこ行く見物人のにーちゃんよう! この千枚漬け、うめーから買ってけ!な?』
    『今日はこちらのお惣菜がお安いですよ。いかがです?』
    「オススメはこの番茶ソフト! ちょーアガる!ヤバイ!食べて!」
    時折、髪の色が黄色に青色にピンクと、とても目立ってしかも可愛い女子高生3人が、商店街で呼び込みのバイトをしているとの話だ。
    地元でもちょっとした人気で、そろそろTVの取材も噂されている。
    「え? ヤバくない? メークどうする?」
    『私たちなら』
    『素でいけっだろー!』
    「ヤバイヤバイ、それはヤバイって!!」
    周囲の人々の暖かな笑顔が、3人を何より輝かせていた。

    定理者のカード 使者のカード 合理体のカード

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  • 玉風

    玉風

    ジスフィアの風神として、天候を司っている。
    物腰柔らかで、言葉遣いも丁寧だが、遊びで竜巻を起こしたり雨を降らせたりする。見た目にそぐわずけっこう過激。
    雷神の鳴神とは双子の姉妹。

    トランス!

     小湊 くらら & 玉風【前編】

    小湊 くらら & 玉風【前編】

    「小湊くーん! やっと連絡ついた! 今ドコ? 無事なの?」
    「うん、ダイジョブだよ。いま? んとねー シンキョーゴクの方ぶらぶらしてるー」
    「無事ならよし。
    で、そろそろどうするか、決めた?」
    「んー まだ。そのうち、決める」
    「だからそのうち、っていつだよ、おい、おーいー!」
    まだしゃべり続けているケータイをプチっと切って。
    キョウトの女子高生小湊くららは、鼻歌混じりに散歩を再開する。

    玉風と鳴神と呼ばれる、ジスフィアの風神と雷神によるトランスジャック事件が起きて数日。
    幸い被害が大きく広がる前に、二人の使者はALCAキョウト支局の活躍によって撃退されていた。
    街は平穏を取り戻し、暴風や稲妻の直撃によって破損した建物や施設についても、急ピッチで修復が進んでいる。
    なにより、逆理領域に捕らわれた人々の逆理病が、ナイエン支局から派遣された揺音玉姫によって素早く治療されたことが大きい。

    まだ、当の使者二人の身柄は確保できていない。
    未だこのキョウトの何処かに、潜んでいるかもしれない。
    適応体になりこの世界の人々や生物に紛れ込んだ使者は、非常に見つけにくいのが実情だ。
    何しろ見た目は、この世界の人間となんら見分けがつかないのだから。

    とはいえ、まだ捕まらない使者たちを恐れて家に閉じこもっているほど、キョウトの人々は臆病ではない。
    あしざまに言えば「慣れた」というところだが、またあの2体が暴れてもALCAがなんとかしてくれる。そんな信頼も、あるのだ。

    というわけで。
    営業を再開した商店街の一角を、くららはだらだらと歩いていた。
    手に持っているのは、さきほど列に並んで買ってみたドフィノワ。
    旬のくるみをたっぷり使った焼き菓子で、外側のサブレのさくさく加減と内側のキャラメルとくるみのこってりした甘さがたまらない。
    「これヤバイ。わかるー!」
    歩きながら、手づかみも構わず、むしゃむしゃと食べる。
    そんな彼女の爪は、それぞれの指を別々の色で染めたネイルでキラキラ輝いている。
    ネットで観たデザインで気に入ったものを即採用、今日は早起きしてネイルしてきたのだ。
    普段は学校の規則があるから、うっすらピンクのネイルでキメているが休みの日ぐらいはばっちり派手派手にしたい。

    (・・・いや、ガッコ―行かないなら、毎日ネイルしてもいーのかなー)

    ひと月ほど前。
    定期の健康診断といっしょに受けさせられた、定理者の適性検査で、非常に高い適正値を示したくららは、ホッカイドウのピラリ学園へ転校し、定理者としての才能を伸ばしていくことを強く勧められた。
    現在、以前の様な強制招集こそ行われていないものの。
    定理者の才能はやはり特別な才能であり、世の中にその力を役立てていくことを、周囲からかなり期待される。
    「以前と違って、今は命がけで戦ったりとかはないんだろう?
    これで将来も安心じゃないか?」
    と両親や進路相談の先生も喜んでくれた。

    ・・・だけど。
    だけど、くららはイヤだったのだ。
    いつも学校帰りにだべる友達たちと、別れるのが。
    くっだらない事をあれこれ喋りながら、流行りのスイーツを食べ歩いたり、互いのファッションにあれこれケチつけながらも笑いあう、あの時間をなくすのが。

    パパとママのことは好きだけど、ああもあからさまに「良かったね!」「でかした!」みたいな目で見られると、ツライ。
    だからこの間、大好きなバァチャンの所に相談した。
    バァチャンは苺農家を切り盛りして、ジイチャンが腰を悪くした後もしっかり働いてパパを育てて大学に入れたという、小湊家のビッグマザーだ。パパもママも頭が上がらない。
    でもくららにはとっても優しくて(でも悪い事したり約束を破るとチョー怖い)若いころはすっごい美人で服のセンスもイケてる、憧れのバァチャンなのだ。
    バァチャンは一言、

    「くららの好きにさせたらええ」

    でみんなを黙らせた。サスガ。
    バァチャンのお墨付きを得たくららは、自分でALCAのキョウト支局に行き、
    「キョウトは離れたくない、友達とも別れたくない。
    通いでいいなら、すぐここで働いてあげる」
    と啖呵を切った。
    定理者のリーダー、とか紹介されたお兄さんが、優しそうな表情を白黒させると、どうしよう、こうしよう、いやルールが?規則が?でもでも? とアタフタするのは見て面白かった。
    でも局長代理の平、とかいうオジサンが出てくると、オジサンは、顔は笑顔だったけど―
    「バイト感覚なら、学校へ帰っていいよ」
    とぴしゃり言った。
    その後、定理者としてALCAに務めた場合の、いろいろな仕事について説明を受けた。
    どちらかというと、軍隊というよりは警察や消防、救急に近い仕事をしていること。
    また、異世界の使者との平和的な共存や、世界の仕組みについての研究も、ALCAの大事な仕事であること。
    「異世界の使者とも、友達になるの?」
    「そう、仲良くなれる奴とは仲良くするさ」
    そういうと、おっきな烏が部屋の中に飛んできて、傍の止まり木につかまりカァと鳴いた。
    ちょっとびっくり。
    「確かに今世界は平和だし、命のやり取りなんてしないかもしれない。
    でも、いざという時、やはり矢面に立つのは僕たちだ。
    覚悟がない子は、いらないな~」
    くららにしては珍しく、ぱっと返事ができなくて。
    連絡先だけ教えて、その日は家に帰った。

    あれからしばらく。
    時々、オジサンからは電話がかかってくるが、なかなか返事ができないでいる。
    家族とも友達とも別れて、ホッカイドウに行くのか。
    学校には行けなくなるみたいだけど、キョウトに残り、定理者として働くのか。
    あるいは、全部忘れてしまうか。

    ぐうううう

    と、突然、派手にお腹の鳴る音が聞こえた。
    思わず自分のお腹を押さえるが、さっきお菓子も食べたし、そこまでお腹が空いているわけではない。

    ・・・では、誰?

    見れば。
    道端に二人の少女が座り込んでいる。
    ぱっと見たところ、自分と同じ年恰好の二人。
    顔はけっこうきりっとした美人系で、二人ともよく似ている。姉妹か?
    (・・・むねおっきー)
    出るところ出てひっこむとこ引っ込んだ、グラビアアイドルか?って感じのスタイルは正直うらやましい。
    そして目を引くのが髪の毛の色。
    どこで染めたんだか、ひとりは金髪にちかいすこしくすんだ黄色。
    もうひとりは空の色みたいな青になっている。
    (・・・コスプレってやつ? なんかイベントあんの?)
    思わず頭の中にハテナが飛び回るくららの目の前で。

    ぐうううう

    またお腹の音が鳴り、黄色の少女がお腹を押さえて
    『腹減ったあああああ』
    すると青色の少女の方はそれをとがめて、
    『ちょっとなる、恥ずかしいわよ』
    『だーって腹減ったンだからしょーがねーだろー!』

    ぐうううう

    う、とうめいて今度は青色の少女がお腹を押さえる。
    『ほらみろ、たまだって腹減ってンじゃねーか!』
    『わ、私は鳴ってない。ごろごろ鳴るなんて、なるじゃあるまいし』
    『んだとー!
    -っておい。お前、見てんじゃねーよ』
    なる、と呼ばれた黄色の少女、鳴神がくいと目尻を吊りあげてこちらをにらむ。
    たま、と呼ばれた青色の少女、玉風も少し垂れ気味の目を細めるようにねめつける。
    その視線と表情の圧に対し。

    「ん」

    くららは左手の紙袋をぐいと突き出した。まだドフィノワが残っている。
    『な、なんだよ!』
    反射的に声を荒げる鳴神を手で制しながら、玉風は
    『それ、私たちに?』
    「だって、お腹空いてるんでしょー?」
    確かに、その紙袋からは甘く美味しそうな匂いがただよっている。
    「だから、あげる」
    『-ホントだな? 嘘じゃないな?』
    『ちょっと、なる?』
    止める暇もあればこそ、鳴神は紙袋をひったくるように奪うと、中に入っていた焼き菓子にかぶりついた。
    『んぐんぐんぐ・・・うめー!! たま、これすげーうめー!!!』
    『ちょっとあなた、はしたないわよ。仮にもジスフィアの神格たる者が』
    『たまも食えよ、ほらほら』
    『え、う、うん・・・ あら、確かにこれは・・・』
    あの土壇場の逃走劇から、丸二日。
    この世界のことなど何も知らない二人は、自分たちをこの世界に呼び寄せた「あの男」を探すも出会えず連絡もつけられず。
    うるさい音(サイレン、というらしい)を鳴らしながら街を走り回る車と、
    厳めしい制服の男たちが自分たちを探して見つけて捕まえようとしている気がして。
    ろくに食べることも眠ることもできず、逃げ回っていたのだ。

    (こんなはずじゃなかったのに)
    (あたしたちは、上の神さまから言われた通りに雷を落としたり風を吹かせたりするのに飽き飽きしてた)
    (そしたら「あの男」が手紙を寄こしてきた。
    セプトピア。
    この世界に来たら、なんでも好きなように遊べる)
    (自分のちからを好きにしていい。
    そうして遊んでいたら、次々楽しい遊び相手も現れて、もっともっと楽しくなる!)

    そう、こんなはずじゃなかったのに。
    お腹に甘いお菓子が入って少し落ち着いたからだろうか。
    目尻から熱いものが落ちる。
    「ちょっとなる・・・」
    玉風が布でこちらの顔をぬぐおうとするのを
    「な、泣いてない。泣いてないし!たまだって!」
    みれば、玉風の顔もちょっとぐしゃっとなっていた。
    これは大泣きする前兆だ。

    ―すると
    「ゴハン、食べにいこ」
    『『え?』』
    いつのまにか、くららが二人のそばに来ている。
    腰を落とし、そのまま二人の肩に手を回すと、肩を抱くようにしながら顔をくっつけてきた。
    「今回はぁ、あたしの、おごり。
    だから、ゴハン、食べよう」
    そして、ぎゅっと、腕に力をこめてきた。
    「あたし、ヤなんだ。人が泣いてんの。
    あたしまでオチる感じするんだ。
    だからさー
    がーっと食べて、
    ぱーっとやって、
    アゲてこ?
    ぶわーっと。ね?」
    正直、くららの言葉の意味はイマイチわからないとこもあるが、
    彼女の言いたいことは、わかった。
    『なるぅ』
    『たまぁ』
    「ばか、あたしも貰い泣きするじゃん、やめてよぅ」
    何故だかわからないが、後から後から涙が出るので。
    鳴神と玉風、そしてくららは、恥ずかしくも道端で、
    3人抱き合いながら、わんわん泣いた。おんおん泣いた。

    その後、ドスバーガーとファミレスとカラオケをハシゴした3人。
    鳴神も玉風も、自分たちが異世界から来た事や、元の世界で退屈していたこと、
    「あの男」の言うまま、この世界にきて遊ぼうとした事などを自分から語りだした。
    擬音混じりで勢い込んで喋る鳴神と、こぼれ落ちる話を拾う様に喋る玉風が面白かった。
    くららの今月の小遣いは見事空っぽになってしまったが、まぁいいかな、と思った。

    「・・・ねぇ、定理者になったら、あんた達ともなれるかな。
    -友達に」

    くらら×鳴神編(後編)に続く

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